小川則明(TAC 情報処理講座)
2005/1/14
情報処理技術者試験は、「情報化人材の育成のための能力評価指標」として定着した。いまや情報サービス企業のみならず、一般企業や大学、専門学校などにも浸透し、能力認定手段として広範に活用されている。
IT(情報技術)の変化や時代のニーズを的確にとらえ、受験者の利便性向上を図るために試験制度を改定し、平成13年より新試験制度が開始された。新試験制度に関しては、独立行政法人 情報処理推進機構のWebサイトの「試験制度の概要(平成12年6月版)」(PDF版)を参照してほしい。
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その情報処理技術者試験制度の改定から4年目に入り、平成16年秋期の試験が10月17日に行われた。そこで、これまでの4年間の試験の傾向について解説する。今後情報処理技術者試験を受験する際の参考にしてほしい。
4年間の試験を振り返って
■応募者・受験者の推移
新試験が開始された平成13年からの応募者と受験者の推移を見てみよう(表1)。
試験全体の応募者数は、平成14年の80万3109人をピークとして減少傾向にある。平成16年は69万9928人と70万人を割っている。平成16年の応募者数を対前年比で見ると、13試験区分のうち、プロジェクトマネージャ、情報セキュリティアドミニストレータ、それにテクニカルエンジニア(エンベデッド)の試験区分は増加しているが、そのほかは減少していることが分かる。
3つの試験区分への受験応募者が増加しているのは、システムのオープン化に伴い、プロジェクトマネジメントの重要性が再認識されたことや、組み込み系の開発が増えつつあること、情報セキュリティや組み込み系を担う人材育成に対する企業の要求の高まりを反映した結果と考えられる。
応募者数の減少の大きい試験区分は初級システムアドミニストレータと基本情報技術者である。それぞれ3万1489人減と3万4818人減となっている。応募者の内容を見ると、初級システムアドミニストレータでは社会人の応募者が16.1%減と大きく、基本情報技術者の応募者を勤務先別で見ると、ソフトウェア企業が14.2%減、情報サービス業が15.6%減となっている。
初級システムアドミニストレータ試験は「利用者の情報リテラシーの評価」を目的に実施されているが、午前試験の内容が基本情報技術者試験と同様になって難しくなり、午後試験も難化傾向になってきている。合格率も30%を下回るため、試験の難化傾向を避けて応募者が減少していると考えられる。
基本情報技術者試験は、過去3回ほど試験問題の持ち帰りができなくなり、その影響で受験のための教材などが少なくなったことが、応募者の減少に影響していると考えられる。
応募者だけではなく、実際に試験を受ける受験者数も減少しているが、受験率は各試験区分でほぼ一定している。受験率の低い試験区分はシステム監査技術者の51.6%、テクニカルエンジニア(システム管理)の51.6%であり、受験率の高い試験区分は初級システムアドミニストレータの72.3%である。
■合格者の推移
合格者数を見ると、3けたの試験区分もあり、試験合格の価値が分かる。また、合格率を見ると情報処理技術者試験が難しい試験だということが理解できる。合格率は、ソフトウェア開発技術者が16.1%、基本情報技術者が16.3%、初級システムアドミニストレータが27.8%で、ほかの試験区分は7〜12%台である。
平成16年から合格基準が公開されているが、午前試験・午後試験のそれぞれの基準を満たさないと合格にならない。
表1 試験区分別応募者数・合格者数の推移(平成16年11月15日現在) | |
左の数字は上から応募者数、受験者数、合格者数 右の数字は上から受験率、合格率 |
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