「学校では教えてくれない“クラウド勉強会”」レポート。楽天技術研究所のエンジニアが、学生向けにクラウド技術や分散化技術について分かりやすく説明してくれた。 |
初めまして。今回のイベントレポーター、慶應義塾大学大学院理工学研究科の井上敬浩です。2009年12月22日に楽天が主催した学生向けイベント「学校では教えてくれない“クラウド勉強会”」に参加しました。
僕はIT業界への就職を志望しているため、クラウドについて学ぶ勉強会などに参加した経験があります。しかし、これまでの勉強会では「Hadoop」や「Amazon EC2」などの技術的な話が多く、結局何も分からないまま終わってしまうこともしばしばありました。そんな中、学生向けに「クラウドとは何か」を1から教えてくれる今回の勉強会は、非常に貴重でした。
お題が「クラウド」であるせいか、会場には情報系学部で勉強しているITリテラシーの高い学生が集まりました。学生の大半がスーツでびしっと決めており、勉強会というよりは会社説明会のような雰囲気でした。
■ 楽天技術研究所ってどんなところ?
楽天技術研究所 高見真也氏 |
今回お話ししてくれたのは、楽天技術研究所で働く高見真也さん。前半はクラウドに関する一般的な話題、後半は楽天が行っているクラウドの試みについて、非常に分かりやすく教えていただけました。
まず、楽天技術研究所についてご紹介します。楽天技術研究所は、楽天の中でも特に最先端の技術を扱う部署です。
楽天技術研究所では、「サード・リアリティ」に対応するための研究を行っています。 「サード・リアリティ」とは、「現在インターネット上で起こりつつある3つの変化」のことです。
(1)Interaction(ネットの変化)
(2)Fusion(概念の変化)
(3)Collaboration(関係の変化)
「自然言語解析」「マルチメディア解析」「データマイニング」「分散フレームワーク」や「大規模分散」など、楽天技術研究所の研究範囲はさまざまな技術に及びます。そして、これらの研究から、分散フレームワーク「fairy (フェアリー)」、大規模グリッドシステム「ROMA(ローマ)」などの技術が生み出されました。この勉強会に参加するまでは、「楽天市場をもっと使いやすくするための研究を行っているのだろう」ぐらいにしか思っていませんでしたが、今回お話を聞いて楽天技術研究所が担う役割の大きさに驚きました。
そもそも、クラウドとは何なのでしょうか。「クラウドとはスケーラブルな技術を持ったサービスである」と、最初に高見さんはおっしゃいました。
クラウドのメリットは、「巨大なパワーが得られる」「スケールアウトが容易」「運用コストの削減」「電気代の節約」が挙げられます。クラウドを利用すれば、自社でサーバを持たなくていいので、管理・運用の面ではかなり人件費が抑えられます。金額も従量課金制の場合 が多いので、無駄がなさそうです。
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その一方で、デメリットとしては、「自然災害、特に停電時のデータの安全性に不安が残る」「人的災害、特にオペミスによる被害」「データセンターにある全マシン以上の性能は出ないので、クラウドにも性能限界がある」「システムの構成や規模によっては、クラウドでない方が安い場合がある」という点が挙げられます。そういう意味では、金融機関や証券取引所などでのクラウドの導入は、コスト面だけではなくリスク面も含めて慎重に検討する必要がありそうです。
「なぜクラウド技術が必要?」「今後、どういう使い方をするの?」 全部お答えします |
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