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コミュニティイベント潜入記

11組×5分間――デブサミ2009 コミュニティLTレポート

岑康貴(@IT自分戦略研究所)
2009/2/23

開発者のためのITカンファレンス「Developers Summit」。2009年もさまざまなセッションが行われた。その中で、多くのコミュニティが一堂に集うライトニングトーク大会が催された。その模様をレポートする。

 
司会のよしおか氏は着物姿で登場
 

 「つなぐ、つながる、そして未来へ」というテーマで開催された、開発者の祭典「Developers Summit」(デブサミ)。2009年もさまざまなセッションが行われた。2月12日に行われた「コミュニティから選出のLT大会」では、11組のコミュニティからの参加者が登壇し、ライトニングトーク(LT)を行った。

 司会のよしおかひろたか氏は着物姿で登場。そのまま、勉強会主催者のためのコミュニティ「勉強会勉強会」のLTをよしおか氏自身が行った。

 よしおか氏は「勉強会の主催者になりましょう。以上!」と開始10秒で結論を提示し、「残りは補足」という名目で「勉強会勉強会」の設立経緯や趣旨を説明。「勉強会やコミュニティ活動をもっと楽しくしたい」と語った。

漫才形式でLT

 2番手は「DevLOVE」。「RubyKaigiの帰り道でできたコミュニティ」であるというDevLOVEは、「開発の楽しさを発見しよう。広げよう」「開発の現場を前進させよう」という目的を掲げている。「現場を変えるためには、まず自分が変わる」必要があるというメッセージを巨大なフォントでプレゼンテーションしていたのが印象的だった。

 3番手は「日本OpenSolarisユーザーグループ」。OpenSolarisに関する情報を共有するコミュニティであり、LTでもOpenSolarisの概要を皮切りに、インストール方法などを小さなフォントで映し出していた(ただし、LTは5分間という限られた時間で行われるため、「時間がないので割愛」と飛ばされていた)。月1回のペースで勉強会も行っており、「若い人を募集中」だという。

 4番手は「Linuxコンソーシアム」。今回唯一の「プレゼンテーション資料なし」で臨んだLTは、2人組が漫才形式で進めるという意外な形式。Linuxコンソーシアムのリッチクライアント部会についてひたすらボケるという不思議なLTに、よしおか氏も「プロかと思った」とコメントを残した。

DevLOVEのスライド資料

LT中に懇親会の勧誘

 5番手は「オブジェクト倶楽部」。登壇者の懸田剛氏はコミュニティの話をほとんどせずに、ひたすら「沢田マンション」について語るという異色のLTとなった。沢田マンションとは、高知県高知市にある、夫婦2人で作り上げたマンションのこと。「アジャイル開発とは頼み手と作り手が近づくことだが、沢田マンションは頼み手がそのまま作り手になってしまっている」と沢田マンションの「アジャイル性」を説く不思議なプレゼンテーションは、本セッションのハイライトといえるだろう。

 6番手は「要求開発アライアンス」。「要求とは開発するもの」という考えの下、「要求開発2.0」を提案。「体系が分かりにくい」「どう使ったらよいのか分からない」という悩みに答えるものを作っていくという。

 7番手は「プロジェクト・ファシリテーション・プロジェクト(PFP)」。プロジェクトファシリテーション(PF)とは「プロジェクトの成功と、プロジェクトにかかわる人のやりがいの両立を目指すチーム作りの活動」だという。レゴブロックを活用したPFの実践例「バグレゴ」を紹介するとともに、「今日、これから懇親会を行うので、参加しませんか」と、その場で参加者募集を行うという異例のプレゼンテーションとなった。

会場は満員御礼

元祖 高橋メソッド登場

 8番手は「日本Rubyの会」。代表の高橋征義氏は「(コミュニティは)あんまり好きじゃなかった」と語り、その理由を「狭そう」「外から新しい人が入りづらいのではないか」と述べた。しかし一方で「狭さ」ゆえに「手取り足取り教えられる」「気持ちを伝えやすい」とも語り、コミュニティの「内輪感」のメリットとデメリットを分析した。なお、高橋氏は「高橋メソッド」(巨大な文字のみを使用するプレゼンテーション技法)の提唱者であり、この日の資料も高橋メソッドで作られていた。

 9番手は「Antenna Project」。最初に「今日はお友達を募集しに来ました」と語り、プロジェクトの詳細を説明した。「クライアント寄りの『何か』を作る。『何か』って何? とは聞かないで」と笑いを誘いつつも、「プラグインを利用した何か」「プラグインの設定を共有する」など、コンセプトの断片を紹介した。

 10番手は「わんくま同盟」。2008年9月の段階で220人が参加する大規模コミュニティだという。LTでは、「毎週末、日本のどこかで勉強会を開催している」「なぜか、Microsoft MVPがメンバーに多い」「話題は開発系が中心だが、何でもあり」とコミュニティについて説明した。

 最後は「Grails Code Reading」。Grailsのソースコードを読む会であり、月に1回のペースで行われているという。LTでは「(お上品なエンジニアが)Grails Code Readingに参加しない方がよい10の理由」を語ったが、時間が足りず、10個挙げることができなかった。なお、Grails Code Readingはなくなり、新たにJGGUG(Japan Grails/Groovy User Group)が発足するのだという。

■□■

 全11コミュニティがそれぞれ5分間でプレゼンテーションを行ったLT大会。会場には100人以上の聴衆が集まり、笑いの絶えないセッションとなった。

 よしおか氏は「ライブ感がすごかった。これは生で見ないと」と語った(よしおか氏によるLT大会の振り返りは、連載「初めての勉強会」にて2月26日に公開予定だ)。筆者自身も、こうしたLTは「現場で生で見て、初めて得られるものがある」と感じる。

 5分限りのLT。もし機会があれば、観客として、あるいは登壇者として参加することを強く勧める。あなたに新しい気付きと感動、そして新しい誰かとの出会いを与えることだろう。

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