通常の就活イベントとは少し趣が異なる「逆求人イベント」。どのような学生や企業が集まって、どんなことが行われるのか、イベントの中身を見てみよう。 |
大学院生などを対象とした就職サイト『アカリク』は11月19日、東京都内で「IT逆求人イベント」を開催した。学生26人、企業12社が集まり、1日かけて行われたイベントの様子をレポートする。
このイベントは「逆求人」型である点が特徴だ。通常の就職イベントのように、企業がブースを出展して学生が見て回るのではなく、学生が事前にプロフィールシートを提出し、企業側が会いたい学生を指名する。学生は準備した資料をもとにプレゼンテーションを行い、企業の人事担当者やITエンジニアと話をする。
「アカリク独自で行うこのイベントは、昨年から始めました。昨年は、人気の学生を複数社で取り合うこともありました」
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アカリク 採用コンサルティング事業部の畠野拓人さんは、昨年の様子をそのように語る。
今回、学生は26人参加していたが、全員が大学院生であり、学部生は0人だった。プログラミングやデータベースなどのITスキルを保有していることが参加条件に設定されており、「通常の就職イベントでは出会えない学生が多い、と企業からもよくいわれる」(畠野さん)という。
1人の学生が1社と会う「1ターム」は30分間。そのうち、学生に与えられるプレゼンテーションの時間は最初の5分間だ。これが全部で10ターム。当日は11時30分からスタートし、19時45分まで続く。
「企業で働いているITエンジニアに、自分が研究していることを5分間で伝えるためには、『まとめる力』や『伝える力』が必要になります。それを1日に最高で10回も繰り返すわけですから、学生にとって良い経験になっているようですね。また、働いているITエンジニアからの指摘は、普段の研究では得られないフィードバックにもなっているようです」
それでは、当日の様子を簡単にレポートしよう。朝は学生と企業担当者がそれぞれ別の部屋に集められる。学生に対しては、当日の説明や名刺交換のレクチャーなどが行われる。
その後、20分ほどかけて学生と企業担当者の名刺交換が行われる。企業担当者は事前に目を通したプロフィールシートと、名刺交換時の簡単な会話を材料に、昼の休憩時間を使って「どの学生にどの順番で会うか」のスケジュールを組む。
学生と企業の名刺交換からイベントスタート |
昼休みに、企業担当者は「お目当ての学生」を選ぶ 写真はITエンジニアも連れてきていたグリーの面々 |
13時10分から、第1タームが開始。その後は適宜休憩を挟みつつ、10タームまで学生と企業の会話が繰り返される。
多くの学生はプレゼンテーション時に「自分はどんな人間か」「どんな研究をしているか」「自作アプリケーションの紹介」などを行う。それを受けて、企業側は質問をしたり、自社の説明を行ったりしていた。
学生たちのプレゼンテーションが一斉に始まる |
自身の研究や、自作アプリについて話す学生たち |
「大学院では統計情報を利用した教育支援システムの研究をしています。学部時代はプログラミング漬けの日々で、就職したら技術系の仕事をしたいと思っています。今日は、本格的な就職活動の初日です。アドリブが苦手なので、事前に資料を準備できる、このイベントのような形式はうれしいですね」
「昨年も参加したのですが、とても良いイベントでした。グリーの開発職採用はWebアプリ側とインフラ側をそれぞれ採用しているのですが、大型のイベントでは出会えない『インフラ側の学生層』と会えるのが良いですね。今日は開発職の社員を2人連れて来ています。事前に学生のプロフィールシートをいただけるので、研究内容や技術力などがインプットできるのもうれしいポイントです」
「昨年も参加して、ここから採用した学生もいました。いま、1人目の方とお会いしてきたところですが、しっかり自己PRできていましたし、わたしたちのことも勉強してくれていました。こういうイベントには、技術力に自信がないと参加できないと思います。そういうアグレッシブな学生に会えることを楽しみにしています」
「昨年、優秀な人材が多かったので、今年も出会いを求めて参加させていただいています。やりたいことが明確になっていて、それを語れる方が集まっていると思います」
「自分のやりたいことをどんどん進めていけるような、推進力のある学生を求めて、このイベントに参加しています」
イベント自体は「学生と企業を引き合わせる」だけであり、その後、気に入った学生がいれば、企業側から自由にアプローチが行われる。今後も関東と関西で毎月、同様のイベントを開催していくという。
学生にとっては、「企業が自分に興味を持ってくれる」という体験ができる上に、プレゼンテーションの練習にもなる。腕に覚えのある学生は、参加してみるとよいだろう。
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