――では、どのようにすればKLabのインターンシップを受けられるのでしょうか。選考プロセスと、選考で重視するポイントを教えてください。
坂本:まずはエントリーシートを提出してもらい、それから選考に入ります。募集は毎月行っていて、秋以降も継続して行う予定です。最も重視しているのは、「本質的な頭の良さ」です。自分がいま何をしたいのか、そのために何をすべきかを考えられることが「本質的な頭の良さ」だと、わたしたちは思っています。
待っていれば何か与えられる、という受け身の姿勢ではKLabのインターンシップは面白くないと思います。ですので、「主体的に行動ができる人」に参加してもらいたいと思っています。学校や年齢、学部生であるか院生であるかなどはまったく関係ありません。まだ実例は少ないですが、今後は高専の学生なども積極的に受け入れていきたいと考えています。
――「ものは作ってみたいけれど技術面で自信がない」という学生は応募してきますか。
本田:実は、インターンシップは「技術スキルをそこまで持っていない」という参加者の方が多いんです。自分がやりたいことを明確に持っていれば、現在のスキルを考慮して相談しながらスケジュールを組みます。
坂本:「KLabは技術力が高いので……」と不安に思う学生もいるようです。でも、不安がる必要はない。大切なのは、技術に対する考え方と「これがやりたい!」という目標があるかどうかです。
――最終的にはどれくらいの人数を受け入れているんですか。
坂本:毎月数名程度です。うちの技術者は、本気で学生を育てたいと思っている。そのため、どうしても多くを受け入れられないのが現状です。その分、晴れてインターン生となった学生にとっては、KLab社員との濃い2週間が始まります。
――本田さんは2007年度にインターンに参加されたそうですね。「オーダーメイド」スタイルは、当時から確立されていたのでしょうか。
研究開発部アプリケーショングループ 本田裕昭氏 |
本田:そうですね。内定をもらった後、夏休みに一度インターンシップに来てくださいという話を受けました。
初日、衝撃的だったのが仙石(KLab株式会社 取締役CTO)からいわれた「何したい?」という一言でした。「じゃあこれをやって」ではなく「何したい?」といわれるとはまったく予想していなかったので。
「本田さんは、 技術者として今後どういうことをやっていきたいのか」と問われました。わたしは携帯やWebにかかわるサービスを作りたかったのでそう伝えたところ、その場で「じゃあやってみよう」とすぐに話が決まりました。
当時、わたしは「はてなブックマーク」をリスペクトしていて、はてブのようなアプリを作りたいと思っていました。でも、ただまねするだけじゃ面白くない。1週間かけて、ユーザーがコミュニティの中でブックマークを行えるというアプリを作りました。最後に社内で発表会を行い、サービスの良い点や修正点などについて、フィードバックをもらいました。
――インターンシップは、どのような体制で進みましたか。
本田:当時、参加人数は自分を含めて3人で、Kラボラトリーという少人数(当時は7名)のチームに配属され、その中で作業を進めました。2009年以降は、1人につきメンターが1人、という体制です。
作業中は、必要があれば社内の技術者の方に適宜、質問をします。技術者はIRC(Internet Relay Chat)に常駐していることが多く、相談すると誰かが答えてくれます。周りの人がすごくモチベーションが高いので、わたしの意識も高まりましたね。最初からこれをやりたい、という意識を持ってインターンシップに入ってくる人にはすごくいい環境だと思います。
――インターンシップで学び、入社後の現在も生きているスキルはありますか。
本田:「分からないことがあれば他部署の人でも積極的に質問する」という経験は、入社してからもすごく役に立ったと思います。
現在は、インターンシップで来ている学生さんをわたしが教えることがあります。そこで気付いたのは、コミュニケーションを取ることで「双方が成長できる」ということ。インターン生は質問を重ねる中で自分のつまずきに気付くし、わたしは教えているうちに自分が知らなかったことに気付かされる瞬間もあるんです。
つい先日もインターンシップ参加者の発表がありましたが、それまでWebアプリが動く仕組みを知らなかったのに、関連領域を勉強して簡単なサーバを作ってきた人がいました。入社前に技術スキルがなかったとしても、根本的なものの考え方がしっかりしていると、入社してからぐんぐん伸びると思います。
坂本:こちらも学生を育てようと本気なので、インターンシップに入る前と後では、けた違いにレベルアップする学生もいます。とても貴重な2週間になると思いますよ。「何かを作りたい」という気概がある学生に1人でも多く会えることをわれわれは楽しみにしています。
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