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パソコン創世記


大いなる誤解

富田倫生
2009/9/1

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、日本のパソコン業界黎明期に活躍したさまざまなヒーローを取り上げています。普段は触れる機会の少ない日本のIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は『パソコン創世記』の著者である富田倫生氏の許可を得て公開しています。「青空文庫」版のテキストファイル(2003年1月16日最終更新)が底本です。「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に則り、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。例)全角英数字⇒半角英数字、コンピューター⇒コンピュータ など

 アメリカに渡って「パーソナルコンピュータ元年」の熱気にじかに触れる約半年前、早大理工学部機械工学科の学生だった西和彦は、あるミニコミ誌の創刊に参画していた。TK-80発売開始の2か月後、1976(昭和51)年10月に創刊された『I/O』。創刊号は11月付けで3000部を発行。取次店では相手にされず、秋葉原などの部品屋に置かせてもらった。

 編集作業は新宿の西のマンションで行われたが、編集長は北大出身で西より9歳上の星正明が担当した。

 ホビー・エレクトロニクス・ジャーナルと銘打った『I/O』の創刊号には、西和彦自身「TVゲーム徹底調査」と題した記事を寄せており、この記事は数か月連載されることになった。

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 『I/O』創刊号でもう1つ目を引くのが、「マイクロコンピュータとI/Oプログラム」と題する石木勇の記事である。目次と本文中でのタイトルが違っているなど、いかにも素人くささを感じさせる作りだが、この記事では、TK-80タイプのシステムをコンピュータとして使いこなすためにはどんな周辺機器が必要となるかが解説されており、ベーシックに関する言及もある。

 TK-80を個人用のコンピュータととらえる大いなる誤解は、発売直後から始まっていたのである。いや、正確には、個人用のコンピュータを求める土壌に、誤ってTK-80という種子がまかれてしまったというべきかもしれない。

 取次店には相手にされなかった『I/O』だが、創刊号はたちまち売り切れ。その後、『I/O』の発行部数は急上昇することになる。

 ところがこの絶好調の中で1977(昭和52)年4月、西自身は雑誌作りを放棄してアメリカに渡り、そこで「パソコン元年」の激動を目撃することになった。

 そして日本に帰るや新しい雑誌作りの準備を始め、その年の6月に『ASCII』を創刊している。

 7月付けの『ASCII』創刊号巻頭言、「編集室から」。署名はないが、西和彦の手になる一文であろう。

 ここで西は自らがなぜホビー・エレクトロニクス誌『I/O』から離れ、パソコン元年のアメリカで何をつかみとったかを高らかに宣言している。

 タイトルは「ホビーとの訣別」。

 発行部数わずか5000の創刊号に掲載されたため、目にした人も少なかろう。長くはなるが、時代の気分を象徴的に表わしたこの一文をそのまま、ただし『ASCII』名物の誤植だけは訂正して引用したい。

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