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第1回 パン屋さんの貸借対照表を作ってみよう

日本公認会計士協会準会員
小澤文子
2008/4/15

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(3)損益計算書(P/L)の仕組み

 では、1年たって2008年3月31日になったとしましょう。

 この1年間に、材料を15万円分使ってパンを作り、作った分は全部30万円で売れたことにしよう。あ、従業員には給料を10万円払ったことにしよう。

 損益計算書も、報告式と勘定式のどちらでも表せるけれど、今回も勘定式を使ってみましょう。

損益計算書(勘定式イメージ)

自2007年4月1日
至2008年3月31日
     
単位:万円
―――――――――――――――――――― 
売上原価
25
売上
30
利益
5
  
  
  
  
  
  

 この場合、左と右の違いは……? それと、売上は分かるけれど、売上原価って何ですか?

 まず右は、企業が経済活動で獲得した成果を表し、左は、その成果を獲得するために払った努力を表しているの。今期は、作ったパン全部が30万円で売れたという成果があり、そのパンを作るために材料15万円と給料10万円がかかったということ。売上原価とは、売れた分に対応した原価、つまり材料15万円と給料10万円の合計25万円となるの。

 それでは利益というのは?

 貸借対照表のところでも話したけれど、勘定式では必ず左右の合計は一致するという決まりがあったわよね? 損益計算書において経営成績は、成果(右)から努力(左)を差し引いた利益という概念で表されるの。だから、左に利益がくることで左右の合計が一致するときは、「成果−努力>0」だから黒字、右に利益がくることで左右の合計が一致するときは、「成果−努力<0」だから赤字、というわけ。

 なるほど、損益計算書の仕組みもだいたい分かりました。でも先生、今日は肝心の簿記の話がまだ出てきませんが……?

 それは次回のお楽しみ、ということで。最後に、2008年3月31日時点の貸借対照表も作っておきましょう。1年前の貸借対照表と比べてどこが変化したか、考えてみてね。

貸借対照表(勘定式イメージ)

2008年3月31日現在
 
 
 
単位:万円
 ――――――――――――――――――――
現金
50
借入金
90
材料
5
資本金
10
機械
50
利益
5


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筆者プロフィール
小澤文子(仰星監査法人)●東京生まれの千葉育ち。お茶の水女子大学英文科卒業後、まったくもって未経験だったコンピュータの世界に興味を持ち、日本アイ・ビー・エムにSEとして入社。会計システムをはじめとする中堅企業の業務システムSIに多数携わるが、勤続12年目の夏に突如思い立ち同社を退社。その後、長い受験生活を経て2007年公認会計士試験に合格、現在に至る。次なる目標は「一生に一度はお嫁にいくこと」。
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