@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(115)
秩序はピラミッド型をしている
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2009/8/17
■理解の回路を開く
ロジカル・シンキングとは事象をピラミッド構造で整理することだ。ピラミッド構造が思考の整理に有効なのは、論理関係(縦の論理)とMECE(モレとダブリがない:横の論理)という2つの状態が満たされているからだ。
縦と横の論理がきちんと成立しているときに人は理解の回路を開く。
縦の論理は階層構造で成立している。
30の「勝負場面」で使いこなす
ロジカル・シンキングの道具箱 山崎将志(著) 日本実業出版社 2009年3月 ISBN-10:4534045247 ISBN-13:978-4534045249 1575円(税込み) |
階層構造の最上位に位置するのは「結論/主張」である。「結論/主張」は1つしかない。話し手の最重要メッセージがここに込められる。第2階層には「結論/主張」を構成するいくつかの「根拠」が存在する。仮に「結論/主張」の根拠が2つだとすれば、この2つの根拠は「結論/主張」の構成要素として完全でなければならない。モレやダブリは許されない。さらに、第3階層は第2階層の「根拠」を根拠づける「(小)根拠」で構成される。これらの「(小)根拠」は正しくグループ化されている必要がある。モレなく、ダブリなくはあらためて指摘するまでもない。
縦の論理は上から見ると「なぜ」に答える関係である。結論の理由が細分化される。下から見ると「つまり」で説明できる関係である。「つまり」は要約を起動するマジックワードである。
以上のような構造を一般的に論理構造と表現する。「論理的」といわれる思考の筋道は必然的に上記のような縦の論理を踏襲することになる。何をいっているのかよく分からない人の話は往々にして縦の論理が壊れている。
横の論理は事象をMECEで整理できる論理のことである。
MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」(モレなく、ダブリなく)の意味だ。MECEが成立していないと正確な意思決定はできないと考えた方がいい。MECEが成立していれば、思考の速度と質は向上する。なぜなら、事象の全体を把握しながら、考えやすい単位に事象を分解でき、不要なものを切り捨てることで、重要なことに思考を集中させることが可能になるからだ。また、網羅的に検討した証拠が残るので、話し相手に納得感を与えることも可能である。
MECEには5つのパターンがある。このパターンを知っていれば、どんな事象でも効率的に分解できる。すなわち、
- 二項対立で分ける
- 因数分解で分ける
- プロセスで分ける
- 一般的なフレームワークで分ける
- 状況に応じてゼロベースで考える
以上がロジカル・シンキングの基本的な姿勢である。事象の整理で混乱したらこの基本姿勢に立ち返ればよい。(鯨)
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