自分戦略研究所 | 自分戦略研究室 | キャリア実現研究室 | スキル創造研究室 | コミュニティ活動支援室 | エンジニアライフ | ITトレメ | 転職サーチ | 派遣Plus |
サイボウズ、脱ベンチャーへの人材戦略

第2回 ベンチャーでも、「長くコツコツ働く人」を評価します

唐沢正和
2008/10/9

1 2次のページ

ITエンジニアが能力を発揮できる人事制度とは。どのような考え方に基づき、どのように策定されるのか。サイボウズ 取締役副社長兼人事本部長 山田理氏に聞いた。

 サイボウズへのインタビューを通じて、「優秀なITエンジニアを集め、その能力を発揮させられる制度」を探る本連載。第2回は、「最長6年の育児・介護休業制度」および「成果重視と年功重視の選択型人事制度」導入の経緯、新人事制度全体の導入成果を紹介する。

より長く働ける会社へ。「ライフ重視」の人事制度を導入

 ベンチャー企業として急成長する中、人事制度について試行錯誤してきたサイボウズは、2006年2月に「成果重視型制度」を導入し、従来の結果主義から能力主義への転換を図った(第1回「『社員が納得しない評価制度』はもうやめた」参照)。

 そして、ベンチャー企業からの脱皮に向けた次のステップとして取り組んだのが、「より長く働ける」職場づくりである。具体的には、2006年8月に「最長6年間の育児・介護休業制度」、2007年2月に「成果重視と年功重視の選択型人事制度」を導入した。

 その背景について、サイボウズ 取締役副社長兼人事本部長 山田理氏は「多くの社員に長く働いてもらうためには、さまざまな働き方をうまく受け入れる仕組みが必要だ」と説明する。

 「ワークとライフのバランスをうまく取りたい人もいれば、ワーク重視で頑張りたい人もいる。働くうちに、ワーク重視からライフ重視に変わるケースもある。当社は創業時からワーク重視で走ってきたが、成果重視型制度の導入によって階層の定義を設定し、必要となる人材が見えてきた。そこで、ベンチャーからの脱皮を目指す次の成長ステップでは、ライフ重視への対応も欠かせないと考え、新しい人事制度の導入に着手した」

ベンチャー企業でも、私生活を犠牲にしなくていい

 まず導入した「最長6年間の育児・介護休業制度」は、特に女性社員の採用を意識したものだ。「一般的に、能力のある女性は、安定感があってブランドも定着している大企業を志向するケースが多い。しかし大企業に入ったからといって、ポテンシャルを最大限に生かして仕事ができるかといえば、そうではないはず。サイボウズのような成長期のベンチャー企業の方が、もっと活躍の場を提供できるだろう」と指摘する。

 子どもを育てながら働きたい女性には、「大企業は制度が充実している」「ベンチャー企業では仕事に追われてしまう」というイメージが大きいのだろう。こうした現状に風穴を開けるべく、サイボウズはベンチャー企業でありながらライフ重視の制度を採用し、女性が働きやすい環境の整備を図ったのである。

 山田氏は「育った人材が長期休業することは、ベンチャー企業にとってはリスクかもしれない。しかしそのために優秀な人材が多く入ってくるならば、リスク以上のメリットがあると考えている。『サイボウズは自分に合う企業』と思っている人が、出産や介護で一時キャリアを中断しても、戻ってこられるような環境をつくりたかった」という。

 次に導入した「成果重視と年功重視の選択型人事制度」は、社員が「成果重視型」「年功重視型」を選択できる制度。「年功重視型制度」では、「成果重視型制度」の評価軸の1つでもある「信頼感」によりフォーカスしている。長年付き合っている友人ほど信頼できるのと同じように、長くコツコツ働いている社員に対して、それに応じた報酬を与える。

 「成果重視型制度」が11段階の階層を定義しているのに対し、「年功重視型制度」は階層の定義を設定せず、チャレンジシートを基に、役割に対する姿勢や勤怠を3段階で評価し、昇給が決定する。大幅な昇給はない一方、減給もなく、まじめにしっかり仕事をこなしていれば着実に給料がアップする仕組みだ。

新人事制度、その導入の効果は?  

1 2次のページ



自分戦略研究所、フォーラム化のお知らせ

@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。

現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。

これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。