「急に同窓会の幹事を頼まれた」「会社の飲み会のセッティングをしなければ……」いう経験は誰もがあるはず。そんな時、強い味方になるのが飲食店ポータル最大手の「ぐるなび」だ。同社は国内で先駆けて「食」「と「Webビジネス」を融合させたというユニークな強みを武器に、「食」に関係するビジネス分野に次々と進出。2005年4月には大阪証券取引所ヘラクレスへ上場した。そんなぐるなびのサービスを支える、技術部門の仕事と位置付けとは? |
「食」を起点に事業を多角化するぐるなび |
飲食店の検索サイト「ぐるなび」がスタートしたのは1996年のこと。2000年に「株式会社ぐるなび」として本格的に事業をスタートし、現在は単なる検索サイトではなく、日本最大級のグルメ情報メディアとして、「食」と「Web」を融合したさまざまなサービスを展開している。
各地の美味をWebで注文する「ぐるなび食市場」やグルメにこだわる旅行を演出する「ぐるなびトラベル」、結婚式プランを支援する「ぐるなびウェディング」、さらに「ぐるなびデリバリー」など、検索サービス以外でも利用したことがあるユーザーは多いはずだ。ぐるなびは、単なる“レストランデータベースの検索サイト”ではなく、季節感や旬の話題を織り込んだグルメコンテンツを提供する、大規模メディアへと進化している。
同社のビジネスは、中核事業である検索サービスだけではなく、「食」に関するあらゆるビジネスを活性化することにある。“レストランのサポーター”を事業コンセプトとし、「ぐるなび」やさまざまな関連サイトを通じ、飲食店とユーザーとをインターネットを介して結び付けるだけではなく、2000年に誕生した「ぐるなびPRO」では、食材を提供する生産者や関連企業など(※ビジネスパートナー)と飲食店を仲介するプラットフォームを提供している。
以上のように、飲食店、ユーザー、ビジネスパートナーの三者にWin−Win−Winを提供するのが同社のビジネスモデルなのだ。(図1参照)。
図1 ぐるなびのビジネス領域とサービスプラットフォーム |
中核となる飲食店情報は、関連サイトでも貴重なビジネスデータとして共有されている。例えば携帯電話の決済機能を利用したスタンプサービスとして2007年9月に本格スタートした「ぐるなびタッチ」では、モバイル環境を利用して飲食店のマーケティング活動を支援するもので、モバイルサービス用システムと大元のデータベースとの連携は欠かせない。ほかの関連サイトも同様だ。
このように、中核となる飲食店のデータを基に、さまざまな機能を拡張して、一般ユーザー、食材サプライヤすべてのニーズを満たすサービスを提供する。これを技術面で支えているのが同社の技術部門だ。
ぐるなびのビジネスを動かす技術部門 |
ぐるなび 技術department 副部門長 半田純也氏 「“要件どおりにプログラムを組む”開発部隊ではなく、“自らが新サービス/コンテンツの企画に参画し、技術的な裏付けや優位点を説明する”という積極性やビジネスセンスにあふれた部門です」 |
技術部門の構成は、大きく「サーバ/インフラ系」と「サービスコンテンツ系」に分かれており、サービスコンテンツ系は制作と開発を担当、開発はさらに各種コンテンツに準じて、開発第1〜第3のグループの3つにカテゴライズされている。
このグループ分けは大まかなもので、例えば第1グループに属しているからといって、ほかのグループと関係ない……ということはない。もともと「飲食店データベース」を中核としてサービスを多角化してきたので、ほかのグループや周辺システムとかかわりは必ず発生するからだ。
確かに、サーバ/インフラ系とサービスコンテンツ系では、扱う対象や技術知識の面で多少の違いがあるものの、「例えば検索機能のブラッシュアップに際しては、データ構造の見直しはもちろん、プラットフォームのパフォーマンスなども影響します。そのため、各担当分野で完全分業しているのではなく、絶えずプロジェクトを組んでコラボレーションしています」(技術department 開発第2グループ 佐藤史彦氏)という。特定の技術知識だけをベースに黙々と開発するのではなく、ほかの専門知識を持つエンジニアとコラボレーションしながら、システムを進化させていくというイメージだ。
「ぐるなびは、飲食店や食材サプライヤなど、古くからあるリアルビジネス業界を支援しており、そのサービスの具体的なプラットフォームとしてWebサイトが存在するのです。ビジネスを大きくしていくのは社員全員ですが、中でも技術部門はそのサービスのリリースと運営について最も大きな責任があるので、やりがいも大きいですが、その分難しさもあるでしょう」と半田氏は語る。
技術知識から“アイデアを育てる”のが仕事 |
具体的な仕事内容はどのようなものか。佐藤氏が所属する第2グループは、同社の基盤となるレストラン検索事業と、そこに関連するコンテンツの企画・開発などを担当している。最も利用されているサービスであり、「路線を踏襲していく」「将来を見据え、バックエンドのシステムや機能をブラッシュアップしていく」と、一見相反するミッションを持っている。
