大学院生注目! 就職先の選び方
@IT自分戦略研究所 先輩インタビュー
第2回 「IT、で、エコ」を自分の手で実現したい―NEC
千葉利宏
2008/11/20
これから社会に出る大学院生にとって、就職先を選ぶのは至難の業。そこで@IT自分戦略研究所は、理系大学院生に人気の企業で活躍する先輩エンジニアにインタビュー。就職先としてその企業を選んだ理由、現在の仕事内容、将来の夢などを聞いた。皆さんの就職先選びに、大いに参考にしてほしい。 |
「IT、で、エコ」――日本電気(以下、NEC)の環境経営への取り組みを表すコピーだ。聞いたことのある人は多いだろう。2007年4月にNECに入社した津田麻祐子氏が、ITの世界に興味を持つようになったきっかけもこのコピーだった。
これから社会に出る学生にとって、将来を決める仕事選びは大きな関門だ。「やりたいことはあったのですが、どんな職種がいいのか迷い、かなりさまよいました」と津田氏は語る。自分がやりたいことと実際の仕事とをうまく結び付けることができず、ずいぶんと悩んだそうだ。その結果なぜ、「NECでITエンジニアになる」という道を選んだのか聞いた。
先輩プロフィール NEC 製造装置ソリューション事業本部 第一製造システム事業部 第二電機ハイテクグループ 津田麻祐子氏 2007年4月入社 |
大学院での専攻 | お茶の水女子大学大学院人間文化研究科 物質科学専攻修了 (2007年3月) |
大学院での研究テーマ | 大学の地域貢献を学術的に考察 |
現在の仕事 | ・生産管理システム保守(タイNECと協業) ・倉庫管理システム開発(Windows Vista対応) |
なぜNEC? | ・「IT、で、エコ」のコピーのとおり、環境問題を解決できる企業だと感じた ・女性が働きやすい職場だと感じた |
今後の希望 | ・顧客にシステムの企画提案をしたい ・技術力と人間力を兼ね備えた魅力的なITエンジニアになりたい |
■学生時代に「環境科学倶楽部」を設立
学生時代の津田氏は、学業以外にもいろいろなことに積極的に挑戦。お茶の水女子大学理学部化学科の3年生になるタイミングで1年間休学し、半年のアルバイトで学費をためて英国へ語学留学した。帰国後は教授からの誘いがきっかけで、学内の組織「環境科学倶楽部」の設立メンバーとして活躍した。
「ちょうど大学の社会貢献活動が注目されるようになった時期でした。環境活動に取り組んでいるNPO法人と一緒に地域活動を行いました」。子どもを対象とした実験教室の開催、お茶の水女子大学のある東京都文京区の環境イベントでの発表などを行っていた。
大学4年では、大気汚染など環境の測定装置の評価という化学系らしい研究に取り組んだが、大学院への進学が決まると、環境科学倶楽部の活動そのものを研究テーマにした。活動にかかわった人の意識調査などを基に、活動の効果と継続の要因を学術的に考察したのだ。「環境と社会とのかかわりについて考察する、社会学に近いものです」と津田氏は説明する。
自ら新しい研究テーマを設定したことが示すように、将来の希望はかなり明確になりつつあった。「環境問題に関係した仕事に就きたい」。就職活動を始めるときには、そのような強い思いがあった。しかし、希望を実現できる職業が何であるのかは、まだ見えていなかった。
■化学、エネルギー、そしてITとさまよった就職活動
津田氏が就職活動をスタートしたのは、大学院1年だった2005年の夏。大学を1年間休学していたため、入学時の同級生から就職に関するアドバイスを得られ、出足は早かった。しかし、どのような仕事が自分に合っているのかという具体的なイメージがわかなかった。
「試しに働いてみよう」と考えて、何社かのインターンシップに応募してみた。しかし、参加できたのは大手リース会社1社だけ。その後も、いろいろな業種の会社説明会に参加し、話を聞いた。冒頭に紹介した「かなりさまよいました」という言葉どおり、なかなか「これは!」と思える仕事に巡り合えずにいた。
そんな日々を過ごす中、津田氏は就職セミナーで、ある企業のITエンジニアの話を聞く機会を得た。
「話の中で、確か『環境ソリューション』という言葉が出てきたという記憶があります。それを聞いて漠然と、情報システムを環境問題の解決に役立てることができるのかな?と思いました」
それをきっかけにIT企業を調べ始めた津田氏は、環境問題をITで解決するさまざまな取り組みが行われていることを知る。「IT、で、エコ」を打ち出すNECが環境問題に熱心であることも分かった。
それまでは希望業種を絞り込めずにいたが、ここでIT企業が有力候補として浮上。エントリーシートを提出する時期には、環境問題に直結するエネルギー関連企業、環境ソリューションを提供するIT企業の2つを軸に就職活動することを決めた。
津田氏が最終的にエントリーシートを提出した企業は7〜8社。エネルギー系では電力会社、ガス会社など。IT企業はNECのほかに、大手システムインテグレータ、シンクタンク系コンサルティングファームなどだった。
ちなみに研究室の同期は、大学院2年になって就職活動を始め、専攻分野を生かして化学会社の研究職に就職が決まったという。津田氏も化学系企業への就職であれば、研究室推薦ですんなり決まったかもしれない。しかし津田氏は「最初は選択肢の1つでしたが、研究室に閉じこもって研究することに抵抗があり、考え直しました」という。自分の希望がかなえられる場を探すため、未知の分野に果敢にチャレンジしたのだ。
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