8月12日から16日にかけて行われた「セキュリティ&プログラミングキャンプ2009」。学生たちのキャンプ中の様子や特別講義の模様をレポートする。 |
豪華な講師陣がそろった「セキュリティ&プログラミングキャンプ2009」が、8月12日から16日にかけて行われた。セキュリティコース31人(大学生15人、高等専門学校生7人、専門学校生4人、高校生5人)、プログラミングコース30人(大学生8人、高等専門学校生5人、専門学校生3人、高校生11人、中学生3人)。合計61人の学生たちが熱心に(同時に黙々と)講義を受け、課題に取り組んでいた。
会場となった財団法人 海外職業訓練協会(OVTA) |
「みんな優秀ですよ。こちらが教えなくても、どんどん進めていっちゃう」
プログラミングコース 言語組の講師を務めた笹田耕一氏はそのように語った。Rubyおよびその言語処理系を題材とした科目である「言語組」の教室には、Rubyの言語処理系YARV開発者である笹田氏と、Ruby 1.9系統リリースマネージャの園田裕貴(Yugui)氏が講師として肩を並べていた。「これであと、まつもと(ゆきひろ)さんがいれば、Rubyの神様がそろっちゃうね」とプログラミングコース主査の吉岡弘隆氏は笑う。学生たちは作業に没頭していたが、記者がカメラを向けると、にこやかにピースサインを掲げてくれた。
科目ごとに教室が分かれており、それぞれの教室では雰囲気が異なったのが印象的だった。例えばOS自作組はグループごとに作業しながら講師陣(川合秀実氏や竹迫良範氏、天野仁史氏など、こちらも豪華)と活発に議論を重ねていた。セキュリティコースは比較的「黙々」系が多かったが、無線LANの電波状況を調べるという実習でノートPC片手に会場内を練り歩く学生たちもいた。
「課題も見えてきた」
吉岡氏は筆者に対し、そのように語ってくれた。応募してきた学生たちは「みんなとんがった人たち」であるとしながらも、「やっぱりスキルには差がある。特に、学校では教わらないような『深い部分』の知識が乏しい場合がある。そういうことを学生たちに伝えるような教育機関のカリキュラムが整備されていない」と指摘した。
例えば「16進数が使われている、ということを理解していないけど、プログラミングはできる」というケース。深い部分が分かっていなくても、ある程度のプログラミングはできてしまうのだ。学校教育でこうした部分をカバーできるのかは分からない。キャンプという形以外でも、何かできること、すべきことがあるのかもしれない。
4日目の夜、課題発表を明日に控える中、「特別講義」が行われた。横浜地方検察庁 小田原支部の通称「ハッカー検事」大橋充直氏による「ハイテク犯罪の現状 〜やって良いことと悪いこと〜」、そして、はてな CTO 伊藤直也氏による「プログラミングは世界を変える」である。
大橋氏は「このキャンプの参加者は非常に高いスキルを持っている」と断言しながらも、「スキルが高い人の未来は両極端。成功してすごいお金持ちになるか、悪用して犯罪者になってしまうか」だと語った。
「ハッカー検事」大橋充直氏 |
セキュリティ技術者にとって、技術の正しい運用は特に重要な課題だ。大橋氏は「セキュリティ技術は犯罪を誘発する。ハッキングが成功したら達成感あるでしょ」とおどけてみせた。それ以外にも、機械を支配することによる優越感や、技術悪用によるインターネット上での金もうけが容易であることを指摘しつつ、「人生を棒に振るから、やっちゃだめだよ」と警鐘を鳴らした。
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