エンジニアライフ時事争論(11)
まずはこれを読んでおけ!
技術者が選ぶ「おススメ本」
@IT自分戦略研究所
2010/7/6
■「読書」という行為そのものから学べるもの
読む本からだけではなく、「読む」行為そのものから得られるものもある。
「“アラサー”IT系女子の来し方行く末」の組長氏は、「読書が好きになったおかげで、いまの仕事に役立つスキルを身に付けた」と語る。組長氏が紹介するのは「読書が好きになったきっかけの1冊」。
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組長氏は、小さいころほとんど本を読まなかった。ところが、友人が「面白いよ」と教えてくれたモーリス・ルブラン『怪盗ルパン全集』をきっかけに、読書の楽しさに目覚めたという。
組長氏が、「読書好き」になったおかげで得られたものはたくさんある。まず、語彙力や読解力が付き、文章を書くことが好きになった。また、相手の話を聞いて要約する力も身に付いたという。これらの力は、ヘルプデスクとしての仕事にしっかり生かされている。「読書が好きになってよかった」と、組長氏は語る。
「読書」からスキルを身に付けたコラムニストを、もう1人紹介しよう。『フリーなスキル』のはがねのつるぎ氏は、「ばーちゃんの百科辞典」が教えてくれたものについて語っている。小学生だったはがね氏に、氏の祖母が「勉強の役に立つから」と、百科辞典を買ってくれた。はがね氏は当時あまり勉強が好きではなかったが、辞典で調べるうちに「知る楽しさ」を覚え、勉強が好きになったという。「ばーちゃんの百科辞典」がはがね氏に教えてくれたのは、「分からなかったら自分で調べる」という、学習への姿勢と意欲だ。
フリーエンジニアとして働いているいまも、この習慣はしっかりと身に付いている。「『ばーちゃんの事典』が教えてくれたように、自分で欲しい情報を求めにいく」と、はがね氏は語る。
■知らないうちに情報にだまされていないか?
小説はフィクションだが、ときに現実を鋭く描写している。『海外でも通用するエンジニアになる』の鹿島和郎氏が紹介するのはジョージ・オーウェル『1984年』。鹿島氏は、「情報を疑おう」と警鐘を鳴らしている。
『1984年』の世界は、情報がすべて政府によって統制されている管理社会だ。人々は加工された情報のみを知らされ、洗脳状態にある。
「これはあくまで小説の話。日本に住んでいる自分は関係ない」と思うかもしれない。しかし、気付かないうちにわたしたちも加工された情報を受け取っているのでは、と鹿島氏は忠告する。一度日本から出てみると、自分たちのいる場所を客観的に眺められるかもしれない。自分がいる環境について知るために、海外に出てみては、と鹿島氏はアドバイスする。
■世界に1冊、「自分だけの本」
本を手に入れるためには、必ずしも本を買う必要はない。「恋愛感情で仕事はできるか?」の森姫氏は、世界に1冊の「自分だけの本」をつくる方法を紹介している。
まず、「少し高めのノート」と「少し高めのペン」を用意する。ポイントは「少し高め」であることだ。森姫氏は、安いノートとペンを買ったときは「本づくり」を継続できなかった。しかし、少し高めのノートとペンであれば、「大切に使おう」という意欲が沸くのだという。後は、気になる言葉やフレーズを書き留めていくだけ。そうすれば、世界に1つの「自分だけの本」ができあがる。
以上、コラムニストの「おすすめ本」を紹介した。最後に、コラムニストがコラム内で紹介した書籍一覧を掲載する。
■書籍リスト
- アンドリュー・ハント、デビッド・トーマス、村上雅章訳『達人プログラマー』ピアソンエデュケーション、2000年。
- デール・カーネギー、山口博訳『人を動かす』創元社、1999年。
- ジェームズ・C・コリンズ 、ジェリー・I・ポラス、山岡洋一訳『ビジョナリーカンパニー』、日経BP社、1995年。
- 洪自誠、祐木亜子訳『中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2007年。
- 尾田栄一郎『ONE PIECE』、集英社、1997年。
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葵せきな、狗神煌(イラスト)『生徒会の一存――碧陽学園生徒会議事録』 富士見書房、2008年。
- 夏海公司、Ixy(イラスト)『なれる!SE――2週間でわかる? SE入門』アスキーメディアワークス、2010年。
- 寺沢大介『将太の寿司』講談社、2002年。※漫画文庫版
- ジェイムズ・P・ホーガン、 池央耿訳『星を継ぐもの』東京創元社、1980年。
- 飯島愛『PLATONIC SEX』小学館、2000年。※絶版
- モーリス・ルブラン、南洋一郎訳『怪盗紳士――怪盗ルパン全集』ポプラ社、2009年。
- 江戸川乱歩『怪人二十面相――少年探偵』ポプラ社、2008年。
- ミヒャエル・エンデ、大島かおり訳『モモ』岩波書店、1976年。
- エリザベス・グージ、石井桃子訳『まぼろしの白馬』岩波書店、2007年。 ※絶版
- 童門冬二『小説 上杉鷹山』集英社、1996年。
- ジョージ・オーウェル、高橋和久訳『1984年』早川書房、2009年。※新訳版
また、6月には編集部による書評コラムがスタートした。読者諸君の参考になれば幸いだ。
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