合宿で開発漬けになる人たちの理由
鷹木創
2008/9/16
■1つのことに集中できない「ダメ人間」
@IT自分戦略研究所カンファレンス 上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア 開催 |
日時:2008年9月27日(土) 11:00〜18:00(受付開始 10:30〜) 場所:秋葉原UDX 6F RoomA+B 詳しくは開催概要をご覧ください。 |
参加者は何を求めているのだろうか。サイボウズ・ラボの秋元さんは「ぼくはダメ人間なんで、1人で開発できないんですよ」と苦笑する。筆者も心当たりがあるが、自室にこもって作業していると、漫画や雑誌などを読んでしまったり、目を移したテレビ番組を見続けてしまい、何時間も浪費してしまう。開発者という同じ立場の人間が集まることで、相互に監視し、議論して刺激しあう。そんな関係も、開発合宿で効率が上がるポイントといえそうだ。
「もともとは田口さんから技術的な質問を受けていたんです」と語るサイドフィードの赤松さん。2005年に「check*pad」を開発するため、田口さんとともに合宿したのがきっかけだ。ブログの人気を計測する「feed meter」も赤松さんが開発したサービスだが、「Webサイトを作るだけなら5〜6時間」という早さ。
そんな赤松さんが強調する合宿の利点は「ほかの開発者のアイデアが聞けること」。いくら技術力が高くても、1人でこもっているとどうしても煮詰まりやすい。そんな時に、ほかの開発者のアイデアと出会うことで新しいサービスが生まれるのだ。
「もともとは田口さんから技術的な質問を受けていたんです」と語るサイドフィードの赤松さん |
■割り込み仕事に悩む技術系責任者
ブレイナーの本田さんは、会社の責任者という立場で赤松さんと似ている。本当は東京でも開発に打ち込みたいが、雑事に追われてなかなか集中できないのだという。「それでもウチの場合は、開発を優先させてくれるんですけどね」(本田さん)。
IT系の起業家は、技術者兼社長が珍しくない。さらに、社長自ら営業活動に励まなければならないこともある。開発に集中しようとする時に限って、「社長、この案件どうしたらいいのでしょうか」「社長、電話です」「社長」「社長」……と割り込み仕事が舞い込む。そんな貴重な時間を集中的に、誰にも邪魔されたくない環境で開発できるのが、合宿だった。
田口さんのイベントで誘われたという、開発合宿初の女性参加者である小宮さんは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の2006年度前期「未踏ソフトウェア創造事業」にプロジェクトが採択された“才媛”だ。「APIを学びたい」と目的意欲を持って臨んだ。周りの開発者を楽しませるサービスを作ったのだが、実際に合宿の印象を聞くと、そのことよりも「業界の裏話が聞けて刺激的だった」と笑う。
開発能力の高さとは別だが、実は同人誌の作家でもある。報告会ではマンガ作成ツール「コミックスタジオ」で集中線をスラスラ描き、見ていた男性陣も思わず「おお」と声を漏らした。
報告会で、サイボウズ・ラボの秋元さんからのアドバイスを聞く小宮さん |
◆
現在は、田口さんの定期的な合宿はひと区切りしている。だが、集中できる環境やほかの開発者のアドバイスを求めて、合宿自体は続けていくという。
「(Webサイトの運営も、プロダクトの開発も)もっとできるはず、という計算がはっきりしているから頑張る。“仮説を実証していく実験”が好きなんです」
会社という枠を飛び出して、開発者仲間で合宿をし、ひたすら開発漬けになる。一度、試してみてはどうだろうか。
編注:ITmedia Biz.IDに掲載された記事を再編集して掲載しています。肩書きは当時のものです。 |
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