上田浩明(大阪電気通信大学 情報通信工学部 通信工学科)
2009/7/23
学生サークルの域を越え、プロの技術者コミュニティに参加してみないか! 高い技術に触れられることはもちろん、就職前にIT業界やIT企業に詳しくなれる、働くエンジニアの生の声が聞ける、世代を超えた縦のつながりを築けるなど、学生がIT勉強会に参加するメリットは大いにある。 |
本連載では、IT勉強会に参加したことのない学生の皆さんに向け、現役大学生として実際にいくつかのIT勉強会に参加している筆者らが、IT勉強会とはどのようなところかを学生の視点で紹介します。
第2回は、IT勉強会に参加するメリットについて、筆者の経験を基にお話します。第1回の記事「IT勉強会はサークルと同じくらい魅力的!」で、「IT勉強会って面白そうだな」と思われた方はいらっしゃるでしょう。しかし、まだまだ不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。今回は皆さんが抱かれている不安を解消するようなお話をします。
「IT勉強会カレンダー」(*1)などで気になるIT勉強会を見つけたら、早速スケジュールを調整しましょう。IT勉強会は全国各地で開催されています。自分にとって近隣で開催されるIT勉強会もあれば、遠方で開催されるものもあります。特に遠方の場合、はじめは参加をためらうかもしれません。ですが筆者はIT勉強会だけを楽しむのではなく、勉強会会場までの移動手段に楽しみを見いだしたり、「ついでにちょっとした観光をしよう」、という前向きな気持ちで、遠方のIT勉強会にも積極的に参加しています。考え方次第で、IT勉強会に参加する楽しみを何倍にも膨らませることが可能なのです。
(*1)はなずきん氏により制作された、日本全国のさまざまなIT系勉強会情報が日々更新されているWebサイト
多くの学生にとって、交通費や滞在費、勉強会参加費の負担はネックになるかもしれません。しかし、「IT勉強会に参加できるうえにその地を旅行できる」と思い、ちょっとアルバイトを頑張ってみてはいかがでしょうか。後で詳しく述べますが、IT勉強会の中には学生の参加費用を安くしていたり、交通費補助のあるところも多く存在します。筆者は勉強会に参加するかどうかを決めるとき、あまり考え込みません。そのときの勢いで決定してしまいます。ですから、「あ、このIT勉強会の内容が気になる!」「面白そう!」「この日なら大丈夫!」と思ったら、すぐスケジュールを調整し、思い切って参加申し込みをしてみましょう。
「どんな人がいるか分からないから怖い」「話が難しそうでついていけないのでは」など、初めてのときは不安が積もるばかりだと思います。
筆者も初めてIT勉強会に参加したときは、そんな不安でいっぱいでした。でも、実際に足を踏み入れると、参加者同士が親しげに談笑していたりとすごく雰囲気が良かったのです。ある時、勉強会の主催者の方が名刺を持ってきて「はじめまして〜、お! 学生さん! 楽しんでいってくださいね!」と気さくにあいさつをしてくださったことがありました。社会人が参加者の大半を占めるIT勉強会に学生が飛び込んでくるという時点で好印象に見られるもんです。
もちろん、周りを見わたせばまったく知らない人ばかりです。そこで隣の人や目が合った人には思い切って一言「はじめまして、○○と申します。よろしくお願いします」とあいさつしてみましょう。そうするとあいさつを返してくれますので、その調子で自己紹介などを交わせば、自然と雰囲気に溶け込むことができます。回を重ねていけば、「どんな人がいるか分からないから怖い」という不安は次第に消えていくことでしょう。
「話が難しそうでついていけないのでは」と思われている方は多いと思います。講師は参加者に物事を理解してもらうために壇上でしゃべっています。従って、参加者に分からないことがあるのは当然です。
事前に発表資料が公開される場合は資料に目を通し、発表内容に近いことをインターネットで簡単にでも調べておくと理解しやすくなります。また、質問時間が設けられますのでそこで積極的に質問してみるとよいでしょう。なお、調べたことと発表内容、分かったことは必ずメモを取りましょう。家に帰った後で内容を復習できますし、それによって身に付いたことは今後どこかで役に立つ日が来るかもしれません。
