第3回 エンジニアライフ時事総論:それでも我々は転職をする
金武明日香(@IT自分戦略研究所)
2009/9/28
転職活動は気力と体力を必要とする。彼らはどのようにして転職活動を成功させたのだろうか。現役エンジニアやキャリアコンサルタントの実体験から、転職のノウハウを学ぼう。 |
転職活動には、気力や体力が必要だ。仕事をこなしながら、同時に転職活動をするのは難しい。それでも彼らは転職をした。なぜ転職をするのか。どうやって転職を成功させたのだろうか。いま転職したい場合、やるべきことは何だろうか。
転職を経験したエンジニアや転職支援のプロフェッショナルが、「転職活動」の実践的なノウハウや裏話を語ってくれた。
■「『死ねばいい』っていわなくなるなら転職してもいいよ」と妻はいった
まずは、転職を決めたきっかけについて。『Wife Hacks 〜仕事と家族とコミュニティと〜』のkwappa氏は、Wife=妻の一言に勇気付けられて転職することにした。
kwappa氏が転職したのは今年の7月。貯金は少ないが、夫婦が共働きで1カ月程度であれば無職状態でも生活できると見込んでいた。転職への勇気を与えてくれたのは、「『死ねばいい』っていわなくなるなら、転職してもいいよ」という妻の一言だったという。
転職時に守るべき3つの法則について、kwappa氏はこう語る。
「他人に転職理由を説明できるようにしておくこと」「退路を断たないこと」、そして「wifeに納得してもらうこと」。
■派遣社員から正社員に転職した理由
もう1つ、転職を決めたきっかけを紹介しよう。『プログラマで、生きている』のひでみ氏は、「生涯プログラマ」を目指すベテランプログラマだ。長い間「派遣」として働いてきて、それなりに自分の仕事に満足していた。しかし、「ある事件」がきっかけで「正社員」として働くために転職活動を開始した。
その事件は、派遣プログラマとしてはベテランとなった頃に起こった。仕事でミスをした際、正社員の若手SEに「なぜこんな使えない人材を雇っているのだ」という評価を受けたのである。
それまでひでみ氏を評価してきたのは、同世代か年上のベテラン社員だった。しかし、派遣プログラマとして働く期間が長くなればなるほど、「30代で派遣、しかもプログラマなんて使えないに決まっている」と、若手社員から判断されてしまう機会も増えてしまうのではないだろうか。ひでみ氏はこう考えて、「定年まで自分を正社員プログラマとして雇ってくれる会社」を探すことにしたのだった。
■「後悔もしたけれど、自分を嫌いにはならなかった」
転職活動には、それなりの覚悟が必要だ。『恋愛感情で仕事はできるか?』の森姫氏は、ロリータからギャルに「転身」した経験から、「転職」をすることのメリットとデメリットについて考察している。
転身に転職、どちらも面倒くさい。お金、心の準備、時間などを費やす必要があるし、何かと苦労が多い。こんなに面倒くさいなら、現状維持の方が楽だと思う人もいるはずだ。しかし、森姫氏は転身を決意した。それは「自分の可能性を確かめたい」という熱意があったからだ。
勢いで転身した森姫氏は、ときに後悔することもあったという。しかし、後悔と苦労を乗り越えた分だけの「発見」があった。「後悔はしたけれど、自分を嫌いにならなかった」と、森姫氏は語る。
■その転職理由、ちょっと待った!
「転職をしよう」と決意をしても、いったい何から始めたらいいのだろうか? 迷ったときには、まずプロフェッショナルに話を聞いてみるのが一番だ。 『ワーク×ライフ・エンジニアリング』の逆転仕事術氏は、転職ドラマ『逆転転職』で、転職にまつわるさまざまな噂や勘違いに「待った!」とかける。
主人公は安原テンマ。エンジニア経験6年目のとき、はじめての転職活動をすることにした。しかし、自己流で転職活動をしてもまったくうまくいかない。安原テンマは転職エージェントの門をたたいた。
「御社はこの業界では有名で、わたしも役に立ちたい」という転職理由に、転職エージェントは「待った!」をかける。面接では「うわべの理由ではなく、本当の理由について語る」ことが必要だ。そうでなければ相手に自分の気持ちが伝わらず、転職は成功しない。「自分の気持ちとは何だろう」と考える安原に、エージェントは「自分の気持ちを整理する方法」を伝授する。
(1)まず、紙を2つに折る
(2)右半分に、会社や自分の現状、そのときに感じた気持ちを書く
例:親会社の天下りがある:昇進できるかどうかが不安
(3)左半分に、人事部や経営層が、なぜそのような行動をとったのか、気持ちを推測して書く
例:会社の方針:逆らえない
左右で重複するキーワードが、自分の気持ちの「核」になる。転職したい理由の「核」を相手に伝えることができれば、面接はうまくいく。
転職活動は恋愛に似ている |
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