TOEIC335点からの挑戦
第1回 「全国平均より低い人、初めて見た」
山本幸志
2008/3/10
■きっかけその1:深夜の電話でまごまご……
英語から逃げ回っていたような私が、なぜいまになって英語の勉強を始めたのでしょうか。それには2つのきっかけがありました。
英語が苦手であるにもかかわらず、私は外資系ベンダの関連会社に勤めています。とはいえ、普段はそれほど英語を利用する機会はありません。仕事柄、必要な技術文書が英語のものしかないということはよくありますが、日常的に会話が求められるようなことはありません。……時々内線で、英語の電話がかかってくること以外は。
ある日の終業後のオフィス。ようやく仕事が片付き、帰ろうとしていたちょうどそのとき、電話が鳴りました。もう真夜中に近い時刻です。こんな時間に何だろうと思いつつ、元気を出して明るく電話を取りました。
が、しかし……。相手が英語で、しかも早口で話し掛けてくるではありませんか! 明るく取ったまではよかったのですが、一気に暗くなってしまいました。
どうやら、すでに退社した人あての電話のようでした。そこまでは分かったのですが、「その者は本日帰宅しました」が口から出てきません。英語の得意そうな同僚も残っていません。こちらがまごまごしていると、「もういい!」という感じ(何といっていたかは分かりませんが)で電話を切られてしまいました。
このときのショックは大きかったです。相手に失礼な対応をしてしまったと思うとなおさらでした。相手が目の前にいれば表情やジェスチャー、紙に絵を描くなどの手段でなんとかコミュニケーションできるかもしれませんが、電話越しではお手上げでした。これが1つ目のきっかけです。
■きっかけその2:社員旅行の幹事でまごまご……
私の勤める会社は、全社の営業実績が年初の目標に達すると、翌年は社員旅行で海外に行けるという、いまどき珍しい会社です。
ある年、その社員旅行の幹事をすることになりました。幹事ということで、時には現地の人と交渉することも必要です。でも日本語しか話せない私は、ほとんど何もできずにいました。
が、しかし……。一緒に幹事をした先輩は、なんとも見事に話しているではありませんか! てきぱきと交渉を進める先輩の横で、私はジャパニーズスマイルを振りまきながら、心の中で自分のふがいなさをかみしめていました。
先輩は帰国子女なので、そのレベルになりたいとまではいいませんが、それ以来「自分も英語をまともに話せるようになりたい」と真剣に考えるようになりました。これが2つ目のきっかけです。
最近では、チャンスを見つけてシリコンバレーに数年行き、現地の人たちがどのように仕事をしているのか、どのような環境からIntelやCisco SystemsやGoogleのような会社が生まれてきたのか、今後どこへ向かっていくのかをこの目で見たいと考え始めました。そのためには、英語は必須です。
尊敬しているかつての上司にも、「英語を勉強しなさい。これからは英語ができないとチャンスをつぶすことになる」とたびたびいわれていました。
■最後の一押し:「全国平均より低い人、初めて見た」
「英語を話せるようになりたい、勉強しなきゃ」と思い、私は周囲で英語の勉強をしている人に方法を聞いたり、スクールに資料請求したりし始めました。レベルを測るのには、学生時代にお世話になったTOEICを使おうと決めました。しかし多忙だったこともあり、なかなか初めの一歩を踏み出せずにいました。
そんなとき、友人と会っていて、たまたま英語の話になりました。私は英語の勉強を始めたいこと、力試しにTOEICを受けようと思っていること、学生時代に英会話スクールに通っていたことを話しました。すると友人は、学生時代のTOEICの点数を聞いてきました。
当時の私のTOEIC最高点は、380点くらいだったはずです。そう話したところ、あっさりといわれました。
「全国平均より低い人、初めて見た」と。
TOEICのスコアは600点くらいあると就職で有利だとか、500点以上はないと履歴書に書けないとか、そういった話は聞いたことがありましたが、全国平均がどれくらいかという意識はありませんでした。それにしても、なんて失礼なことをいうのでしょう! 受験者の(ほぼ)半分は、平均点より低いに決まっているではないですか!
しかし、「初めて見た」などと珍獣扱いされたことは、28歳の私の心に深い傷を残しました。これはうだうだしている場合ではないと思ってしまい、とにかく始めることにしました。とどめを刺されたといったところでしょうか。
珍獣扱いで一念発起! しかし、その道のりは長い…… |
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