@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(55)
職場のメンタルヘルス、30代のストレス要因
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/10/10
■メンタルヘルスの基礎的な知識
メンタルヘルス マネジメント入門 佐藤隆(著)、グロービス経営研究所(監修) ダイヤモンド社 2007年12月 ISBN-10:4478003378 ISBN-13:978-4478003374 1890円(税込み) |
「基礎編」と「状況把握編」「ソリューション編」の3部構成。
第1部では、メンタルヘルスの基礎的な知識をいくつかのケースに沿いながら解説する。ケースとして紹介するのは、例えば、「トップランナーの突然のメンタル不調」「少数精鋭の職場で起こった『ドミノうつ』」「安全配慮義務違反で訴訟騒ぎに」といったトラブルだ。
1980年代以降、IT化の普及で企業の生産性は向上したが、その半面、働く人々に予想外の負の影響を及ぼした。ケースとして挙げられたトラブルは、どこの職場でも起こる可能性があるもので、重要なのは、トラブルに対する適切な対処法であるとこの本は説く。そのためにも、メンタルヘルスの基礎的な知識の獲得は有効であるとする。
第2部は、メンタルヘルスを取り巻く現場の状況把握に関する解説。ストレスを受けやすい6つの性格傾向を挙げ、それらの性格傾向の改善から、セルフケアを始めるとよいと勧めている。ちなみに、6つの性格傾向とは「生活習慣危険傾向」「消極傾向」「漂流傾向」「焦燥傾向」「神経質傾向」「孤高傾向」を指す。人はそれぞれ典型化可能な性格を有するものだが、それぞれの典型のうち、ある傾向が過度になると、社会的な問題が生じる。突出した性格的な傾向に配慮し、バランスをうまく保つことがセルフケアの第一歩である。
第3部はソリューション編。解決策を提示する。解決策には3つの切り口がある。自分で自分をケアするか、チームのリーダーがケアするか、システムがケアするか。個人によるサポートには限界があるとこの本は説く。問題が小さい場合はセルフケアで十分対処が可能だが、自分1人では手に余る問題の場合は、所属するチームのリーダーがメンタルヘルスのケアを施す必要がある。そして、できれば、人事部門が中心となって、社員のメンタルヘルスをサポートするシステムを構築してほしいとする。リーダーによるサポートとシステム面での保護という2つ方向からのメンタルヘルスケアが、精神的に不安定となった社員を保護する。
なお、この本によると、メンタル不調が起きやすいのは30代だ。30代の仕事上のストレス要因がここ数年、確実に増加した。「仕事の量的負荷とコントロールのバランス」「仕事の目的意識や意味合いの喪失」が主な原因だという。(鯖)
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