第3回 「ドキュメント翻訳」によるOSSへの貢献――PHPの場合
高木正弘
2010/9/29
■必要なのは「英語力」より「日本語力」
実際にOSSのドキュメントを翻訳するためには、どんなスキルが必要になるのでしょうか。
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英語のドキュメントを新たに翻訳する際には、少なくとも原文を読みこなせるだけの英語力は必要でしょう。しかし、OSSのドキュメント翻訳作業では、新しく翻訳することよりも既存の翻訳を保守する方がずっと頻繁に発生します。1回に変更する単位はそれほど大きくないので、変更された部分を読んで理解するのに、それほど手間はかかりません。
「でも、自分は英語が苦手だし……」と思ってらっしゃる皆さん、あまり知られていないことですが、実は翻訳作業で問われるのは「英語力」よりもむしろ「日本語力」なのです。極端な話をすれば、英語がまったく読み書きできなくても日本語が理解できれば十分チームに貢献できます。例えば、
- 誤変換や打ち間違いなどの指摘
- 日本語の文章としての読みやすさの改善
- 専門用語などの技術的な誤りの指摘
など、日本語力が問われる作業はいくらでもあります。そしてこれらは、翻訳者自身ではなかなか見つけにくい問題でもあります。
■ドキュメント翻訳のイベント・勉強会
ドキュメントの翻訳に興味があるけれど、実際にどのように始めたらいいのか分からない……という人にお勧めなのが、「勉強会などに参加して、ほかの人と一緒に作業をしてみること」です。
最近は各地でいろいろな勉強会が開催されるようになってきましたが、その中にはドキュメント翻訳に特化したイベントもあります。筆者が把握している限りでは、ここ数カ月の間に次のようなイベントが開催されたようです。
また、下記のようなプログラムの募集もあります。
今後も同じようなイベントが開催されるかもしれません。IT勉強会カレンダーなどをチェックしておくとよいでしょう。
■「世界中の技術者と一緒に作業をしている」という実感
OSSの英語ドキュメントの翻訳作業について、筆者が知る範囲でまとめてみました。いかがでしたか。
これまでに、ドキュメントの版を管理する方法が変わったり、書式が大きく変わったりすることがありましたが、そのときには事前に「こんなふうに変更するつもりだけど、翻訳チームは対応できる?」といった相談がありました。世界中の人たちと一緒に作業をしているのだということを実感させられる瞬間です。また、ぜんぜん知らない(おそらく日本語圏の人ですらない)海外の人から、「いつもありがとう」といったお礼のメールをいただいたこともあります。
自分が楽をするため、自分の理解を深めるためにやった作業が結果としてほかの人たちにも喜ばれるものとなる。地味だけど、とてもやりがいのある作業です。
これを読んだ皆さんの中から、新たに翻訳作業に参加する人が1人でも出てきてくだされば非常にうれしく思います。
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