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組み込みエンジニアへの転身指南

第11回 「メーカーで働きたい」だけではきっと落とされる

淺井麻里(パソナキャリア)
2008/5/1

したいことをするため、条件のいい仕事に就くためなど、さまざまな理由で人は転職する。組み込み業界とて例外ではない。組み込み業界を舞台にした転職活動の喜怒哀楽を、キャリアコンサルタントがこっそり教える。

やっぱりメーカーがいい?

 システム開発会社(システムインテグレータや組み込み専門のソフトハウスなどを含む)に勤務する多くの組み込みエンジニアが目指すのが、メーカーへの転職。

 実際、弊社へご登録いただいた組み込みエンジニアの約80%の方々も、転職の希望業種として「システム開発会社」ではなく「メーカー」を第一に考えていらっしゃるという事実があります。その方々の転職理由の多くは「メーカーで働きたい」となっています。

 これまでも何回か触れましたが、このような人気のメーカーですが、最近の採用状況はどのようになっているのでしょうか。またどのような人がメーカーへの転職を成功させているのでしょうか。今回はそんなメーカーの採用状況と、メーカーへの転職のポイントについてご紹介します。

採用ニーズは?

 数年前と比較して、求人数は飛躍的に伸びています。現在、組み込みエンジニアを募集していないメーカーはないのではないでしょうか。その中でも特に採用ニーズが高いのはAV機器、カーナビゲーションシステム、携帯電話関連機器を製造しているメーカー、といったところでしょうか。

 また、これまでは単に「組み込みエンジニア」といった職種名で呼ばれることが多かったのですが、最近では専門領域に特化した職種での募集が増えてきています。

 職種には、下記のようなものがあります。

  • AV機器関連:テレビ用ブラウザ開発エンジニア、デジタルLSI設計開発エンジニアなど

  • 携帯電話関連:UI(ユーザーインターフェイス)開発設計エンジニア、Symbian OSエンジニアなど

  • そのほか:通信プロトコル組み込みエンジニア、組み込み品質管理エンジニアなど

応募要件は難しいの?

 難しいと思われがちなメーカーの組み込みエンジニアの応募要件。実際にはどのような経験や知識が求められているのでしょうか。まず思い浮かぶ応募要件としては「上流工程の経験」などですが、実のところはそうでもありません。

 当然必要となるのは、組み込みエンジニアとしての経験ですが、詳細な応募要件については、ごく一般的なシステム開発会社の組み込みエンジニアの応募要件と同じようなものです。主な応募要件は下記のようになっています。

プログラミング言語

  1. C++
  2. C
  3. Visual C++
  4. Java

技術経験・知識

  1. リアルタイムOS(VxWorks、Tronなど)での開発経験
  2. マネジメント経験
  3. 評価経験
  4. 要件定義経験

まれに求められる経験・知識

  1. BIOS開発経験
  2. 通信プロトコルの知識
  3. 品質管理経験
  4. UI設計経験

 最近の応募要件では、評価経験や品質管理など、品質に関連する要件を求められることが多くなっています。即戦力として入社後の業務アサインが具体的になっている場合には、応募要件に詳細な経験・知識(上記のまれに求めらる経験・知識を含め)が記載されることが多い状況です。

 その一方で大手メーカーであっても、CもしくはC++の開発経験さえあれば、応募できる求人も出てきています。

簡単に入社できそうだけど

 以上のとおり採用ニーズは高く、応募要件のハードルも低下傾向にあるとなれば、簡単に入社できるのでは、と思う方も多いかもしれません。

 しかし皆さんの周囲に、メーカーへ転職された方がそんなにたくさんいらっしゃるでしょうか。売り手市場の状況にもかかわらず、なぜかそれほど見掛けたことがないのではないでしょうか。実はそこに、メーカーへの転職のポイントが潜んでいるのです。

 メーカーへの転職のポイント、それは意外なことに、面接にあります。前述のように、上記の応募要件を満たすこと自体は、そんなに難しくありません。

 組み込みエンジニアに限らず、メーカーの面接の特徴として挙げられるのは、面接回数の多さではないでしょうか。現在、一般的な企業が面接2〜3回に対して、メーカーでは面接を3回程度行うのが標準であり、4〜5回実施することも全然珍しくありません。なぜこんなに面接回数が多いかというと、会社の方向性を大事にしているからです。

 各メーカーには独自の文化があり、志向もあります。それは有名なメーカーの創業者の方々の哲学をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。つまり、そうした創業の哲学を育み、成長してきたメーカーは、その部分で会社と社員の間にずれが発生しないか慎重に確認しているのです。

 だから面接で重要なことは、すべての面接官が納得できる、共感できる受け答えをする必要があるということです。つまり整合性の取れた転職理由、誰もが納得できる志望理由、なおかつそれが会社の方向性と同じである必要があるのです。

メーカーへの入社を第一の優先と考えるのは危険

 転職希望者の中には、メーカーに転職することを第一に考え、そこから転職理由や志望理由を作ろうと考える方がいらっしゃるかもしれません。しかし正直いってそれはお勧めできません。

 それは、転職理由や志望理由は作るものではないからです。つまり作るといってしまうと、自分の意思や志向を無視し、入るための作戦となってしまいます。そうなると、運良くメーカーに転職できたとしても、転職先の社風や業務の進め方が合わなかったりして、不満を持つ可能性が高くなってしまいます。

 そんな状況で、例えば上流工程から組み込み開発に携わったとしても満足感が得られるでしょうか。それよりも、自分の志向に合った場所で仕事をする方が最終的な満足感は高くなるはずです。

 結論として、メーカーに転職して実現できる仕事もありますが、それ以上に自分の意思や志向を大切にすることが、エンジニアとしてキャリアを磨くポイントではないでしょうか。

 もし、メーカーに真剣に転職をしようと考えた場合には、自分の志向や意思にあったメーカーがあるのかしっかりと探すことが重要です。

筆者プロフィール
淺井麻里(あさいまり)(パソナキャリア)●大学卒業後、半導体製造装置メーカーを経て、パソナキャレント(現パソナキャリア)に入社。企業営業担当として2年間製造業の企業を担当。現在はキャリアアドバイザーとして、電気・機械・化学などのメーカー系人材の転職サポートを行っている。


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