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第3回 社会基盤そのものを作りたい―日立製作所

小林秀雄
2009/6/30

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数学もシステム開発も、深く考えることが大切

 インフラを切り口としてITの世界に入った磯和氏だが、ITエンジニアという職種とまったく無縁ではなかったことも事実だ。ITエンジニアとして働いている大学の先輩からは「数学的な考え方が生かせる」と聞いていたという。実際、「1つのことに対して深く考えることが大切なのは、数学もシステム開発も同じ」と実感している。

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 学生時代に情報工学を学んでいなかった磯和氏は、入社後の研修で情報工学を基礎から習得した。日立製作所では、6年目までのITエンジニアを対象に、座学とeラーニングによる技術教育カリキュラムが用意されている。「情報工学の習得レベルに合わせて密度の濃い研修が受けられたので、とても有意義でした」と磯和氏は振り返る。入社後に基本情報技術者試験に合格した磯和氏だが、今後さらにいくつかの資格を取得しようと意欲を燃やしている。

 研修を終えた磯和氏の“初仕事”は、システムの見積もりを作ることだった。システムの規模と費用を見積もることは、システムの全体を把握することであり、ITエンジニアにとって基本中の基本といえる。

 入社して8カ月目の2007年11月、いよいよシステムの開発そのものに携わることとなった。磯和氏が参画したのは鉄道会社向けの車両輸送計画を管理するシステムの開発プロジェクトだ。「インフラ関係のシステムは非常に大規模」だという。

 大規模なシステム開発をする場合、いくつものチームが分担して開発作業に当たる。車両輸送計画システム開発プロジェクトの中で磯和氏の所属チームが担当したのは、「車両のダイヤ作成を行うシステムの操作マニュアルの作成」と「データ移行の検証ツールの開発」だった。

 2008年4月からは、鉄道会社向けの車両メンテナンス管理システムを開発するプロジェクトに配属され、システム開発に当たっている。このシステムは、車両の新製から廃車までの一連の流れを管理するもので、鉄道会社のメンテナンス部門の業務を支援する役割を担う。

 プロジェクトには日立グループのITエンジニア約60人(2009年1月時点)が参画。この中で磯和氏は、メンテナンス作業の工程計画を立案し進ちょく状況を把握・管理するシステムの設計業務を経て、現在はシステム全体の整合性を維持し、プロジェクトで使用するソフトウェア開発支援ツールを導入する業務を担当している。

いいことも大変なこともプロジェクトで経験

 ITエンジニアというと、多くの人はPCの画面に向かってプログラムを作成する姿を思い浮かべるかもしれない。しかし、ITエンジニアにとってプログラミングはメインの仕事ではない。

 「システム開発の仕事はプログラムを作るだけではない」とは磯和氏も思っていた。しかし実際に仕事をしてみると、学生時代に漠然と考えていたものとはかなり異なっていたという。「顧客と会話して要求を聞くこと、それに基づいて設計書を作成すること、そしてプロジェクト全体をマネジメントすることが基本的な仕事です」と語る。プロジェクト全体のマネジメントとは例えば、見積もりの提示、仕様書の作成、顧客との契約、ソフトウェア開発工程における進ちょく管理など多岐にわたる。これが「システム開発のキモ」(磯和氏)である。

 磯和氏は、「ITエンジニアとして良かったことも、そして大変だったことも、このプロジェクトで経験しました」とする。良かったことは、入社2年目で顧客へのヒアリング、要件定義、設計という上流工程の仕事に携われたことだ。「とてもいい経験になっています」という。

 大変だったことは、鉄道に関する業務知識の習得だ。一人前のITエンジニアになるためには、IT関連の知識を深めるとともに、顧客や先輩が交わす言葉を理解できるようになることが欠かせない。「メンテナンス作業の工程計画という領域に関してはかなり分かるようになってきました。とはいえ、どんどん新しい言葉を覚えなければなりません。職場はアットホームな雰囲気で、分からないことは先輩や上司に率直に聞いています。勉強勉強の毎日ですね」

プロジェクトマネージャを目指して

 入社して3年目のいま、磯和氏には将来目指す道が明確に見えている。それは「プロジェクトマネージャになること」だ。大規模プロジェクトになると、かかわる人数は数百人ともなる。プロジェクトの遂行に数年という時間がかかることも珍しくない。そんなプロジェクトのマネージャは、大所帯の船団を目的地まで無事に届ける役割を担った船長の中の船長のような存在だ。高い技術力に加え、厳しさとメンバーに配慮する心を兼ね備えていることが求められる。

 磯和氏の上司は、日立製作所社内でも一目置かれる優れたプロジェクトマネージャだという。「上司は、常にプロジェクト全体に目を配り、メンバーに声を掛けて困っていることがないか聞くことのできる人です。私にとって目標となる人であり、道しるべ的な存在です」

 社会に貢献できる仕事に就きたいという夢をかなえた磯和氏は、「優れたプロジェクトマネージャになる」という次の夢を得た。そして情報システムを開発するという仕事を通じて夢を実現するべく、しっかりと歩き出している。


 

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