加山恵美
2008/4/7

2008年2月末から、Oracle Database 11g対応資格試験、ORACLE MASTER Oracle Database 11gが始まった。11g資格取得のための移行試験スケジュール、アップグレード方法を中心に日本オラクルに取材した。

■製品提供開始から4カ月、新試験提供開始

　2008年2月末からオラクルは「ORACLE MASTER」（オラクルの技術認定資格制度）に同社データベース製品の最新版となる“11g”に対応した試験を開始した。製品としてのOracle Database 11gは2007年10月にリリースされたので、そこから約4カ月で資格制度に反映させたことになる。

　IT技術認定資格は数多くあれど、中でもORACLE MASTERは抜群の知名度と取得者を誇る。2008年2月末現在で日本の取得資格数は17万9000を超えた。数字のけただけ見ても圧倒的だが、日本の情報処理技術者がおよそ85万人（※2005年の国勢調査より）ということを考えても、かなりの普及率ともいえる。

　また＠IT自分戦略研究所が実施した読者調査（※参考「身に付けたいスキル、何ですか？」）を見ても、ORACLE MASTERの取得意欲は群を抜いている。ベンダ系資格の「取得済み」ではMCPに次いでORACLE MASTERのSilverがあり、「今後取得を目指す」ではトップがORACLE MASTER Silver、次いで同Gold、Bronzeと続きトップ3を独占している。多くのITエンジニアがすでに取得し、また多くのITエンジニアが目標にしている資格だ。

　この資格の最新動向を確認し、資格の価値についてあらためて考えてみよう。

■今後の試験提供スケジュール

　まずは2月末から提供開始になった試験について。

　今回開始されたのは10gから11gへのGoldの移行試験のみ（図）。Gold以外の移行試験、および移行ではない11gの試験は追って提供開始となる。そのため2008年4月現在、ORACLE MASTERで11gを取得しようとすると、10g Goldが必須となる。

　とはいえ、それ以外の試験もそんなに待たされることはなさそうだ。オラクルの発表によると、2008年5月ごろにSilverとBronzeの移行試験、およびSilver、Bronze試験を提供する予定だ。これでPlatinumを除き、10gから11gの移行試験がそろうことになる。また移行ではなく11gを新規で受験する場合でもSilverまでなら到達できる。

　つまり5月には既存の資格取得者の多くが11gに挑戦できることとなる。また11gから勉強を始めた新入社員でも、新人研修を終えるころには試験が始まっていそうだ。

　移行試験ではない11gのGold試験は、2008年夏ごろとなる予定。さらにPlatinumの開始時期は未定である。Platinumは、移行ではない11gの試験だけではなく、10gからの移行試験も含めてリリースに向け準備中（日本オラクル）とのことだ。

図　ORACLE MASTER Oracle Database 11g資格体系とリリーススケジュール

■気になる移行試験　Platinum？ 10gより前？

　「Platinumに移行試験？」と驚く方もいるだろう。なぜなら10gにPlatinumの移行試験はなかったからだ。 Platinum 9iからPlatinum 10gへの移行試験はなかったが、日本オラクルでは、Platinum 10gからPlatinum 11gへの移行試験をリリースに向け検討している。ただPlatinum 10gといえば、みっちり2日間もかけて実施する過酷な実技試験である。これが移行試験になると試験が1日に短縮されるのか？ まだ不明な部分は多い。

　もう1つ、10gよりも前の資格取得者にとってはどういう影響があるのか。原則的に、オラクルは製品もORACLE MASTERも、最新版から2世代前までサポートするため、9i関係の試験はしばらく残る。またいつまで残るか分からないが、ORACLE MASTERサイトの移行試験一覧を見ると、8iから10g、7から9といった1段抜かしの移行試験も残っている。まだ7や8の資格保有者でも最新版に追いつくチャンスはある。

　9iから11gへの移行試験はどうか。これも未公表ではあるが、「企画中」とのことだ。1段抜かしの移行試験はほかにもあるので、いつか提供されると期待してもよさそうだ。ただし将来的に11gを狙うなら、移行試験の提供開始を待つ間に10gまで追いついてしまった方がいいかもしれない。鉄は熱いうちに打て、である。

Silver 10gからGold 11gを目指すなら