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勉強会カンファレンス2009レポート

「勉強会に勉強だけをしに来るヤツは素人」

岑康貴(@IT自分戦略研究所)
2009/6/19

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上司の「会社にペイするかは考えるな」という言葉に会場から拍手

 最後は吉田茂氏が「Tech Meeting宣言〜あるいは如何にして私は社内勉強会を主催するようになったか?」と題したプレゼンテーションを展開。昨年夏に休職した際、いろいろな勉強会に参加し、自分でも社内でやりたいと考え、復職後にスタートしたという。現在まで隔週のペースで実施しているそうだ。

シルクハット姿で軽快に話す吉田茂氏

 内容は読書会形式。講師は自分がやると宣言し、まずは1冊を終わらせることを目標に続けているという。テキストは「Linuxシステムプログラミング」を使っている。

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気になる離職・転職率、
IT企業では「0.5%未満」が最多


IT企業の5社に1社が「転職・離職率」0.5%未満。80%以上の企業が「離職・転職率は10%未満」と回答している

 社内勉強会「Tech Meeting」開催に当たっては、「業務うんぬんという話は置いておく。例えば、Linuxの勉強会だけど、普段の業務にLinuxが関係ない人も参加する」というスタンスだという。勉強会は続けることに意義がある、と吉田氏は語った。

 実際にやってみた結果として、「1回1時間では足りない」「1回1章は無理がある。1回20ページが限界」「上層部には受けが良い」の3点が気付きとして得られたという。特に3つ目に関して、ある上司に「自分たちが面白いと思ったことをやれ。会社にペイするかどうかは考えるな」といわれたと吉田氏が語ると、会場からは拍手が起きた。

 「選んだテキストが非常にマニアックだったので、自分だけでは読む気になれないような小難しい内容を勉強することができて良かった」と吉田氏は振り返る。また、毎回テーマの選定を行う必要がないため、読書会形式は楽である、とも語った。

会場には多くの「勉強会主催者」が集まった

行政をHackせよ!

 休憩を挟み、セッション2では「Wikiばな」などでダンドリスト(イベントなどで段取りを組んだり、調整をしたりする人)として活躍するフリーエンジニア、shino氏が登壇。「IT勉強会と行政」という意外なタイトルでプレゼンテーションを行った。

 shino氏は「行政をHackせよ」と主張。IT勉強会の価値を明確にし、勉強会会場の確保などの点で行政機関を利用しようという趣旨だ。行政Hackのツボは「IT勉強会が世の中に対してどう役立つか」を説明できればいいと語った。

shino氏は「行政施設を利用する」ためのTipsを紹介

 「IT系勉強会と憲法・法律」という物々しいテーマでプレゼンテーションはスタート。行政分野を動かすには、IT勉強会を「社会教育」や「生涯学習」といった観点でとらえるのが良いとのことだ。

 日本国憲法は、第23条で学問の自由を保障しており、また第26条で教育を受ける権利を保障している。また、shino氏によれば「教育基本法は義務教育だけでなく、社会人の教育も対象にしている」という。

 教育基本法 第3条には「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない」と記されている。shino氏はこれを引用し、「まさにIT勉強会のこと。あらゆる手段を利用して学習すべき」と主張した。

 社会教育法(社会教育に関する国及び地方公共団体の任務を明らかにすることを目的とした法律)では、第5条で市町村の教育委員会の事務について記している。第5条の8「職業教育及び産業に関する科学技術指導のための集会の開催並びにその奨励に関すること」を、市町村の教育委員会は予算の範囲内で行うことが奨励されているのである。shino氏は「これはまさにIT勉強会のことを指している」と語った。

 これらのことを踏まえ、shino氏は「自分たちが勉強をする場として場所・設備を借りたい」「勉強会で勉強した成果をもって社会に奉仕・講習会などをしたい」「団体・企業・自治体で連携して地域に奉仕、貢献したい」「団体・企業・自治体で連携して地域の経済・産業の活性化に貢献したい」といった目的に合わせた行政窓口対策を解説した。

 会場からはさまざまな意見が寄せられ、ディスカッションが活発に行われた。来場者の約半数は公民館など自治体の施設を勉強会で利用したことがあり、「電源確保が難しい」「インターネット環境は当然ない」「社内勉強会は商工会議所や勤労福祉会館などを活用するといい」などの発言が上がった。

 また、大学などの教育機関が意外と活用されていない、という声も上がった。これに関しては主催者の1人であるまっちゃだいふく氏から「大学の先生と仲良くなって、先生の研究の一貫にしてしまえば活用できる」という意見が出された。よしおか氏も「今回は学校関係にリーチできていなかった。大学と勉強会があまり連携できていないが、これはわたしたちが勉強会の価値を十分提案できていないから。価値をきちんと言葉にできれば、大学側は自分たちにとって有益だと思って協力してくれる」とまとめた。

主催者のよしおかひろたか氏

「勉強会ブーム」を超えて

 メインセッション終了後、会場を提供した日本オラクルの伊東裕揮氏は「これからも日本オラクルはこういう形で勉強会とかかわっていきたい。オラクルの製品にちょっとでも関係する内容であれば、会場を貸すことができると思う」と語った。

 日本オラクル オフィスツアーを挟んで、カンファレンスは懇親会へ。来場者たちがピザとビールを片手に、「懇親会をしながら懇親会について語る」という不思議なセッションが展開された。

懇親会中に「懇親会をテーマにしたセッション」が行われた

 カンファレンス終了後、主催のよしおか氏から次のようなコメントをいただいた。

 「勉強会カンファレンスでさまざまな勉強会主催者とリアルなネットワーク作りができたのが1つの成果だと思う。勉強会を開催する動機や目的はそれぞれだが、多様性の中に新しい価値創造の萌芽が感じられた。一方で、勉強会が大学や学会など既存の権威のコミュニティにはリーチできていないなど、課題も多いことが理解できた」

 前述の通りカンファレンス終了後、参加者たちのブログでは感想や意見が多く発信されている。中でも「勉強会ブームというが、ブームで終わらせるのではなく、定着させていかなければならないのでは」という意見については、現在もさまざまな議論が行われている。

 勉強会は日々、開催されている。その重要性を言葉にすることで、勉強会をITエンジニアにとって「当たり前」のものにしていき、より多くのITエンジニアを巻き込んでいくことがますます必要となっていくのではないだろうか。今回のカンファレンスとその後のさまざまなオンライン上の議論を見て、筆者はそのように感じている。

 

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