
Tech総研
2011/1/19
| 2010年冬のボーナス。大手企業では前年比プラスに転じているものの、個人消費を刺激するには十分とはいえない。Tech総研によるエンジニア1000人のボーナス額調査の結果はいかに。(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載) |
| 冬のボーナス全体平均は56.2万円。 前年比7.25%のアップ |
日本経団連が2010年10月末に発表した東証1部上場大手企業の2010年冬のボーナス集計によれば、 回答企業の平均妥結額は前年比3.76%増の77万6949円で、3年ぶりに前年実績を上回った。まだら模様とはいえ、一部の業種で業績が回復していることが平均値にも反映されている。その一方で、中小企業の景況感は悪化している。9月の日銀短観では、中小製造業の業績判断指数はマイナス14。3カ月先の見通しについてはさらにマイナス幅が拡大している。こうした状況下では、たとえ足元に利益をためこんでいても、そう簡単にボーナスを弾めないというのが、経営者の心理だろう。
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さて、景気の足踏み、あるいはさらなる悪化も懸念される2010年末に、Tech総研がソフト系、ハード系のエンジニア各500人に聞いた冬のボーナス調査。全体の平均支給額は56.2万円(税込み)という結果が出た。回答ボードは異なるものの、2009年同期の調査結果では平均52.4万円だったから、7.25%ほどアップしており、増加幅は経団連調査を大きく上回っている。アンケートでも、2009年との比較で「増えた」とする人が49%いて、平均増加額は12万円だった。反対に「下がった」人は22%、マイナス幅の平均は11万円となっている。ちなみに、2010年夏のボーナス調査の全体平均は59.2万円だったので、これよりは3万円少ないということになる。
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図1 2009年と比べて、ボーナスは増えたか |
| コンサル・研究・開発など 上流工程にかかわるエンジニアが好調 |
それではアンケート調査の内容を詳しく見ていくことにしよう。職種ごとの比較では、60万円以上のボーナスを手にしているのは、IT系では「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」の74.7万円を筆頭に、「通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)」「研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか」の3職種グループ。ハード系では、「研究、特許、テクニカルマーケティングほか」がトップで63.7万円。次いで「素材、半導体素材、化成品関連」「生産技術、プロセス開発」「制御設計」が上位を占めている。
最も低いのは、IT系では「ネットワーク設計・構築(LAN・Web系)」45.9万円、ハード系では「サービスエンジニア」52.2万円となっている。IT系の場合、コンサルタントが高く、システム開発が中位に位置し、ミドルウェアやネットワークなどインフラ系は下位に甘んじるというのは例年の傾向。システム開発の工程上の上流・下流の違いがそのままボーナス額の差になっているようだ。
最近はソーシャルゲームやeコマースの盛況で、Webテクノロジやオープンソースを使ったシステム開発が注目を集めている。調査結果では、「システム開発(Web・オープン系)」と「システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系)」は同額だが、いずれも「システム開発(汎用機系)」を上回っている。Web・オープン系がシステム開発の中軸を占め、それらの技術を擁する中小システム開発企業の業績も好調であることを物語る数字といえるかもしれない。Web・オープン系やマイコン・ファームウェア・制御系は、いずれも2009年同期のボーナス額を若干ながら上回った。
ハード系では素材、化成品、生産技術などの職種が、機械・メカトロニクス、回路設計などよりも上位に出ている。これは化学・素材業界がエレクトロニクスやメカ業界よりも構造的に高給与という事情を反映しているともいえるし、あるいは、電池・材料・エネルギーなど素材系の分野の業績が好調に転じているという見方もできる。
職種をIT系とハード系でざっくり分けてみると、IT系が54.4万円、ハード系が58.0万円と、ハード系優位の状況は相変わらずだ。年齢別には、IT系エンジニアでは20代後半が45.8万円、30代前半が57.6万円と11万円以上の差がついている。ハード系の7万円よりもその差は大きい。
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| 業種の景気や企業規模の違いで、 ボーナス額に差がつく |
日本の賃金構造は、実際には職種別の差よりも、企業規模や業種による差の方が大きいといわれている。ボーナス額にもその違いが強く反映される。ボーナス額は、好調、不調業種を見極める重要な指標にもなる。
冬のボーナスを回答者の勤務先の業種別にランキングしたのが表2だ。上位は「外資系SIer(システムインテグレータ)/NIer(ネットワークインテグレータ)、コンサルファーム」「商社系総合商社・素材・医薬品ほか」「大手SIer/NIer、コンサルファーム、ベンダ」「マスコミ系」「総合電機メーカー」などとなっている。広告収入の激減や出版不況で打撃を受けているマスコミ業界が上位に顔を出しているのはやや不思議。高賃金体質はそう簡単に変わらないということかもしれない。
下位の5つは下から「繊維・服飾雑貨・皮革製品メーカー」「技術系人材派遣企業」「流通・小売系」「商社系電気・電子・機械系」「独立系SIer/NIer、ソフトハウス、コンサルファーム」などとなっている。トップの外資系SIerと最下位のアパレル会社を比べると、実に50万円以上の開きがある。
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このランキングを見る限りは、同じシステム構築を仕事にするにしても、業種の景気や企業規模の大きさを重点に選ぶべきということにはなる。逆にいえば、ボーナスを増やしたいのであれば、業種を越えた転職が有効ということでもある。しかし、そうした業種をまたがるキャリアップ転職がそんなに簡単にいかないことは誰もが知っている。ただ、好調な業界では、人材派遣で仕事をしていた人にも、正社員として採用されるチャンスが出てきた。今後、ボーナス額増大のための転職戦略はますます重要になるだろう。
| 「しょうがないか」──大半はあきらめモード | |
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