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幸せなITエンジニアを目指すためのヒント

第2回 あなたが本当にしたいことは、何ですか?

テイクウェーブ 竹内義晴
2008/2/12

ITコンサルタントになりたくなかったITコンサルタント

 しかし、「私はITコンサルタントです」と自己紹介すると、何だか胸の辺りにモヤモヤした感じを覚えるようになりました。「なぜモヤモヤするんだろう?」と考え続け、しばらくしてから気付いてしまったのです。「あ、本当は私はITコンサルタントなんかやりたくないんだ」と。

 パソコンは好き、プログラムを作るのも好き、システムを作るのも好き。けれども、経営はしたことがありませんでした。「それなのに、『経営とITを結ぶコンサルタント』なんて大きなことをいうのが嫌」というのが、私の本心だったのです。せっかく多額のお金と時間をかけて資格を取ったというのに……。

 原因は「技術を究めたいなぁ」とは思っていましたがありたい姿を考えたこともなく、何となく流れに任せてきたこと……としかいいようがありません。いま思えば、「コンサルタント」という響きが格好よかったですし、「コンサルタントフィー1日10万円」をうたうWeb上の情報も魅力的に感じました。ITの上流工程の雑誌を読んでいくうちにキャリアアップしている感覚もありました。「おれはコンサルタントだ」とモチベーションが上がっていましたし、資格に挑戦しているだけでもモチベーションが上がりました。

 繰り返しますが私は「技術を究めたいと思っていた」んです。しかし具体的なありたい姿を持たなかった私は、高い投資をして、本音はITコンサルタントにはなりたくない「なんとなくITコンサルタント」になりました。

 これが、「技術を究める」と思っていたにもかかわらず、安易な理由で資格を取って道に迷った私の失敗談です。私はぜひあなたに、ありたい姿を自分で決め、それがどんなものであれ、選択した道を切り開いていってほしいと思っています。

「本当にやりたいこと」を見つける方法

 もう一度考えてみてください。あなたがいま目標としていることは、本当にあなたがやりたいことですか? 会社や世間一般でいわれていることや、情報誌に書いてあることを「自分のあるべき姿」だと誤解していませんか? 自分の将来を周りに合わせていませんか?

 自分に正直になってありたい姿を決めないと、過去の私のようになってしまいます。その結果、将来自分の仕事に疑問を感じたり、無駄な資格の取得に時間を費やすことになったりするかもしれません。そうならないためには、「ありたい姿は何か?」を考えるとともに、「何かに思い込まされていないか?」と一度疑ってみるといいかもしれません。

 思い込みを捨て、「本当にやりたいこと」を発見するには、まず「絶対にやりたくないこと」を紙にどんどん書き出すのがいいでしょう。それは誰が何といおうと、あなたがやりたくないことだからです。

 大きなこと、小さいこと、誰かに怒られそうなこと。一切気にせず、自分にフタをせずに思いつくままどんどん書き出してみます。正直に書き出すと、私のように「ITコンサルタントなのにITコンサルタントが嫌」なんて発見があるかもしれません。

 「やりたいこと」から始めないのは、思い込みをリストに書き出さないようにするためです。私がいくら本当は技術を究めたかったとはいえ、ITコンサルタントという情報に触れて行く中で、なんとなくモチベーションも上がり、「私はITコンサルタント」と当然のように思い込んでいきましたし、資格も取った、お金も使った私が、「やりたいこと」から書き出したら「使ったお金を回収しなきゃ」とやりたいことリストに追記するのは容易に想像できます。ですから、「やりたくないこと」から書くのが重要なんです。

 「やりたくないこと」を全部書き出したら、次に「本当にやりたいこと」を書いてみます。「本当にやりたいこと」は、たったいま書き出した「やりたくないこと」の裏返しです。プログラムを組みたい、SEでいたい、チームを作りたい、マネジメントをしたい、コンサルタントになりたい。心の底からやりたいと思えればOKです。自分が進む道に足りないものをいますぐ勉強し、経験を積みましょう。さらに、周囲から自分の望みに近い人を探し、何をすればそうなれるのか観察し、行動をまねるといいでしょう。これについては後でお話しします。

 その途中で違和感があるようなら、もう一度考えて直してみます。「ITコンサルタント」になった私がモヤモヤした思いを抱いた例のように、違和感は重要なサインです。

「目標」=「資格」のウソ

 さて、ここで私の失敗例にも出てきた「資格」について考えてみたいと思います。

 目標やキャリアアップというと、真っ先に資格が連想されるかもしれません。資格のために一生懸命勉強し、努力が実って合格し、名刺に資格名を入れたときの喜びは格別です。あなたの会社が資格取得の報奨金をくれるところだったとしたら、これ以上のことはないでしょう。最高です。

 けれども、残念なお知らせがあります。「はい、そこまでです」

 こういう経験をしたことはありませんか。資格の勉強をしているときはモチベーションが上がる。けれども、資格が取れればそれで終わり。しかも、資格を取った効果もよく分からない……。

 「名刺に資格名が書いてある方が、相手に渡したときに印象がいいのではないか」と思うかもしれません。でも、あなたが名刺をもらうときのことを想像してみてください。相手の名刺に資格名が書いてあったとします。その印象はどれだけ残りますか? それほどの違いはないことが想像できると思います。

 もし、相手がIT業界に関係のない方だったとしたら、残念ながら資格名も「意味が分からないただの横文字」です。「へぇ、すごいですね」で終わりです。

 資格を取るための勉強は素晴らしいことですし、モチベーションも上がります。しかし、どうせ同じ時間を使うなら、自分のありたい姿に対して意味があることに使いたいと思いませんか。そのためにも、資格よりもまず先に、「自分がやりたくないこと」をはっきりさせて、「本当にありたい姿」を明らかにしておくことが大切なんです。

 資格に過剰な期待をすると、思わぬしっぺ返しを食らうことがあります。私が取ったITコーディネータ資格のようにです。私は「資格さえ取れば、名前さえあれば仕事につながる」という幻想を抱いていました。結果はすでにお話ししたとおりです。

 資格ありきではなく、まず「自分はどうありたいのか」を考えてください。 10年後のイメージを作り、そのために必要なものは何かを考える。その結果として資格が出てくるのなら、いますぐに資格取得の勉強に着手すべきです。例えば、医者になるのに医師の資格が絶対条件であるようにです。そうではなく、いま必要なのは経験だと分かるかもしれません。それならば、資格取得を目指すより前に、より経験を積める会社に転職するための努力をするという選択肢が出てくるかもしれません。

 資格を取ることに意味がないといっているのではありません。自分で作った目標に向かって進むことは素晴らしいことです。けれども、「資格を取ること自体」を目標にしたり、資格を過大評価して「資格があれば何でもできる」と思ったりするのは危険です。

 もしあなたが自発的に資格を取ろうと思っているなら、いま話したことを1つの参考にしてみてください。そしてもう一度考えてみてください。「私はどうありたいのか?」「資格はそこに生かせるか?」「もし自分が名刺をもらう立場ならどう思うか?」「私はなぜ○○を目指すのか?」「自分にとっての仕事の意味は何か?」

 あなたの時間とお金、大切に使ってください。

目標を見つけたあなたへ。どうすれば「無理なく」達成できるか

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