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パソコン創世記
第2部 第6章 魂の兄弟、日電版アルト開発計画に集う
1983 PC-100の早すぎた誕生と死

ダイナデスクとデスクトップパブリッシング

富田倫生
2010/8/30

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、日本のパソコン業界黎明期に活躍したさまざまなヒーローを取り上げています。普段は触れる機会の少ない日本のIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は『パソコン創世記』の著者である富田倫生氏の許可を得て公開しています。「青空文庫」版のテキストファイル(2003年1月16日最終更新)が底本です。「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に則り、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。例)全角英数字⇒半角英数字、コンピューター⇒コンピュータ など

 街の灯の数だけ使われる日本語ワードプロセッサを作りたいという浮川和宣の夢を、ジャストシステムが一太郎で達成する一方で、ダイナウェアは夜空に輝いて彼らに進むべき道を指し示すダイナブックのイメージをひたすら追い続けた。

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 PC-100用に初めて開発した3Dマスターとアートマスターはシステムソフトから発売したが、この2つの強化版として企画した製品からは自社ブランドに切り替えた。1984(昭和59)年8月に発売を開始した2次元のお絵かきソフトの強化版、ダイナピックスは、これまでどおりPC-100の専用アプリケーションとして出した。だが、同年11月の3次元のダイナパースからは、PC-100版とPC-9801版を同時に出荷する方針をとった。

 一方でPC-100が伸び悩んだまま後継機種の発表も見送られ、対照的にPC-9801がシリーズのラインナップを拡充して販売成績を伸ばす中で、ダイナウェアは否定した過去を引きずった機種にも対応せざるをえなかった。

 だがPC-100を伸ばすことに日本電気が意欲を持っていないことが明らかになってからも、ダイナウェアはアルト型の操作環境をいち早くMS-DOS上で実現することに目標を置き続けた。

 導きの星を追おうとすれば、販売台数は伸び悩んでいてもやはり、PC-100は最良の器だった。

 1984(昭和59)年12月に出荷を開始した日本語ワードプロセッサ、ダイナデスクは、あくまで理想を追おうとする彼らの志を集中して表現した製品だった。

 分類するとすれば確かにワードプロセッサに収めざるをえなかったが、ダイナデスクは日本語の文章を作るという従来のこのジャンルの製品の枠から大きく踏み出していた。

 図形や表組、スキャナーで取り込んだイメージなどを文章の中に取り込むことができ、2段組みや3段組みといった段組みも可能なダイナデスクは、文章を作るという機能を超えて、表現力の大きな文書を自由にレイアウトできる新しいジャンルに踏み出していた。グラフィックスモードにこだわり続けたことの成果は、プリンターからどう打ち出されるかをあらかじめ画面上で確認できるという特長に現われた。打ち出しの内容をあらかじめ確認できることで、ユーザーは画面上で手直しを繰り返してイメージどおりのレイアウトを固めてから、プリンターの電源を入れることができた。

 雑誌や書籍では、図表や写真が文章と自在に組み合わされ、表現力のあるページが作られてきた。

 今までは印刷物の中だけにあったこうした世界を、パーソナルコンピュータを使って表現しようとする分野は、デスクトップパブリッシングと名付けられ、マッキントッシュが推進役となってその後普及していくことになった。

 ダイナデスクで彼らがいち早く目指したものは、このデスクトップパブリッシングに他ならなかった。

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