第2部 #2では、学生たちがゲストの鈴木氏と高見氏に「デザイナーとプログラマの違いを感じるとき」について聞いた。両者の違いを感じたエピソードとして、高見氏は「Webシステムを作ってほしいという依頼を受けたとき、サーバは何を? って聞いたら、それすらよく分かっていなかった。OSもCGIも分かってなかったり。依頼するにしても、最低限のことは踏まえてもらえているとうれしい」と回答。また、「『使い勝手』という点については(Webデザイナーに比べて)うといかも」と両者の違いを表現した。
Ustream.tv経由のチャットが スクリーンに映し出され、 そこから議論が発展することも |
一方、鈴木氏は「例えば今日のようなイベントを開催するとき、プログラマの人は細かいところから詰めていって、しっかり組み立てて計画していく傾向にあると思います。デザイナーはその点、取りあえず当日うまくいけばいいか、みたいに、細かく決めない傾向がある気がする」と、何かを作り上げる際の姿勢の違いに言及した。
「ここだけは相手に口を出してほしくない」という点については、鈴木氏は「さっきも話が出たけど、ピクセル単位のズレ」、高見氏は「一度決めた仕様を変えないでほしい」と、それぞれの譲れないポイントを挙げた。
「お互い、最低限知っておいてほしいスキルや知識」については、鈴木氏が「Webデザイナーも、PHPを使うなら基礎からきちんと知っておかないと。逆にプログラマの人には、HTMLやCSSの基本的な部分は分かっておいてほしい」とまとめて回答した。これを受けてオープンソースシステム科の学生は「本当はHTMLやCSSはプログラマに任せてもらって、Webデザイナーには“デザイン”に集中してほしい。HTMLやCSSは全部、自分たちでやりたいと考えるのでしょうか?」と質問。Webデザイン科の学生は「HTMLやCSSを書くのもデザインの一部」と反論し、「Webデザイナーは情報を整理するのが仕事。マークアップは情報を整理している」という意見を述べた。
最後に「学生に持ってほしい視点や意識」について両ゲストに尋ねると、鈴木氏は「お互いが歩み寄って、手をつなぐことはできない」と前置きをしつつ、「自分の考えを踏まえた上で、相手の考えを聞くことはできる。自分の考えを押し付けるのではなく、相手の考えに耳を傾けよう」と、それぞれの違いを乗り越える術を語った。高見氏は「知ることのできる最低限の知識は、お互い知っておくといい。その上で、お互いに分からない部分を明確にしていけばいい」と主張した。
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討論会を終えて、司会の塚田氏は「Webデザイン科の学生は、話している姿勢や内容に『モノを伝えようという意識』がある気がする。オープンソースシステム科の学生は、どちらかというと静かですよね」と両者の違いについて語った。
学生主体の「手探り」なイベントだったためか、きっちりとした内容ではなく、その場その場で自由にパネリストが話す「ゆるい」構成だった。だからこそ、「Webデザイナー的」な、あるいは「プログラマ的」な考え方や視点の違いが見えたといえる。
就職すれば、Webデザイナーとプログラマは連携して仕事をする機会が増える。それぞれの「越えられない壁」を意識しながら、それでも理解を深めようとする交流の場は貴重だ。今後もこうしたコラボレーション企画は続けていくという。こうした取り組みが、「分かり合えない」Webデザイナーとプログラマの架け橋となっていくのかもしれない。
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