いくつか例を挙げると、スクロール地図検索などレストラン検索方法の拡張や、また企画コンテンツと連動させるなどして、基盤となる加盟店情報を最適な形で一般ユーザーに配信することがミッションだ。「技術スキルだけではなく、『蓄積されている膨大なデータをどのように生かすか?』という企画力が必要です」と半田氏は語る。
ぐるなび 技術department 開発第2グループ 佐藤史彦氏 「自分の技術でビジネスを動かしている、というやりがいが得られる。これは受注型の一般SI企業では得られない、エンジニア魂が揺さぶられます」 |
実際、第2グループでマネジメントを担当している佐藤氏は、仕事内容について次のように語る。 「例えば季節特集記事は、文章、写真など記事制作自体は企画部門で作りますが、最終的にはレストラン情報に誘導することが目的です。そのためコンテンツ企画はもちろん、新たなサービスについて技術面からコメントを求められることが多く、日中は企画部門やWebデザインチーム、他グループとの打ち合わせがほとんどです。それを受けて、夕方から夜にかけて、必要要件を基にプログラム設計・開発の実作業に入ります。技術部門のメンバーはすべて、PCの前でずっとプログラムを組んでいるのではなく、社内のあちこちに出かけ、打ち合わせや折衝などを行っているので、いわゆる“プログラマ”というイメージとは異なるかもしれません」(佐藤氏)
エンジニアとして、会議中では技術知識から新サービスのアイデアを出す。開発に際しては、プログラムの設計・開発プランの策定と、場合によっては自分でプログラムを組む。プログラムを「組むだけ」の技術ではなく、その技術を基にどのような「アイデア」を提供できるか。半田氏が「技術部門の仕事はやりがいも大きいが、難しさもある」と説明したのは、以上のような理由による。
技術部門は「会社の柱」だ |
技術だけでなく、「企画力」も重視する。こうした企業だからこそ、技術部門は単なる“開発者集団”ではなく、「経営に携わる中心部門」と位置付けられている。
半田氏は「ぐるなびの場合、商品やサービス=Webサイトです。技術部門は、一般のメーカーでいえば、製品開発を担う重要部門といえますが、最大の特徴は『技術トレンドやほかのWebサービス企業の動きを押さえ、自分たちで企画を立ち上げる』ことにあります。普通、製品開発部門といえば、要件どおりの製品を開発することがミッションですが、私たちには“企画する”“企画に対し技術的な判断やコメント、アドバイスを行う”という一段上の役割が求められます。そのため会議などでの発言権は大きいですし、ぐるなびをドライブする部門としての権限や期待、課せられるミッションも非常に大きいです」と語る。Web企業として、ぐるなびがエンジニアに寄せる期待は大きい。そしてその期待は、従来の一般企業やSI企業とも異なり、技術力をもって自社の成長を加速させるという一点に集約されている。これが仕事のやりがいにつながるのだ。
ちなみにキャリアプランも非常に多彩で、エンジニアとしての一般的なキャリアを積めるのはもちろんのこと、常に社内関連部署とコンテンツサービスを主体に物事を考え仕事を進めていく流れの中で、企画やマーケティング担当といった“ヨコのキャリアプラン”の拡がりもあるとのことだ。個人のスキル・資質やチャレンジ精神を重要視しながら、実際に、エンジニアとして入社後、そうした部門に異動して更に個人の幅を拡げて活躍するケースもあり、柔軟性と可能性に富んだキャリアアップを期待できることも魅力のひとつといえる。
“タダのエンジニアでは終わらない”“いろいろなことをやってみたい”“技術力で会社の事業を支えたい”――そんな闘志に燃えるエンジニアならば、ぐるなびはそのチャンスを与えてくれるだろう。
株式会社ぐるなび
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT編集部
掲載内容有効期限:2007年11月16日
会社概要 |
■会社名 株式会社ぐるなび(会社案内ページへ) ■本社所在地 〒 100-0005 東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル ■設立 1989年10月2日(会社設立) 2000年2月29日(株式会社ぐるなび発足) ■資本金 23億2400万円(2007年3月末現在) ■従業員数 604名(2007年3月末現在) ※単体:パート・アルバイト除く ■事業内容 パソコン・携帯電話などによる飲食店のインターネット検索サービスその他関連する事業 ■売上高(連結) 117億4600万円(平成19年3月期) |
採用情報ページ |
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