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ストレスと上手に付き合うために
ITエンジニアにも重要な心の健康

第1回 ストレスを知ることから始めよう

ピースマインド
カウンセラー 森山佐和子
2003/8/20

エンジニアにとっても人ごとではないのが心の健康だ。ピースマインドのカウンセラーが、毎回関連した話題を分かりやすくお届けする。危険信号を見逃さず、常に心の健康を維持していこう。

 あなたはストレスを溜めやすいタイプですか、それとも溜めにくいタイプですか。あなたはいま、自分がどれくらいストレスの影響を受けているか知っていますか。

ストレスとは?

 毎日の生活の中で生きづらさやイライラなどを感じたとき、「ストレスがたまる」なんて表現をよく使いますよね。そもそも、その「ストレス」とは一体何なのでしょうか。

 一般的に使われている「ストレス」という言葉は、辛さや危険を伴った出来事などに対して起こる身体的・感情的反応、「ストレス反応」のことを指しています。感じるストレスの度合や状況などは人さまざまです。このストレス反応は大きく分けるとストレッサー(ストレス反応を引き起こす原因)、その人のストレス耐性(ストレスによる影響の受けにくさ)などによって左右されるのです。例えば、職場の怒りっぽい上司は「ストレッサー」だとして、自分も体調が悪くストレス耐性が低下しているときに運悪く上司の機嫌が悪かったりすれば、いつもより過剰に「ストレス反応」を起こしてしまうというわけです。

ストレスは悪者か

 実は、人間が生きていくためにはある程度のストレスは必要なのです。ストレスは、自分の夢や目標を達成する、スポーツを楽しむなど、挑戦に立ち向かったりそれに必要なプレッシャーを自分にかけるなど、より生産的に活動するための動機を与えてくれます。同じように、まったくストレスを感じないときよりも適度のストレスを感じている場合の方が人は集中力も高まり、仕事もテキパキとこなせるとも考えられています。さまざまな場面で適度なストレスはわたし達の生活を活性化させ、役に立っているといえるでしょう。

 ご存じのように、過剰なストレスや悪いストレスは、当然悪影響を及ぼします。不快に感じるほどのストレスを長期に渡り抱えていると、余分なエネルギーを奪われ続け、次第に心が消耗し、心身ともに疲れを感じるようになります。過剰なストレスがもたらす苦痛は、判断力やそのほかさまざまな能力にも影響を及ぼします。そして、そういった「自分の能力の衰え」に対する意識は、さらに悲観的な渦へと自分を巻き込み、ストレスが溜まっていることそのものにも、ストレスを感じるようになってしまうのです。

 問題に対して、ストレス反応が最も適切に働くと考えられている状況というのは、問題そのものが短時間で認識・解決される場合だと考えられています。しかし、実際現代社会で起こる問題は実に複雑で、なかなか簡単に解決しないことも多い……。長期間に渡る問題との戦い、清算されないストレスを抱える毎日、そこには十分な休息が必要になるわけですが、社会の現実はわたし達に立ち止まって回復する時間を与えてはくれません。逃げ道の見つからない状況、絶え間ない過剰なストレスに耐えながら、毎日を過ごしている人たちが増えてきているのではないでしょうか。

ストレスをマネジメントする

 ストレスとうまく付き合っていくために必要なことは、ストレスについての知識をもち、自分の状態に気付き、そして1人ひとりが自分にあったストレス対処法を身に付けていくことです。

 ストレス管理の基本は、まず敵を知ること。まずは自分に影響をもたらすストレッサーや自分のストレス耐性、ストレス反応を把握することから始めましょう。毎日の生活のさまざまな場面で感じるストレスについての状況や自分の反応などは、忙しさに追われてつい無視してしまったり、あまりに日常的になっているため気付かないこともあります。「気付き」のためツールとして、ストレスチェックなどを活用するのもお勧めです。

 自分のストレス状態に日ごろから気を配り、把握したうえで、ストレッサーを軽減したり、自分のストレス耐性を高めるなどの方法を考えましょう。

 例えば、ストレスの原因であるストレッサーを取り除くことができればよいのですが、それができない場合も多いはずです。そのような場合にはいつもの考え方・行動を少しでも変化させることで、ストレスから受ける不快感を減らしていくことが必要です。普段から落ち着きを取り戻すことを意識したりすることで、回復する機会を増やし、心身への疲労を減らすようにしましょう。

 自分だけで考えることが難しいと感じたら、無理をせずに専門家に相談してみるのもよいでしょう。例えば心理カウンセラーに相談すれば、ただ話を聞いてもらえるだけでなく、自分の抱えるストレス、直面している問題、自分の気持ち、考え、行動についてなど、さまざまなことを一緒に整理して考えていくというかたちでサポートを得ることができます。

 これまでもやもやとして次第に広がっていた問題や、自分らしく前向きに考えることを邪魔をしていたマイナス思考などを整理していけば、初めは大きく見えていた問題も意外とコンパクトに整理され、1人でも十分対処できる、ということにもなるのです。

 そのほかにも気分転換をする、ストレスから逃げる、友人や家族に相談するなど、ストレスに強くなるためにより多くの対処法の選択肢を持ち、ストレスと上手くつきあう方法を見つけてください。

筆者プロフィール●ピースマインド 森山佐和子(もりやまさわこ)
神奈川県出身。ニューヨーク大学大学院カウンセリング修士。アッカーマン家族療法研究所、ニューヨーク大学メトロポリタンセンターでの臨床経験を経て、現在は、個人・組織へとメンタルヘルスサービスを提供するピースマインドの企画運営に携わりながらカウンセリング業務を行っている。なお、ピースマインドが提供する「ストレスCheck」を@IT自分戦略研究所で試してみることもできる。




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