第4回 可能性を潰さない――ワクワクできる自分のつくり方
テイクウェーブ 竹内義晴
2008/4/10
■自分の可能性を広げ、ワクワクする情報を選択する
あなたが昨日触れた情報(例えば、テレビ・新聞・雑誌・上司の言葉など)を思い出してください。事件、事故など、どちらかといえばネガティブな情報が多いことに気付くでしょう。
私たちの周りはネガティブな情報だらけです。ちょっと油断すると、ネガティブな情報ばかりが入ってきてしまいます(しかも、それらはなぜか興味をそそりますね)。データベースの情報をポジティブに書き換えるためには、それらから離れる必要があります。将来を想像してワクワクしたり、学びが多い著書を読んだり、好きな音楽を聞いたり、心地良く感じる場所に行ってみたりするなど、意識的にポジティブな情報に触れるようにするといいでしょう。
このような意識付けを通じて、私自身が変わった経験をお話ししますね。私はかつて「○○すると病気になるかもしれませんよ〜」という病気に関する情報番組が好きで、毎週見ていました。そのためか、ちょっと胃が痛くなると「もしかしたら、また潰瘍になったのかな?」と思い、よけいに胃がキリキリしてくるということがよくありました。
情報を選択する重要性に気付き、意識的にポジティブな情報を選択するようになってからは、病気に関する番組が始まると嫌な気分になり、チャンネルを変えないと気が済みませんし、家族がそれを見たければその場を離れるほどです。
病気の番組だけではなく、普段から見るニュース、本など情報に気を付けるようになってから、それまでのネガティブに考えるクセはなくなり、自然とポジティブに考えられるようになりました。ポジティブな情報ばかりに触れていると気持ちがいいので、より好むようになるという好循環も生まれました。
私のコーチングのクライアントにも、同様のことを試している方がいます。それまでは将来を考えると不安になり、ネガティブなイメージをしてしまっていたのが、情報を選択するようになってからは、自然とポジティブに考えることが増えたそうです。「情報を選択するのはやっぱり重要なんだな。この経験は私だけじゃないんだな」と思いました。
このような話をすると、「ネガティブな情報を入れることは絶対に避けるべきなんだ!」と一生懸命になる方がいますが、一生懸命になりすぎると負担になりますので、「私はポジティブな情報の方が好き」と軽い気持ちで選択するのがポイントです。
その一方で、私たちは社会人として新聞・テレビで情報を仕入れた方がいいといわれています。ひょっとしたら情報をシャットアウトするのは問題があるのではないかと思う方もいるかもしれません。私の場合は、テレビはあまり見ないようにして、必要な情報は「Google ニュース」で仕入れています。タイトルを拾い読みして、興味がある記事のみその先を読むようにしています。タイトルを読めばニュースの趣旨は分かりますし、時間の節約にもなるのでオススメです。
■ネガティブなことでも、その裏に隠されたポジティブな意味を
頭の中のデータベースを書き換えるもう1つのオススメの方法は、「物事を違う角度から眺めてみる」という方法です。
私たちは特に意識しない限り、物事を1つの枠組みで考えることが多いものです。それだけではなく、目の前で起きていることを、いろいろな角度から見てみるのです。
例えば「私は頑固者だ」は、見方を変えれば「信念が強い」となります。「私はすぐに落ち込んでしまう」も、見方を変えれば「いつも真剣に考えることができる」となります。これを心理学の言葉で「リフレーミング」といいます。リ・フレームですから、「枠組みを変えて物事を見てみる」という意味です。
目の前で起きているネガティブなことに、別の見方があるかどうかを考えてみるのです。上司に怒られたなら、「表向きはネガティブなことだけど、ほかにどんな見方ができるだろう?」「ここから得られることは何だろう?」というように考えてみます。そう、意味付け遊びです。ちょっとずうずうしく、遊び感覚でやるのがポイントです。
例えば、目の前に紙のゴミが落ちているとします。「紙を拾う」と思うと拾う気になりませんが、「カミ(神)を拾う」と意味付けをしてみると拾いたくなるでしょう? 私はいま、この文章を期日に追われて書いていますが、別の見方をすれば「早く書く能力が高まる」とか「納期に間に合うことで信頼を得られる」と考えることもできます。例えばそういうことです。
「プラス思考」という言葉がありますが、目の前で嫌なことが起きたとき、なかなかプラスには考えられないものです。それを無理にプラスに考える方が不自然です。頑張らなくていいのです。気軽に始めて習慣化することを目指してください。目の前で起きたことが大事件のときは、すぐには何も考えられないかもしれません。少し落ち着いてからでかまいません。目の前で起きていることの、いろいろな意味付け遊びをしてみてください。
■価値観を一瞬で変えるリフレーミング
リフレーミングは、なかなか変わらない価値観を変え、変化を起こすチャンスになるものです。このリフレーミングに関しては、私の人生最大のネガティブな事件のお話をしないわけにはいきません。妻が流産したことです。
私は以前から仕事中にリフレーミングをしていました。部下が失敗しても「いま失敗してよかったよ。今度失敗しなくて済むからね」などといい、時にはけげんな顔をされることもありましたが、ずうずうしく続けていました。
ある日の朝、仕事を始めてすぐにその連絡は入りました。泣きながら「流産した」という妻の声を聞き、私はすぐに車に乗って病院へと急ぎました。車窓に流れる景色を見ながら、なぜだか気持ちは落ち着いていました。
そのときふと、こんなことを考えている自分に気が付いたのです。「これにはいったい何の意味があるんだろう? プラスに考えたら、どんな意味なんだろう?」。自然に考えている自分に気が付いたとき、「子どもを流産したというのに、なぜこんなことを考えているのだろう?」とおかしくなりました。
妻はかなりのショックを受けていましたが、「これにも意味があるかもしれないよ。もし、何かの意味があるとしたら、どんな意味があるんだろうね?」と話をし、私が好きな本を1冊手渡しました。
ずいぶんと落ち込んでいた妻ですが、3日後には私が渡した本を片手に「これにもきっと意味があったのかもしれないね」と、妊娠するまでの思いを振り返り、ココロの整理をつけることができました。こんなに早く乗り越えられるとは思ってもいませんでした。このことを機会に「リフレーミングの習慣ってすごいな」と心から思いました。
リフレーミングは、私のコーチングの中でも、価値観を一瞬で変えるための1つの手段として使っています。
目標の実現に向けてガンガン進めるときもあれば、予定どおりにいかなかったり、目の前に壁が現れてなかなか前に進めなかったりするときもあります。その壁にこそ、思わぬヒントが隠されているのです。これまでもリフレーミングでクライアントの価値観を変え、喜びを分かち合ってきました。
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