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＠IT自分戦略研究所ブックシェルフ（48）
転職と居心地の悪い職場の関係

＠IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/10/1

■“自分最優先”の空気

その転職 ちょっと待った！ 荒井千暁（著） アスキー・メディアワークス 2008年5月 ISBN-10：4048700235 ISBN-13：978-4048700238 770円（税込み）

　この本を書いた人は産業医だ。メンタルヘルスの観点から、昨今の職場事情を考察している。転職を希望する人の多くは、職場での居心地の悪さを感じているという。

　居心地の悪い職場は、“自分最優先”の空気に包まれている。他人への配慮は二の次だ。まずは自分の得損を量る。さまざまな行動の価値基準を「自分」に据えている。全体のことはさておき、取りあえず自分のこと。そんな人々が集まった職場は、孤立した「自分たち」が緩くつながる場にすぎなくなる。

　産業医を訪ねるのは20代が圧倒的に多い。彼らの多くは高学歴である。プライドが高い。できないとはいえない。どんな小さなことでも、分からないことを自分の中に抱え込む。他人に聞くことができない。先輩に質問ができない。後輩に声を掛けられない。

　“他人最優先”の職場なら、先輩が後輩に余計なお世話を焼き、後輩が先輩を質問攻めにする。若者は問題を1人で抱え込まない。抱え込めない。

　現代の職場では、古き良き人材育成システムが崩壊してしまっていると筆者はいう。（鯖）

本を読む前に
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