@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(24)
分かりやすく話す5つのコツ
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/8/18
■「分かる」ことは「分ける」こと
分かりやすさの分析と分かりやすい説明の具体的な方法が記述されている。著者は元NHKの報道記者。話し方のコツも解説している。
この本によると、分かりやすく説明するためのポイントは以下の5つ。
- 難しい言葉を分かりやすくかみ砕く
- 身近な例えに置き換える
- 抽象的な概念を図式化する
- 「分かる」ことは「分ける」こと
- バラバラの知識をつなぎ合わせる
相手に「伝わる」話し方 池上彰(著) 講談社 2002年8月 ISBN-10:4061496204 ISBN-13:978-4061496200 756円(税込み) |
「難しい言葉」とは例えば、業界用語全般を指す。その業界に属していない人にとってはチンプンカンプンな言葉。「所信表明演説」とは何か。「書類送検」とはどういうことか。「亡命」とはどうして「亡命」というのか。きちんと説明するには、これらの言葉の本当の意味を知っていなければならない。
スケールの大きな話を説明する場合は、できるだけ身近な例に当てはめる。エルサレム旧市街地の広さはどの程度か。3つの宗教の聖地がある場所。集まる人の多さを考えると割に広いと考えがちだが、実は東京ディズニーランド程度の広さしかない。
抽象的な概念は図式化する。頭の中で絵にする。紙に書いてみる。パワーポイントで表現してみる。言葉だけで考えていても、話す相手にはなかなか伝わらない。
説明に必要な要素を全体の中から「分けて」再構成するのも役に立つ。「失業者」とは誰のことか? 日本の人口を「労働人口」と「非労働人口」で分ける。非労働人口に「失業者」は含まれない。そこで、労働人口を「就業者」か「完全失業者」に分ける。このように、全体を「分けて」いくことで、対象の絞り込みを行い、定義をしやすくする。
知識は互いにつなぎ合わさることで力を発揮する。分かるとは「自分が持っている断片的な知識をつなぎ合わせ、ジグソーパズルのようにはめ込みながら、全体像が作りあげられたとき」(『相手に「伝わる」話し方』、p.174)に起こる脳の働きである。日ごろからどん欲に知識を吸収すること。ある問題を前にしたら、自分の中にあるデータベースを検索して、さまざまな知識を組み合わせ、答えを導く。「なるほど、確かに!」と思うこと、それが「分かる」ということである。(鯖)
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