第1回 覚えておきたいダイエット中の食生活
千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2007/1/26
日ごろの運動不足、不規則な食生活。油断していると体にぜい肉が……。そんな経験ないだろうか。以前@IT自分戦略研究所が行ったアンケート調査では「ITエンジニアはそんなに太ってないぞ!」としながらも、およそ25%のITエンジニアが肥満という結果になった。筆者はITエンジニアではないが、立派な肥満だ。いつの間にか体重計の針が3けたをゆうに超えていた。友人などには「0.12t(トン)」などと笑いながら話すのだが、内心は穏やかではない。健康診断では常に生活習慣病に関する注意を受けている。
いいかげん健康のためにダイエットすることを2007年の目標として決めてみた。そこで、ダイエットに関する情報を提供するWebサイト「ReformDietetics」を運営している、管理栄養士の松本理華氏にお話を聞いて、実際に筆者がダイエットに挑戦し、肥満に悩むITエンジニアの参考にしてもらおうというある意味人柱的な連載を開始する。まず第1回となる今回はダイエットの基本的な知識を聞いた。
■太る仕組みと肥満のタイプ
管理栄養士の松本理華氏 |
ダイエットについては、すでにさまざまな書籍やWebサイトなどで情報が提供されている。しかし、ダイエットを始めるに当たって、当たり前ともいうべきダイエットの基礎知識をおさらいしていこう。
肥満を解消する、つまりやせることと単純に体重を減らすことは異なる。脂肪が減ればもちろん体重も減少するが、体の中の水分や筋肉、骨が減ってしまってもまた体重は減少する。松本氏は「1日や2日といった短い間での体重の増減は、ほとんど水分によるものです」と話す。この連載では、特に明記しない限り「体重を減らす」=「脂肪を減らす」という意味だとする。ダイエットによって1カ月に減らせる体重は「現在の体重の5%」程度だという。筆者であれば1カ月に5kg〜6kgは減量できる。しかし、ダイエットには体重が減らない時期である「停滞期」がつきもので、そう計算どおりにはいかない。松本氏も「1カ月に2kg〜3kgといったペースで減量するのがお勧めですね」と話す。
松本氏によると、肥満のタイプは大きく「りんご型」と「洋なし型」の2つに分類されるという。「りんご型」は主に男性に多く、腹部に内臓脂肪が蓄積されるタイプだ。おなかをつまんだときに少し固い感触がするのが特徴だ。このタイプの肥満は生活習慣病になりやすいが、洋なし型と比べて運動などで脂肪を減らしやすい。洋なし型は主に女性に多く、下半身を中心に皮下脂肪が蓄積されるタイプだ。筆者はもちろんりんご型だ。
どちらのタイプの肥満にしても、1日に摂取するエネルギーが消費するエネルギーを上回り、消費されず余ってしまったエネルギーが脂肪に変わり、蓄積することで引き起こされる。ダイエットには大きく分けて、運動などでより多くのエネルギーを消費する方法と、食事をコントロールして摂取するエネルギーを減らす方法がある。「一般的に、食事をコントロールする方がダイエットに効果は高いと思います。運動で消費するエネルギーはそれほど多くないのです」と松本氏。
もちろんダイエットにとって運動は非常に重要だ。運動をしないと筋肉量が減る。そのため、基礎代謝が低くやせにくい体になってしまう。運動をして筋肉量を維持しながら、ダイエットすることが理想だ。しかし、筆者は学生時代の部活以来まともに運動をしていない。急に強い運動をすると体を痛める可能性があるので、まずは「歩く」ことから始めてみようと思う。厚生労働省が発表している「健康づくりのための運動基準」によると、1日当たりの運動量の目標は、およそ8000〜1万歩程度。まずはそれを目標にしよう。
■極端な食事制限は要注意
食事をコントロールするダイエットで問題なのが「極端な食事制限」。例えば絶食や極端に食事の量を減らす、1つの食品しか食べないといった方法だ。偏った食事では、栄養が足らずに筋肉量が減ってしまい、運動をしない場合と同じくやせにくい体になってしまう。「1つの食品を食べ続けるというダイエットもありますが、1つの食品では摂取できる栄養が非常に偏ってしまいます。そのために体を壊しやすくなる可能性があるなど、単に食事を減らすことよりも性質が悪いといえます」
極端な食事制限は精神的な負担が大きい。筆者は以前、炭水化物を取らないというダイエット方法を実践して、2カ月で10kg以上の減量に成功したことがあるのだが、途中から「ご飯」が食べたくてしかたがなかった。結局ダイエットをやめた後、ご飯をダイエットを始める以前よりも食べてしまい、リバウンドしてしまった。食べたいものを我慢し続けると、我慢をやめた後の反動が非常に大きい。
ある食品がダイエットに効果があるからといって、これまでの食事の内容を変えずにその食品をプラスしても本来の効果が発揮できずに終わってしまうこともある。いくら個々の食品にダイエット効果があったとしても、カロリーの高い食事を続けてしまっていたらいつまでたってもやせることはないだろう。「これまでいろんなダイエットが現れては消えていったことを考えると、やはりバランスの取れた食事を取るという基本に立ち返るべきなのかなと思います」
