エンジニアライフ時事争論(12)
まずはこれを読んでおけ!
技術者が選ぶ「おススメ本」
@IT自分戦略研究所
2010/7/6
「読書」経験は多様性に満ちている。必要な知識を得るため、気分転換のため、新しい世界を知るため――読書する理由は人それぞれ違い、選ぶ本も十人十色だ。だから、世の中のエンジニアがどんな本を読み、何を得ているのかを知ることは、「自分が知らない本」に出会える最良の機会ではないだろうか。
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今回のテーマは「人生の1冊」「おすすめの1冊」。エンジニアライフのコラムニストが厳選した「おすすめ本」を紹介していこう。なお、記事の最後に「書籍リスト」を掲載しているので、こちらも参考にしてほしい。
■エンジニアとしての人生に影響を与えた本
まずは「名著」から紹介しよう。「Are You Sure?」の佐藤正明氏は、「エンジニアとしての人生に影響を与えた本」を5冊紹介している。
- アンドリュー・ハント、デビッド・トーマス『達人プログラマー』
- デール・カーネギー『人を動かす』
- ジェームズ・C・コリンズ 、ジェリー・I・ポラス『ビジョナリーカンパニー』
- 洪自誠『中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚』
- 尾田栄一郎『ONE PIECE』
『達人プログラマー』は、佐藤氏にとって「ソフトウェアを設計する思想に最も影響を与えた本」だという。「継続することによって少しずつ知識を増やす」「変化へ対応するためには幅広い技術の知識を増やす」など、エンジニアのキャリアを考察する際のヒントがたくさん詰まっている名著だ。
『人を動かす』は、若手チームリーダーやプロジェクトマネージャにおすすめの1冊だ。特に「批判も非難もしない。苦情もいわない」「卒直で、誠実な評価を与える」「強い欲求を起こさせる」という「人を動かす3原則」を初めて読んだときに「目から鱗が落ちる思いがした」と、佐藤氏は語る。
■エンジニアが選ぶライトノベル2選
日々忙しいエンジニアにとって、「気分転換」は重要な日々のスパイスである。「不思議そうで不思議でないちょっと不思議な現場の話」の野口おおすけ氏は、気分転換にもってこいな「気楽に読めるライトノベル」2冊を紹介してくれた。
葵せきな『生徒会の一存シリーズ』は、野口氏いわく「これほどまったり読める作品はそうそうない」ライトノベルである。舞台はとある高校の生徒会室、生徒会メンバーが行う「会議」という名のゆるい雑談がメインの物語だ。
もう1冊、野口氏が勧めるのが、夏海光司『なれる!SE ――2週間でなれる? SE入門』。主人公は不安と期待を胸に、IT企業に入社した。ところが勤め先が実はブラック企業で、主人公はさまざまなトラブルやデスマーチに巻き込まれてしまう。本書の読みどころは、主人公の上司が語る「エンジニアとして忘れてはならない心構え」やシステムを組み上げたときの達成感など、初心を思い出すエピソードが盛り込まれているところだ。「IT業界に勤めている人だからこそ分かる、苦しみや楽しみが詰まった1冊」と、野口氏は勧めている。
■デスマーチの日々を支えてくれた漫画
「デスマーチ」つながりで、もう1冊紹介しよう。『息の長いエンジニアでゆこう』のヨギ氏は、「デスマーチの日々を支えてくれた漫画」として、寺沢大介『将太の寿司』を紹介している。
「将太のすごいところは、どんなに悪いことがあっても『絶対に環境や他人のせいにしない』ところなのです」と、ヨギ氏は語る。主人公である将太は物語の中でさまざまな困難に見舞われるが、どんなときでも泣き言1ついわず徹底的に努力して、最後には難題を解決する。
『将太の寿司』を読んだヨギ氏は、「仕事においては、『もうこれは駄目だ』と思ってからが勝負なのでは」と感じたという。ベテランエンジニアにとっても新人エンジニアにとっても、必ず得るものがある、とヨギ氏は勧めている。
■SFから学ぶプロジェクトマネジメント
エンジニアとしての仕事に必要なエッセンスを学べるのは、技術書やビジネス書だけではない。『プログラマで、生きている』のひでみ氏が勧めるのは、ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』。SF小説から「プロジェクトマネジメント」について考える。
物語は、「宇宙服を着た人類と思われる死体が月面で発見された」ところから始まる。ところが、この死体は5万年前のものだった。「ありえない死体」の謎を解くため、主人公のハント博士はさまざまな分野の研究者と協力しながら調査を進めていく。
プロジェクト当初はばらばらだった研究者たちが、ハント博士を中心にまとまっていく姿を見て、ひでみ氏は「ハント博士の仕事はプロジェクトマネジメントそのものだ」と思ったそうだ。「理想のプロジェクトマネージャはハント博士」と、ひでみ氏は明かしている。
■「人に嫌われているかもしれない」と思ったときの1冊
「It’s Party Time!」のあずK氏は、「人に嫌われているかもしれないと思ったときに思い出す本」として、飯島愛『PLATONIC SEX』を紹介している。親の愛情を信じられなかった著者が、大人になったときに放った一言が忘れられないという。
「わたしは遠回りをして、家族や恋人や友達の大切さを知った。愛されていることを実感できる人は、他人を愛することができる。わたしに大切なのは愛することだ」
「『人に嫌われているかもしれない』と思ったときは、この言葉を思い出す」と、あずK氏は語る。主人公の両親は主人公を愛していたが、本人はその愛情を信じられなかった。同様に、相手ではなく自分が心を閉ざしているから、「あの人に嫌われている」と感じるのかもしれない。「大事なのは、自分自身の態度や思いを内省し、相手と対話をすること」と、あずK氏は語る。
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