
第29回 「技術一筋」が「マネジメントも面白い」に変わった理由
岑康貴(@IT自分戦略研究所)
赤司聡(撮影)
2009/8/24
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| 竹内義晴(たけうちよしはる) テイクウェーブ 代表 1971年1月21日、新潟県出身。自動車メーカー、SIベンダなどでのソフトウェア開発エンジニアを経て、現職。人の感性を大切にし、新たな未来を創発するサポート「創発コーチング」を考案、普及活動を行っている。そのほか、ビジネスコーチング、人財教育にも従事。「ビジネスマンの不死身力」(ITmedia エンタープライズ)、「竹内義晴の、しごとのみらい」(ITmedia オルタナティブ・ブログ)、「エンジニアライフ クロストーク」(@IT自分戦略研究所 エンジニアライフ)など、幅広い執筆活動も行っている。 |
■「マネジメントなんてしたくない!」
わたしはもともとシステムエンジニアで、しかも「技術だけを追求してやっていきたい」と考えていました。お客さんと話すのも嫌いではありませんでしたが、それよりもものづくりが好きでした。特に、作り方にこだわるタイプでした。
28歳のときに製造業からIT業界に転職しました。それまでは大企業で歯車のように働いていたこともあって、プログラミングという「自分の成果が目に見える」仕事に夢中になりました。
ところが、33歳くらいのころ、「そろそろ人をまとめてみないか」と上司にいわれ始めたんです。ある程度の年齢になるとマネジメントをやるのが通例だったんですね。これは、読者の方も身に覚えがあるかもしれません。
段々、チームメンバーのことを考えたり、お金のことを考えたり……という仕事が増えていきました。本当はプログラミングがやりたいのに、なんだかちょっとずれてきたなあ、と感じ、会社を辞める決意をしました。
転職先は社員が100人ほどのソフトウェア開発会社で、社長から「技術力を生かしてくれ」と歓迎されました。ああ、ここでなら自分のやりたいことができる……と思っていたのですが、入ってすぐに大企業の情報システム部に常駐することになってしまいました。
担当したのは超巨大システム、作るのはシステムではなく書類ばかり、おまけに常駐先の企業の方からはひどい扱いを受ける。わたしが求めていたものと正反対の環境に来てしまった、と感じました。やりたくない仕事なのに規模は大きいので、プレッシャーが尋常ではありませんでした。しばらくその環境で働きましたが、ある日の夜、寝るときに天井のオレンジ色に光る小さな電球を眺めていたら、自然と涙が出てきました。当時、子どもができたばかりでしたが、それに気付いた妻は「辞めてもいいよ」といってくれました。
■嫌々引き受けたリーダー
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「独立したいんです」と当時の社長に話したところ、「独立するのはいいけど、食っていけないだろう。もうしばらくはここで働いていたらどうだ」といっていただけました。形だけの独立という状態は、ありがたかったけど、早く抜け出して独り立ちしたいと考えていました。
独立してやっていくにはやっぱり資格かな、と安易に考えてITコーディネータを取得してみましたが、どうも違うと感じました。自分のやりたいこととうまくつながらない気がしたんですね。
そうこうしているうちに、前述のプロジェクトは終盤に差し掛かりました。上にいたマネージャたちは本社に帰っていき、残ったメンバーの中でまとめ役がわたししかいない、という状態になりました。社長からも「リーダーをやってくれ」と打診され、本当に嫌々、引き受けました。1年だけやって辞めてやる、と決意しながら。
そうはいっても、チームをまとめるなんてどうやっていいのかさっぱり分かりませんでした。今まで自分がリーダーやマネージャにされてきたことを思い返すと、「プレッシャーをかけられた」ということだけでした。それでうまくいかないことは、身をもって知っています。でも、どうすれば良いのか分からないので、結局同じことをメンバーにしてしまって……。もちろんうまくいくわけがありませんでした。
同じくリーダー業務をしている友人などに話を聞くと、みんな同じように悩んでいました。「目標を設定するのはどうか」とアドバイスをもらったことがありましたが、わたし自身が「目標を設定されてもやる気が起きない」というタイプなので、やっぱり違うなあ、と。
仕方がないので、経営者の本やWeb上の記事など、とにかくリーダーシップに関する情報を読み漁りました。すると、どれも同じところにたどり着いているな、ということに気付き始めました。それは、「人を知らないとダメだ」ということです。
@IT自分戦略研究所 今週のリーダー バックナンバー
- 第1回 ぼくは「引っ張らないリーダー」です
- 第2回 「プログラマの自分」と「経営者の自分」は矛盾しない
- 第3回 生粋のプログラマが体得、人を変えるリーダーシップ
- 第4回 ライオンになれなかった雑食系リーダー
- 第5回 リーダーは、メンバーの目指すゴールを理解すべし
- 第6回 生意気な「部下肌」から、部下を守るリーダーに
- 第7回 メンバーをプロファイリングするための10個の軸
- 第8回 参加者の成長を見守る、Shibuya.pm 2代目リーダー
- 第9回 角谷信太郎――「スーパーマンである必要はない」
- 第10回 きつくいわない命令もしない。むしろ文句をいってくれ
- 第11回 サイボウズの開発部長は、部内で5番目にエラい
- 第12回 不況下こそチャレンジを。客員起業家 尾藤正人の挑戦
- 第13回 キャラクターの生死を懸けて新技術を模索する
- 第14回 クックパッドの技術責任者が語る「3つの隠し味」
- 第15回 不可能を許さない超戦略的リーダー
- 第16回 相手を「気持ちよくだませる」リーダーになれ
- 第17回 「話し掛けやすい雰囲気作りを意識しています。」
- 第18回 「それはエンジニアの仕事じゃない」なんて壁をつくるな
- 第19回 個性派エンジニア集団の信頼を得た「話の分かる男」
- 第20回 ITが組織を改善する時代、リーダーの使命はたった2つ
- 第21回 誰にも依存せず、新しいものを生み出す会社でいたい
- 第22回 牧大輔「モノ作りにこだわればこそリーダーを目指せ」
- 第23回 事業立案から開発まで。グリーのリーダーは全部やる
- 第24回 HOWS 庄司渉の“軽い結び付き”
- 第25回 開発に専念し続ける取締役、モバゲー川崎氏の戦略
- 第26回 僕は教えない。問題点に気付かせる
- 第27回 「変わっていかなければ」。日本Rubyの会 会長の葛藤
- 第28回 人を“その気にさせる”MSエバンジェリストの管理術
- 第29回 「技術一筋」が「マネジメントも面白い」に変わった理由
- 第30回 ウノウラボを作った男の「揺るぎないゆるさ」
- 第31回 インターバースの夜明けを信じ、突き進む
- 第32回 システム開発の主役「バイリンガル技術者」育成計画
- 第33回 Rubyを支えるYuguiの自信 「最後にはわたしがいる」
- 第34回 「不採算プロジェクトは俺が防ぐ」技術責任者の決意
- 第35回 「自分で自分の面倒をみる人が得をする」組織づくり
- 第36回 良いリーダーは笑いとつかみのツボを心得ている
- 第37回 新規事業のリーダーに求められる決断力と勇気
- 第38回 はてなのインフラを支える「ビジョン」と「数値化」
- 第39回 空賊一味のような「職人エンジニア集団」を作る試み
- 第40回 クララオンライン 家本氏「トッププレーヤーを意識せよ」
- 第41回 技術者は技術に専念。ただ、ビジネスにも興味は持て
- 第42回 30分でやると決めたら30分でやる、「いい訳無用」
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