ダイエットをしているときに必要な栄養素にはどんなものがあるのだろうか。松本氏は「ビタミンB群は炭水化物やたんぱく質、脂肪といった栄養素の代謝を促してくれる働きがあるので、意識して取り入れるといいです」と話す。ビタミンBは、豚肉や大豆製品などの食品に多く含まれているという。そのほか、ダイエット時に不足しがちな栄養素として、カルシウムや鉄分などがある。
■食事の取り方にもひと工夫
「おいしい食事をバランスよく取るのが大事」と話す松本氏 |
バランスの取れた食事を取ることがダイエットにとって重要だが、食事の取り方でも工夫できるところはないだろうか。ダイエット中の食事について重要なことは、朝昼晩と3食をしっかりと取ることだという。食事をすることでもエネルギーは消費される。朝の忙しい時間帯、つい朝食を食べずに済ましてしまうことがある。昼と夜の1日2食の場合、食事の間隔が空いてしまうと次のような問題があるという。「食事の間隔が空いてしまうと、体が飢餓状態になってしまい、通常よりもエネルギーを吸収しやすく、脂肪がつきやすくなってしまいます。同じ食事量でも1日2食の人と3食の人ではエネルギーの吸収の状態も違います」と松本氏は話す。朝、時間がなくても果物や野菜ジュース、ゼリー飲料など何かしら食べることが必要だ。
よく「夜中に食事を取ると太る」といわれている。ITエンジニアの中には遅くまで働いている人が少なくない。多くの人が夜遅くに食事をしていると思われるが、これはどうなのか。松本氏は「夜遅くに食事をすると、食べた後は寝るだけなのでエネルギーが使われずにたまってしまいます。どうしても夜遅くに食事をする場合は、寝る2〜3時間前に食事をすることをお勧めしています。食べる場合は雑炊やうどんといった消化のよいものを軽く食べるとよいと思います」。昼食と夕食の間隔が空いてしまうときは、合間に軽食を取る方法もよいという。「例えば、夕方におにぎりを食べたら、家に帰ったら野菜やおかずを食べるという1食分を2回に分ける形ですね。もちろん余分に食べると問題ですが」
また、食事をする際に気を付けたいのが「あまり我慢をしない」ことだ。ダイエット中はどうしても1食ごとに「あれを食べてはいけない」と考えがちだ。そうではなく、1食カロリーが高いものを食べてしまったら、2日くらい軽めの食事にするなど、ある程度の期間で食事を考えることが重要だ。
■ダイエット中に食べたいもの
ダイエット中にお勧めのメニューを松本氏に聞いてみた。「この時期であれば野菜がたくさん食べられる鍋物はお勧めですね。あと、中華料理は少し油が多いのですが、野菜が多いのも特徴です。ほかの食事で油分を抑えれば中華料理もいいと思います」。毎食自炊ができれば食事の調節も容易だが、忙しいとついコンビニの食品で済ませてしまうこともある。「最近よくコンビニで見かける具だくさんスープやおでんもお勧めです。私もよくそういったものとおにぎりやおひたしなど食べることがあります」
さて、筆者が個人的に気になっていることは「ダイエット中の飲酒について」である。筆者は酒量はそれほど多くないがお酒が好きで、お酒を飲む機会が多い。ダイエット中の飲酒はどうなのか。「アルコールはエンプティカロリーといって、“カロリー以外の”栄養素がなく、体内で有効に利用されません。問題なのはお酒を飲んでいるときについついつまみを食べ過ぎてしまうことです。また、『飲んだ後にラーメンが食べたくなる』といいますが、お酒を飲むとアルコールが代謝するときに糖分が使われて、一時的に低血糖の状態になります。すると実際にはおなかがすいていなくても、何か食事をしたくなってしまうのです」
こうした普段の食事の内容を記録することがお勧めだ。「それほど細かく記録する必要はありません。食べた時間とメニュー、どのくらいの量を食べたかを記録しておくといいでしょう。やはり記録すると日常的に意識するようになります。一時期『計るだけダイエット』という毎日体重計に乗るだけというダイエットがありましたが、そういう方法も1つの手だと思います」
■では、始めてみよう
今回の松本氏のお話を参考に来月以降、筆者が実際にダイエットを行った結果をお届けする。次のようなルールで行う予定だ。・毎日3食バランス良く食べる
・毎回食事の内容を記録する
・毎日1万歩歩く
・毎朝体重計に乗る
・夕食は22時以前に食べる
もちろん体重の増減に応じてルールの改定や追加が発生する可能性もある。まず、来月まではこの5つのルールを基にダイエットを実行する。目標は大きく設定して「半年で20kg」の減量を目指す。それでは次回以降の結果をお楽しみに。
関連記事 Index | ||
|
@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。
現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。
これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。