就職すれば、Webデザイナーとプログラマは連携して仕事をする機会が増える。だが、お互いの考え方や視点には違いが多い。Webデザイナーとプログラマ、それぞれを目指す学生たちの討論会から、「分かり合えない両者が歩み寄る術」を考えよう。 |
「デザイナーとプログラマ、この討論会を通してお互い交流が進めばいいなと思っています」
9月4日、日本電子専門学校のWebデザイン科(AW)とオープンソースシステム科(JO)の学生有志による「手探り討論会 デザイナー×プログラマー」が開催された。Webデザイナーとプログラマは仕事をする上で関係する職種ではあるが、学生たちは「お互い交流することが少ない」と感じ、お互いの考えや志向性を交換する場を持ちたいと考え、この討論会を企画したという。
連載「ライバルに学べ! 学生スターエンジニアに聞く」の筆者でもある塚田朗弘氏が司会を担当し、それぞれの学科の学生、つまり「Webデザイナー/プログラマの卵」たちがパネリストとして登壇した。また、「Webデザイナー“的”存在」としてWebコーディネーターの鈴木やちよ氏、「プログラマ“的”存在」として技術者の高見知英氏がゲストパネリストとして参加。Webデザイナーを目指して勉強中だという学生、そま宗助氏も登壇こそしなかったものの、ゲストとして参加した。
討論会は当初、クローズドな学内イベントとして位置付けられていたが、要望があったため、当日の模様はUstream.tvで中継された。
左側がWebデザイン科、右側がオープンソースシステム科 |
討論会は「第1部」「第2部 #1」「第2部 #2」の3部構成で行われた。第1部では「お互いの学科を紹介&質問」と題して、それぞれの「目指す職種」「日々の授業や課題内容」などについて話し合われた。
Webデザイン科の学生は目指す職種として「Webデザイナー」「Webディレクター」を挙げたほか、授業でPHPを学ぶため「Webプログラマ」を目指す学生や、それ以外にも広告業界など、デザインの世界を突き詰める学生もいると語った。一方、オープンソースシステム科の学生はJavaやPHP、MySQLやPostgreSQLなどの勉強を通じてWebシステム構築を学んでおり、「Linux関係のシステムエンジニア」「プログラマ」「ネットワークエンジニア」を目指す学生が多いと語った。
日々の課題については、Webデザイン科は「1つのWebサイトを作り上げる課題が与えられる」という。「1ピクセルのズレまで追求しないといけない」という学生の発言に、オープンソースシステム科の学生は驚いた様子を見せた。また、ユーザビリティやアクセシビリティに関することも学ぶほか、「絵を描く授業もある」と発言。オープンソースシステム科の学生から授業の目的を尋ねられると、「Webデザインに直接つながるわけではないが、何かをデザインする際の『発想』を育てるのに役に立つ」と答えた。
お互いの学ぶ内容についての質疑応答では、Webデザイン科の学生から「Javaって、そもそも何に使う言語なの?」という質問が飛び出した。オープンソースシステム科の学生は「業務用システムなどによく使われる言語で……」と解説したが、こうした質問が出るということ自体、「Webデザイナー(の卵)」と「プログラマ(の卵)」の違いが如実に現れていた。
第2部 #1では「お互いの違いを感じる瞬間」について、用意されたテーマを元に討論が行われた。
「ファミレス」というテーマに対して、オープンソースシステム科の学生は「注文用端末のシステムの話? 使いづらいですよね」「人見知りで店員を呼ぶのに緊張しちゃうから、端末で注文できるのはいい」「口頭で注文するのと違って、聞き間違いが起きないのがいい」「(端末のプログラムが)何の言語で書かれているのか、とかを考える」など、プログラマ視点の発想を披露。
Webデザイン科の学生は「店員のサービス」についての話がまず頭に浮かんだと話し、「いきなり端末の話に飛ぶのが(プログラマっぽくて)面白い」と語った。また、鈴木氏が「メニューのデザインやフォントを見る。端末なら、押し間違えないようなデザインについて考える」と話すと、Usteamの中継を見ていた観客からチャットで「デザイナーは操作をミスると自分じゃなくてUIが悪いと考える。多分」と発言。これを受けてオープンソースシステム科の学生は「操作ミスをうまくはじくようなシステムを作ろうと考える」と、ここでも視点の違いが見える回答を提示した。
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