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第3回 学生諸君、「就活としての勉強会」に参加せよ

よしおかひろたか
2008/9/29

エンジニアの開催する勉強会が増えている。本連載では、かつてシリコンバレーで「勉強会の文化」に身を置き、自らも長年にわたって勉強会を開催し続けている「生涯一プログラマ」のよしおかひろたか氏が、勉強会に参加し、開催するためのマインドとノウハウを紹介する。

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 先日、「エンジニアの未来サミット」というイベントに、パネリストとして参加した。

 そもそものきっかけは、『「10年は泥のように働け」「無理です」――今年も学生と経営者が討論』という記事だ。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が開催した討論会で西垣浩司理事長の言葉にかみついた形の記事。IT産業で働くとはどのようなことなのか、考えるきっかけになる。

 本連載「初めての勉強会」では、技術者としてどのようにサバイブしていくか、その手段として、「勉強会」をどのように利用し尽くすのかということをテーマの1つとしている。

 上記のようなイベントも、どのように技術者としてキャリアアップしていくか、どのようにサバイブするかという観点からの議論を含むので、あながち無関係というわけでもない。

 今回は、勉強会の参加・開催という本来の連載の趣旨とはちょっと離れて、技術者としてサバイブするためにどのように勉強会を利用し尽くすのかを、「学生の視点」から考えてみることにする。

学生だって勉強会へ行こう

 今回のようなテーマを書く直接的なきっかけは、上記のイベントに参加して、ギークのおじさんたちが勝手なことを話しまくり、学生の言葉を十分聞けなかった、という反省点からきている。

 ここでは、就職活動をしている学生向けに、勉強会をどのように利用するのかを個別具体的に説明する。

 就職活動時は、情報が必要だ。だが、組織と個人という軸で考えた場合、情報の非対称性、すなわち、必要な情報の量や質はどうしても組織の中に蓄積される傾向にある。個人で入手できる情報には限りがある。まして社会人経験のない学生にとっては、何が必要な情報なのか、どのようにして必要な情報を入手するのか、その方法論すら十分明らかになっているとはいえない。

 自ら積極的に「エンジニアの未来サミット」やIPAのイベントに参加するような学生は、どのような情報が必要か自ら気付き、情報入手の必要性を理解し、実践しているのだから、問題はない。しかし、そうではない普通の学生には、就職活動時にどんな情報が必要で、どのようにして入手すればよいかは分からないだろう。

 そこで今回は、IT業界へ就職を希望している学生向けに「初めての勉強会」を考えてみた。題して「就活(就職活動)としての勉強会」だ。

就活メソッド

 OB/OG訪問で入社2〜3年目の先輩を訪ね、お話を聞くというのが定番の就活メソッドである。企業説明会やWebなどのフォーマルな情報と違って、先輩から話を直接聞けるというのは大きなメリットだ。しかし、OB/OGといっても、会社から「あまり業務に踏み込んだ話をしないように」「ネガティブな話題はしないように」などとくぎを刺され、いかにその会社が素晴らしいかを売り込んでこい、といわれている可能性がある。

 サークルの先輩後輩であれば、学生時代から人となりをよく知っているので、「本音と建前だな」というのも分かる。しかし、ほとんど知りもしない先輩であると、その話のリアリティをどう評価するか、難しい部分がある。

 実際問題、入社2〜3年の社員が会社全体の仕組みをどのくらい理解しているか、会社の上司がどのような仕事をしているのか、厳密に理解しているだろうか。心もとない部分がある。

 そこで勉強会である。

 勉強会は就活のためにあるのではない。何かを学びたい人が、学びたい項目について、自らの時間とエネルギーを割いて、自主的に集まって勉強する、そんな場である。普通はなかなか会えない人々がいる場である。

学生が勉強会に参加するメリット

 学生にとって、勉強会に参加するメリットとは何か。

 もちろん、勉強会には、対象としているテーマについて学べる、という直接的なメリットがある。しかしそれ以上に重要なことは、その問題についてのエキスパートと知り合いになれることや、さまざまな社会人、例えば経験豊富なベテラン中のベテランにも、社会に出て2〜3年の若者にも、もちろん初心者にも、出会うきっかけが得られることだ。

 OB/OG訪問だけではなかなか出会うことができない、幅広い層の社会人と知り合いになれるのである。このメリットについて学生はもっと意識した方がいいと思う。

 社会に出て働くとはどういうことなのか。会社で仕事をするというのはどういうことなのか。技術はどのように使い、どのような問題があるのか。なぜ勉強会に参加するのか。なぜ勉強を続けるのか。多様な観点からさまざまなことが学べる。これは就活で得られる経験以上のなにがしかを、学生であるあなたに与えてくれるはずだ。すでに内定を得た人でも、そうでない人でも、勉強会に参加する価値はある。

 そして、勉強会での出会いをきっかけに、ひょっとしたらアルバイトやインターンの口を得るかもしれない。それが縁で就職が決まるかもしれない。

 そのような機会が勉強会には満ちているのである。

主催者・参加者にとって学生が参加するメリット

 勉強会も長いこと続けていくと、だんだんマンネリになる。参加者も固定化してくる。そうすると参加者のモチベーションも下がり気味になる。コミュニティとしての勉強会の平均年齢も少しずつ上がってくる。

 こんなとき、学生が参加すればどうなるか。初心者の参加により、勉強会本来の目的である「当該の話題について勉強をする」という原点に戻れるし、活性化にもつながる。ひょっとしたら、参加者の所属する企業で、必要としている人材が確保できるかもしれない。

 人材確保という観点からいえば、勉強会に参加するような学生であるから、その時点ではるかに積極性があると評価できるし、向上意欲が高いと見ることもできる。目的意識も高いであろう。人となりも勉強会での態度で大体分かるし、マッチングの機会としても悪くない。

 ただし、主催者側は意識して学生をリクルートしないと、なかなか彼らのアンテナに引っ掛からない。なんらかの仕組み作りを考えないといけない。

 勉強会を活性化するためには、適度な新陳代謝が必要である。そのために、意識して初参加の人をリクルートする必要がある。参加のハードルを下げるために、「学生さん大歓迎」というスタンスを取ることは、主催者にとってもメリットがある。

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