第3回 イナバ君、ここまで理解すれば簿記3級レベル
日本公認会計士協会準会員
小澤文子
2008/6/16
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図3 決算書イメージ |
第1回(「パン屋さんの貸借対照表を作ってみよう」)の講義で見た損益計算書と貸借対照表だ〜! 試算表の残高が並んでできていたんですね。
ようやくゴールに到達! 今回は練習用に万円単位で作成しているけれど、一般的な決算書は、千円単位や百万円単位で作成されることを覚えておきましょう。
■3.システム屋として大切なこと
(1)仕訳を意識したシステム構築の勧め
さて。ここまであえてパソコンを使わず、手作業で帳簿や決算書を作ってきたけれど、これがもしシステム化されているとしたらどう?
システム化することで、集計作業は適宜、迅速かつ正確に行えるから、いつでも試算表を出力することができますよね? そうだ、仕訳帳から総勘定元帳への転記作業も、手作業でやったらミスすることもあり得るけれど、システムだったらそもそも「転記」っていう概念は必要ないんじゃないかな? 仕訳情報の集計単位を、勘定科目別にすればいいだけだもの。
そうそう、イナバ君のいうとおり! 要は、会社の取引が正しい仕訳となって会計システムに取り込まれてさえいれば、会計システムは完成したも同然!
そ、それはいいすぎじゃ……?!
もちろん、前提として気を付けなければいけないことはたくさんあるのよ。例えば仕訳は誰がどこで入力するか、考えてみましょうか。イナバ君のパン屋でA社に5万円でパンを売り上げたとき、次のようなパターンが考えられるわよね。
パターン1:販売管理システムと会計システムが独立している場合
(1)営業マンが、販売管理システムにおいて売り上げた事実を入力する
(2)経理部が、営業部から届いた売上日報を基に会計システムにおいて仕訳入力を行うパターン2:販売管理システムと会計システムが連携している場合
(1)営業マンが、販売管理システムにおいて(特に仕訳を意識することなく)売り上げた事実を入力する
(2)販売管理システムの日次の締めにより、売上情報から自動的に仕訳が作成され、会計システムに取り込まれる
パターン2の場合だと、販売管理システムの構築時点で、どんな仕訳を作成するべきか知っておかないといけませんね。
そうよ。会計システムに携わるときだけでなく、業務システム構築においても、業務の流れのどの時点でどんな情報が入力されれば、正しく仕訳を作成して会計システムに渡すことができるかを考える習慣を付けておくといいと思うの。
(2)簿記の基本的な流れを忘れずに
さっき、システム化すれば仕訳帳から総勘定元帳への「転記」はあえて必要ないといっていたけれど、本来の簿記の基本的な流れは忘れないでね。例えば、会計ソフトによっては「総勘定元帳入力」で仕訳を入力するようなものもあるけれど、それはあくまでも、同じ勘定科目が出てくる仕訳を効率よく入力するためにあるメニュー。せっかく簿記の基本的な流れを勉強したのだから、本来ならいきなり総勘定元帳からスタートすることはないってことは覚えておいてね。
はい、大丈夫です!
さらに、簿記の知識にとどまることなく、決算書の利用も含めた全体像を意識できるといいわね。今度は投資家の立場になって、決算書の分析について勉強するといいかも。
会計の世界は奥が深いなぁ……。
イナバ君簿記3級試験に挑むのか?! |
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