@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(3)
『世界一やさしい 問題解決の授業』に学ぶ
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/7/16
■問題の本質を見極める
「問題解決能力」とは、問題の本質を見極め、解決策を考え出し、その解決策を具体的な行動に絞り込んで実行に移す能力のことである。米国のコンサルティングファーム マッキンゼー アンド カンパニーでは、このような「問題解決能力」が構造化されており、コンサルタントは体系的なトレーニングを通して、このスキルを磨いていく(と渡辺健介氏[著者]はあとがきで書いている)。
世界一やさしい 問題解決の授業 渡辺健介著 ダイヤモンド社 2008年6月 ISBN-10:4478000492 ISBN-13:978-4478000496 1260円(税込み) |
この本の対象読者は中学生である。問題解決の基本的な思考プロセスを中学生でも理解できるように解説しているわけだ。
「数学の成績が落ちてきた」という問題がある。この問題を解決するには、どのようなプロセスを踏むのがよいか。まずは「現状を正確に理解する」ことが必要だ。そして「原因を特定する」。「打ち手を決定」し、「実行」に移す。問題を解決するには、基本的に、この4つのステップをこなせばよい。
問題は、それぞれのステップをどのようにこなしていくか、だ。「現状を正確に理解する」を検討してみよう。もれなく、だぶりがないように、状況を構成する要素を洗い出してみる。
例えば、数学のテストを構成する要素は、「正負の数」「方程式」「平面図形」「空間図形」「そのほか」だとする。それぞれの要素について、「解けた」か「解けなかった」を検討し、「解けなかった」場合は、「解いてみた」のか「解いてさえもいないのか」と考え、さらに、「解いてみた」ができなかったのは「解き方が分からなかった」のか「解き方は分かった」が問題があって(「時間が足らなかった」「ケアレスミス」「そのほか」)できなかったのか……。
このように、ある要素を過不足ない形で細分化しながら、状況を目に見えるようにしていく。要素がすべて列挙できたら、数学のテストの出来が悪かった原因を特定してみる。原因は1つとは限らない。原因が特定できたら、その原因を解消する現実的な打ち手を考えていく……、というように、思考を進めていくことが問題をスマートに解決するための近道となる。(鯨)
本を読む前に | |
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