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特集:ITエンジニア独立入門

第2回 独立する前に、自分のやりたいことを書き出そう


平野美由紀(首都圏コンピュータ技術者)
2009/7/28

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「個人事業主」として独立しようと考えているエンジニアにとって、必要なスキルやマインドはどのようなものだろうか。個人事業主の支援を行う首都圏コンピュータ技術者が、エンジニアの独立に必要なものを解説する。

 会社組織から離れてフリーで仕事をする「フリーエンジニア」と呼ばれる人たち。彼らの中で、フリーエンジニアという立場をきちんと理解している人はどれくらいいるのだろうか。

 独立するということは、個人で仕事を請け負うことだけではなく、一事業主として社会的責任を負うことも含まれる。労働者ではなく事業主であるという自覚をきちんと持つことが重要なのだ。

フリーエンジニアと個人事業主の違い

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 フリーエンジニアとは、独立したエンジニア、1人で仕事をしているシステムエンジニアやプログラマなどを指して呼ばれることが多いが、明確な定義はない。少数ではあるが、自分の好きなように仕事ができると勘違いしてわがままばかりいう人や、労働者の権利を振りかざす人(事業主は労働者ではない)、納税をきちんと行っていない人など、フリーエンジニア全体の評価を下げている人がいる。そんな「自称フリーエンジニア」を増やさないため、首都圏コンピュータ技術者では以下の点を満たす人たちを「正式な個人事業主(自営業者)」として明確に定義している。

  1. 個人事業の開業届を出していること

  2. 税金を青色確定申告にて納税していること

  3. 自己の契約については、すべての契約条件を確認し、自らの判断と責任において行っていること

  4. 自身は個人事業主(自営業者)であり、誰にも雇われているものではないことを自ら認識し、自覚をもって独立して仕事をしていること

 労働者ではなく、事業主という自覚をきちんと持つこと。それが「独立」の第一歩である。

「自分のやりたいこと」をイメージできるか?

 では、どんなエンジニアが個人事業主に向いているのだろうか。結論からいえば「なりたいものが明確な人」である。

 弊社を訪れる多くのエンジニアたちは、個人事業主として働くことを「お金を稼ぐための1つの手段」として考えている人、起業するための第1ステップだと考えている人、組織に縛られたくないと考えている人など、さまざまな「独立した理由」を持っている。

 その中で個人事業主に向いていると思った人物すべてに共通するのが、「何をしたいか」が明確になっているということである。

 「仕事ができれば何でもOK」という人は個人事業主には向いていない。なぜなら、それは個人事業主でなくてもできるからだ。目標を持ち、明確にイメージして仕事をしないと、絶対に行き詰まる。

 自分のやりたいことを自分の責任のもとに行うことができ、その評価が自分に直接返ってくるというのが個人事業主の醍醐味(だいごみ)だ。たくさん汗をかいて、限界ギリギリまでやるからこそ、ゴールにたどり着いたときの感動が大きいのである。

 会社員でもこうした達成感を味わうことはできるが、個人事業主は最初のイメージから自分で作り上げることができるため、達成したときの感動はひとしおだ。独立を考えるのであれば、まずは紙に自分のやりたいことを書き出して、イメージをつかむことから始めてみよう。

案件を取るために必要なスキルは?

 ここまでは「独立のためのマインド」について説明した。次に、具体的に案件を取るのに必要なスキルについて解説する。

 日々めまぐるしく進化していく技術。その技術を追いかけ、または先回りして身に付けていっても、次の瞬間には新しい技術が出てくる。そのような環境の中で、キャリアプランを明確にし、それに伴うスキルを確実に習得していくのはそう簡単なことではない。テクニカルスキルに関しては、「これを持っていれば大丈夫」という単純な話ではないのが現実だ

 しかし、個人事業主として生き残るためには、絶対に廃れないスキルを身に付ける必要がある。経歴書上、同じレベルのエンジニアであれば、人当たりが良いとか、ビジネススキルがきちんと身に付いているなど、プラスアルファの部分で判断する担当者がほとんどだ。それは、あなたが付き合う人を経歴や肩書きだけでなく、雰囲気やイメージと併せて決めるのと同じことである。

 では、どういうスキルが重要なのか。「相手(顧客)に納得してもらえるものを提供できるスキル」である。これは、要求に合ったテクニカルスキルとヒューマンスキルの両方を持ち合わせていないといけない。

 ここでいうヒューマンスキルとは、まず相手の話を正しく聞くことができる「ヒアリング力」。相手が抱える問題点や課題を正しく抽出することは基本中の基本である。次に、その問題点や課題に対し、解決策を相手と一緒になって考えつつ、相手と話し合いながら自分の意見を伝え、理解させることができる「交渉力」。さらに、自分の意見を論理的かつ的確に伝えることができる「提案力」が必要である。また、一番のポイントは、相手の要求に対して解決しようと努力する「前向きな姿勢」を見せること。そしてそれらを磨いていこうとする「向上心」である。

 どんなに素晴らしく、完成度の高い製品ができたとしても、相手に納得してもらえなければ、それは何の価値もないただのモノでしかないのである。

「どこへ行っても気を抜いてはいけない」  

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