第12回 漫画の“やる気なしリーダー”に学ぶ、奉仕のリーダーシップ
ピースマインド・イープ
カウンセラー 石川賀奈美
2011/6/15
■ぐいぐい引っ張るのではなく、奉仕するリーダー
「サーバント」は「従者、奉仕者」という意味です。この言葉のイメージとリーダーは一見、矛盾しているかのように見えます。この言葉を生み出したロバート・グリーンリーフは、ベトナム戦争を引き起こした「ぐいぐい引っ張るリーダー」を嫌悪する若者と心が通じるリーダー像を探していました。
グリーンリーフの著書を訳した金井壽宏教授は、「サーバント=“旅人に奉仕する人”」とイメージすればよい、と説明しています。サーバント・リーダーとは、旅の目的をメンバー全員にしっかり認識してもらった上で、旅人に奉仕するリーダーです。
【カウンセラー用語辞典】 「サーバント・リーダーシップ」とロバート・グリーンリーフ |
提唱者ロバート・グリーンリーフは、アメリカ・インディアナ州生まれ。長らくAT&T社に務め、マネジメントやリーダーシップを研究し、後に「サーバント・リーダーシップ」という自伝的書物を発表した。日本では、金井壽宏教授が紹介し、それに賛同した資生堂社長の池田守男氏(当時)が経営に取り入れたという。 |
■サーバント・リーダーの10の特徴
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- 気付き
- 説得
- 概念化
- 先見力、予見力
- 執事役
- 人々の成長に関わる
- コミュニティづくり
※グリーンリーフ・センター長 L.スピアーズによる。
上記の要素は、本連載で「カウンセラーが使うスキル」として紹介してきた要素と重なるものが多数あります。これは、プロジェクトの使命を押さえた上で「メンバーの役に立ちたい」と願う心が前提となるリーダーシップです。
カリスマ的な強いリーダーシップは、時に間違いを引き起こします。それはこれまでの歴史が語っているところです。混乱の時代こそリーダーシップが求められますが、そのリーダーシップは「牽引するリーダーシップ」ではなく、上記のような「支えるリーダーシップ」なのではないでしょうか。
さまざまな個性的なメンバーが集まる開発チームにおいて、サーバント・リーダーシップは効果を発揮するでしょう。
■参考文献
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中竹竜二『リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』阪急コミュニケーションズ、2009年
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岸本斉史『NARUTO―ナルト―」巻ノ十三、二十一〜二十六』集英社
- ロバート・グリーンリーフ/金井壽宏監修、金井真弓訳『サーバント・リーダーシップ』英治出版、2008年
筆者プロフィール | ||
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