第2回 読書会からBoFまで。IT勉強会を5つに分類
はなずきん
2009/8/25
●3. 読書会/コードリーディング
「何かを読む」ということで、読書会とコードリーディングをひとまとめにしました。実際にはいろいろな手法で勉強会が行われています。
読書会は、Webサイト上に議事録を公開している「Java読書会BOF」のように、読み手担当者が声を出して文章を読み上げ、全体的に議論の場へ発展していくようなカタチもあれば、章ごとに担当者を設けてプレゼンによる内容説明を行い、書籍に記述された技術の理解を深めるカタチもあります。読書会といっても、その種類は多様です。
一方、コードリーディングの場合は、書籍に記載されたコードを読み解くだけでなく、実際に公開されているコードを読み解き、例えばバージョン変更に伴うコードの改良箇所を確認したり、アプリケーション内の機能の実装方法を確認したりする場合もあります。
読書会やコードリーディングは参加者全員が指定書籍もしくは同一コードを基に議論を行うため、話題の中心になるものが明確です。そのおかげで、初めて勉強会に参加する場合に「どういう風に議論に入っていけばいいんだろう?」と悩むことは少ないでしょう。
以前、読書会を主催されていた方から伺ったのですが、指定書籍を読み終わる前に次バージョン対応版などが発刊される場合があるので、開催スパンは極力短めに取ることが多いようです。読書会を主催する場合は日程調整などが大変かもしれませんね。
●4. ハッカソン(Hackathon)/開発合宿
いろいろ学んだ中で実践を……となると、開発系の場合はハッカソンや開発合宿などが考えられます。
ハッカソンという言葉は「hack」と「marathon」を組み合わせた造語(参考:Wikipedia)で、マラソンのように長時間プログラミングを行うというイベントです。ハッカソンでは複数の人が同時にアイデアを出し合いながら開発を行うことによって、自分1人では考え付かなかった発見や気付きを得ることができるでしょう。
1日で足りない場合は、開発合宿というカタチで温泉旅館や研修センターに宿泊し、夜通し開発を行う場合もあるようです。合宿となるとちょっとハードルが高いかもしれませんね。これまでに開催されたレポートなどを参考に、参加を考えるといいかもしれません。
ちなみに合宿スタイルの勉強会は、毎回温泉旅館に宿泊して開催されるセキュリティ系勉強会の「セキュそば」など、開発者向け以外の勉強会でも行われています。
●5. ハンズオン
開発者だけが実践を行うのではありません。インフラ系やネットワーク系だって実践を伴った勉強会(ハンズオン)を行う場合があります。もちろん講師講演による座学でも知識や新しい技術の発見はあるかもしれませんが、やはり言葉を聞きながら、手を動かし、目で覚え、感覚をつかむというのは格別でしょう。
参加者が指定された環境をノートPC上に構築して持参する場合と、会場に環境が用意されている場合があります。勉強会は基本的に有志によって開催されているので、参加者分の環境を会場に用意するというのは現実的には難しく、前者のパターンが多くなります。「実践形式でやるよ!」「ノートPC必須だよ!」ということで、やはりちょっとハードルが高い勉強会ではあります。
■IT勉強会を楽しもう
ここに挙げた以外にも、「IT勉強会」のカタチにはいろいろなものがあると思います。参加したいカタチや、主催したいカタチは人によってさまざまです。どれが正解というものはありません。何よりもまず「楽しむ」ということが大事なんじゃないかな、と思います。世界遺産で開催してみたり、天候に左右される「最高」の場所で開催してみたり……なんて遊び心も、IT勉強会の面白いところだと思います。
「勉強」という言葉がついているので、「何かを学ぶのに、なぜ楽しみが必要なんだ」と思う人もいるでしょう。ですが、「IT勉強会」で得られるものは知識や新しい技術だけではありません。「行けば何かに出会えるかも……」という受け身のスタンスではなく、「何かを得よう」と積極的に参加してみてください。職種や世代を超えたつながりなど、普段の仕事関係や学校の友人関係とは異なった「つながり」の経験が得られるはずです。
特集「勉強会の夏、カンファレンスの夏」は明日以降も毎日更新予定。
- 「DevLOVE」主宰の市谷聡啓(papanda)氏による「社内勉強会と『勉強会エコシステム』のススメ」(8月26日公開)
- YAPC::Asia 2009主催のJPA 牧大輔氏に聞く「牧大輔氏インタビュー『YAPCで人とのつながりを』」(8月27日公開)
- 勉強会やカンファレンスはエンジニアに何を与えるか? 「よしおか×角谷対談『勉強会に眠る宝物』」(8月28日公開)
エンジニアライフの特設コラムでは特集期間中、特集の裏話などを更新予定です。コメント欄には、特集へのご意見やご感想、「この夏、初めて勉強会に行きました」「今度、初めてあのカンファレンスに参加する予定です」「初めて勉強会を主催してみました」など、勉強会やカンファレンスにまつわる「初めて」のエピソードの投稿を募集しています。
筆者プロフィール |
はなずきん 関西を中心に活動するまっちゃ139勉強会設立メンバー。 そのほか、ITPro向けのAdmintech.jpや関西OpenOffice.org勉強会などのメンバーとして、初心者や学生にも参加しやすい雰囲気の勉強会をめざして日々活動しています。 連載 はなずきんの「IT勉強会に行こう!」 Webサイト インフラ管理者の独り言 IT勉強会カレンダー |
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