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パソコン創世記
日電オフコン「システム100」、マイコン化に先駆ける

システム100のLSI化

富田倫生
2010/1/18

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、日本のパソコン業界黎明期に活躍したさまざまなヒーローを取り上げています。普段は触れる機会の少ない日本のIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は『パソコン創世記』の著者である富田倫生氏の許可を得て公開しています。「青空文庫」版のテキストファイル(2003年1月16日最終更新)が底本です。「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に則り、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。例)全角英数字⇒半角英数字、コンピューター⇒コンピュータ など

 インテルはすでに、初めて汎用部品を狙った8080を発表していたが、8ビットのこのチップでは、オフィスコンピュータを構成するにはあまりに力足らずだった。そこで上司を通じ、半導体セクションにシステム100に使えるレベルのものの開発を打診してみた。すると半導体セクションから、予想しなかった反応が返ってきた。計測機器メーカーの横河電気の依頼を受けて、彼らはすでに16ビットのマイクロコンピュータの開発プロジェクトをスタートさせていた。

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 プラントの各所のデータを集めて表示、分析するシステムを、これまで横河電気はワイヤードロジックで作っていた。だが彼らもまた、マイクロコンピュータを利用することでコストを切り下げ、信頼性を高めようと考えた。横河電気の求める高い性能レベルを達成するために、NチャンネルMOSと呼ばれる高速で動作するタイプの半導体の採用が決まっていたことも、浜田にとっては好都合だった。

 新しいシステム100のCPUには、μCOM-16と名付けられたこのマイクロコンピュータを使おうと考えた。さらに浜田は、この機会をとらえてシステム100の集積回路化を徹底的に推し進めようとした。

 コンピュータにはCPUに加えて、周辺装置を制御するためのさまざまな回路が組み込まれている。CPUだけをLSI化しても、ほかが従来どおりではメリットも中途半端なものにとどまってしまう。そこで半導体セクションに強く働きかけ、制御回路もNチャンネルMOSの技術を使ってLSIにまとめてもらうことにした。

 たくさんの部品を組み合わせて作っていた回路を半導体が骨を折ってLSIにまとめてくれれば、その後の組み立ての工程は大幅に楽になる。それまで5枚必要だったプリント基板を1枚ですませ、コンピュータ本体を収めるキャビネット大の筐体をなくして卓上型に仕上げることができた。

 加えて新しいシステム100で、浜田たちはディスプレイの採用に踏み切った。従来のオフィスコンピュータが、キーボードの奥に置いたプリンターからの打ち出しによってすべての表示を行っていたのに対し、ブラウン管式のディスプレイの採用によってシステム100のイメージは一新された。

 μCOM-16を中心に、全システムをLSI化したシステム100EとFは、1976(昭和51)年4月に発表された。さらにこの年の8月には、同じくLSI化された最上位機種、システム100Jが続いた。

 当時マイクロコンピュータ販売部でμCOM-16を担当していたのは、TK-80プロジェクトに取り組んでいた後藤富雄だった。後藤は当時の最先端チップだったμCOM-16をカシオ計算機のオフィスコンピュータ部門に売り込んだほか、電電公社用の端末を担当する日本電気のセクションにも採用を働きかけていた。

 システム100のプロジェクトを一貫して統括してきた小林亮は、オフィスコンピュータへの全面的なLSIの採用を通じて、集積回路化がコンピュータ事業にとってどれほど大きな意味を持っているかを痛感させられた。

 初代のシステム100が発表された直後の1973(昭和48)年9月、肩書きの代理の文字がとれて、小林はコンピュータ技術本部第2開発部長となっていた。第2開発部の守備範囲には、オフィスコンピュータに加えて、汎用機のACOSシリーズのうち比較的規模の小さなものと、中型機までが含まれていた。大型と超大型を除き、それ以下の全マシンの開発責任を負う立場についた小林の常識を、システム100のLSI化は見事に打ち砕いた。

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