明るく前向きな気持ちで参加すれば何とかなるものですので、怖がることなんてありません。
IT勉強会に参加すると、同じ分野の話ができる学生との出会いがあります。IT勉強会で知り合い、その後チャット、SNS、Twitterなどオンライン上でもコミュニケーションを取り続ければさらに交流を深めることができます。
そして何よりも魅力なのが、IT業界の第一線で活躍されている社会人の方々と接する機会が増え、縦のつながりが生まれることです。
偶然話し掛けた相手は、IT業界では著名人かもしれません。そういう方とお話ができる機会は、普通の学生生活ではまずありえません。IT勉強会は、“普通の学生ができないことを普通にできてしまう”場なのです。当然ながら、IT勉強会では仕事の現場に関する議論が活発に繰り広げられ、IT業界で活躍されている方々の本音が聞けます。ここで知り得た業界事情は、就職活動で業種や企業を選択する際の大きな材料となるでしょう。
初対面の人にあいさつをするためには、名刺を準備しておくとよいでしょう。名前と所属、連絡先を伝えるには、名刺交換が最も簡単な方法です。
IT勉強会が終わった後には懇親会が開かれます。おいしい料理を食べて、お酒を飲みながら(未成年には絶対勧めませんよ!)、いろいろな会話で盛り上がります。勉強会の中で一番盛り上がる時間といっても過言ではありません。皆さんお酒が入っているので、より一層打ち解けやすくなります。
ここで名刺を持って回り、参加者の人たちと会話し楽しむことができればもう立派でしょう。懇親会は本音トークがなされる場面。IT業界に関する深いお話が聞ける絶好の機会です。最近では懇親会の時間を長く取り、2次会を企画するIT勉強会すら増えつつあります。懇親会には別途、懇親会参加費が掛かりますが、学生価格を設けているところがほとんどで、一般価格より非常に安くなっていることが多いです。社会人の方々によるせっかくの配慮ですので、ぜひ懇親会にも参加してみましょう。
学生価格は懇親会だけではありません。
IT勉強会に参加するためには交通費と参加費、そして懇親会に参加する場合は別途、懇親会参加費も掛かります。そこで、学生がどんどん参加できるように主催者の厚意で必要費用に学生価格を設定しているところが数多くあります。一般価格に比べると破格です。例えば「まっちゃ139勉強会」では、勉強会参加費の500〜1000円程度が学生なら無料、懇親会参加費の4000円程度が学生なら何と1000円です! そのうえ未成年には交通費の補助まであります! ほかにも学生を歓迎しているIT勉強会はたくさんあります。これはやる気のある学生をIT勉強会にどんどん引っ張り込むための1つの策であり、勉強会参加者の平均年齢を下げることにもつながります。やる気のある初心者が参加することによって、参加者全員が初心に戻ったかのような気持ちになり、心機一転やる気がわく、という期待があるのでしょう。主催者側にとっても学生が参加するメリットはあるのです。
最後に、これまでに述べてきた内容から、IT勉強会の参加に必要と思われるものをいくつか挙げてみました。
・勢い
・明るく前向きな気持ち
・名刺
・メモ帳
・参加費、交通費
就職活動を控えた学生の皆さんは就職活動の息抜きとして、IT勉強会に参加してみてはいかがでしょうか? 就職活動において何かしらのヒントが得られること、間違いありません。
それでは、皆さんとどこかでお目に掛かれることを楽しみにしております。
記者プロフィール |
上田浩明(うえだ ひろあき)●大阪電気通信大学 情報通信工学部 通信工学科4年 関西のセキュリティ系勉強会「まっちゃ139」に参加する傍ら、神戸情報セキュリティ勉強会「セキュメロ」スタッフを務める。セキュリティキャンプ2005に参加後、セキュリティ&プログラミングキャンプ2009ではセキュリティコースのチューターを担当する予定。主にネットワーク技術に興味がある。乗り物好きな趣味を活かして全国を飛び回る。 ▼ブログ ⇒ うえひろna日記 |
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