第5回 その資格は、誰のための資格ですか?
樋口研究室
山口紀子
2010/12/15
資格は何のために取るのかもさることながら、「誰のために取るのか」も重要。自分のためか、相手のためか、それとも相手の「さらに先の誰か」のためか? |
ITの分野には、「資格」や「認定」がたくさんあります。
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樋口研究室には、資格取得を目指すエンジニアがたくさん集まります。われわれも、資格試験の過去問題を調べたり、択一問題や論文、論述問題の解き方を研究しています。
こうした活動を通じて気付いたことがあります。それは、勤めている会社によって、取得を推奨される資格、優先度の高い資格が、驚くほど違うということです。
今回は、資格とキャリアップの関係について考えてみたいと思います。
■ なぜ資格を取りたいの?
筆者は資格を取りたいというエンジニアに対して、「どうしてその資格を取りたいと思っているのか」を尋ねるようにしています。そう質問することによって、資格取得に取り組む真剣度が分かるからです。
例えばAさんは「資格を取ると専門的な知識が身に付く」といいます。
Bさんは「資格を取ることが昇格に必要だ」といいます。
Cさんは「資格を取ると顧客に信用される」といいます。
このように、資格を取ろうと考える理由はさまざまです。
■ その資格に決めた理由は何?
そこで筆者は次に、以下のようなことを尋ねてみます。
「IT分野の資格には、いろいろなものがあります。その中で、あなたがその資格を取ろうと思った理由は何ですか?」
Aさんは「その資格を受験すると補助金が出るから」といいます。
Bさんは「その資格なら毎月何度も受験の機会があるから」といいます。
Cさんは「その資格を取ると合格報奨金10万円がもらえるから」といいます。
ん、ちょっと待てよ。もっと自身のスキルアップやキャリアアップに関する言葉が出てくると思ったのですが……。
最後にズバリ尋ねます。その資格は一体、誰のために取得するのですか?
Aさんは「会社の指示で」といいます。
Bさんは「会社が指定している資格の中で、比較的合格しやすいから」といいます。
Cさんは「自社製品の資格なので」といいます。
このように、資格を取りたい理由を尋ねてみると、資格は自分のスキルアップやキャリアアップのためというより、会社の事情が絡んでいるケースがあります。
でもそれだけだと、ちょっと寂しいですよね。
せっかく受験勉強して獲得する資格なのですから、もう少し自分のキャリアアップにつながるような視点で資格を眺めてみてはどうでしょうか。
■ 資格には有効範囲がある
皆さんもご存じのように、高度情報処理技術者試験には「プロジェクトマネージャ試験」「ITサービスマネージャ試験」「情報セキュリティスペシャリスト試験」などがあります。
でも、プロジェクトマネージャの資格なら「PMP」もありますよね。システム運用管理なら「ITIL」もありますし、情報セキュリティなら「ISMS」もあります。
似たような資格があって、少し複雑だなあ、と思いませんか。でもそれには理由があります。
資格の大切な役目の1つに、あなたの専門性を第三者に証明する「証明書」となる、というものがあります。また、資格を認定する機関によって、その証明書が通用する有効な範囲があるのです。
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