第11回 「居心地が悪いから転職したい」をうまくいい換える
アデコ 山口孝之
2009/11/10
目的別の実例を挙げながら、転職における成功・失敗の要因を探る。皆さんの参考となる「道」を探してほしい。 |
皆さん、職場の居心地は良いですか?
「突然そういわれても……」と、答えに困ってしまう方が多いと思います。仕事は遊びや趣味ではないので、居心地の良さを過剰に求めるのは良くないかもしれません。
でも、どうせ働くなら、働きやすい場所の方がモチベーションは向上するものです。今回は「居心地」にこだわって転職した方のエピソードを紹介します。
■ 外注社員に囲まれて
田村さん(仮名)は29歳のシステムエンジニアです。大学卒業後、中堅SI企業に入社して6年。主にWeb系のシステムが得意でした。
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エンドユーザーからの直請けの仕事も、大手SI企業からの請負仕事も、さまざまな仕事をこなしてきた田村さん。要件定義や細かな仕様調整など、上流工程の経験を十分に積んできていました。
転職を希望し、キャリアカウンセリングのために来社した田村さんに対し、筆者は現在までのキャリアやスキル、転職を考える理由をヒアリングしました。しかし、人当たりが良くコミュニケーションスキルに長けている田村さんが、転職理由になると口ごもってしまいました。
田村さん 「すみません、転職支援のカウンセリングに来て、転職理由を話せないなんて……」
筆者 「大丈夫ですよ。これから転職活動を始めるという段階では、理由がまとまっていない人も多いですから」
田村さん 「違うんです。まとまっていないわけではなくて……。実は少しいいにくいのですが……」
筆者 「けっこうですよ。今日は面接試験ではないので、ざっくばらんに話してください」
田村さん 「居心地の良い職場で働きたいんですよ。こんな転職理由じゃ、やっぱりダメですかね?」
筆者 「居心地ですか……。決してダメではないのですが、もう少し理由を具体的にすることと、本番の面接試験ではどういうかを考える必要がありますね」
田村さんはいまの職場に不満があったのです。「居心地が悪い」という表現を掘り下げてみましょう。
- 現在の職場は客先で、半年ほど前から常駐している
- 某中堅企業の社内Webシステムの開発で、5人チームで常駐
- 自分以外の4人は外注社員で、そのうち2人は顧客側に差配してもらった協力パートナー
同じ会社の人間とチームを組んでプロジェクトを遂行した方がモチベーションを維持できる、と田村さんは話してくれました。外注社員に囲まれるプロジェクトが始まって半年がたち、やりがいを感じることができなくなっていたようです。また、不満はこれだけにとどまらず、開発環境や開発マシン、出退勤の管理など、細かな面にも及びました。
筆者は田村さんに、自社内勤務の会社をお勧めしました。SI企業は客先常駐で働くことが多いですし、職場環境はそのプロジェクトによってさまざまです。会社を変えたとしても、また同様の状況に陥る可能性があり、根本的な解決になりません。いくつかの求人案件の中から事業内容や業務内容を勘案し、数件の求人をピックアップ。結果として3件、面接試験の機会を得ることができました。
次の関門は転職理由です。さすがに面接試験で「居心地が悪いので転職したい」とはいえません。そこで筆者は田村さんに、会社への不満を別のアプローチでいい換えてもらうようアドバイスしました。物事には裏表があります。同じことを良いようにも、悪いようにもいえるものです。「何々が嫌だ」といえる人は、「何々が好きだ」ということもできるはずです。
田村さんの転職活動は順調に推移しました。田村さんは面接で、「チームワークや会社への帰属意識を重視したい」と話し、自社内勤務ができる職場を探しているとアピールしたのです。面接官の印象も良く、2社から採用内定を獲得することができました。
その後、田村さんは2社ともに再び面談の機会を設け、職場見学もさせてもらったうえで転職先を決めました。最終的には、とても満足度の高い転職になったようです。
居心地の良さは人それぞれ |
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