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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(64)
コンピュータ・イン・ザ・クラウド

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/11/7

■大転換の時代

クラウド化する世界
ニコラス・G・カー(著)
村上彩(翻訳)
翔泳社
2008年10月
ISBN-10:4798116211
ISBN-13:978-4798116211
2100円(税込み)

 原題「The Big Switch Rewiring The World, from Edison to Google」。冒頭、中央発電所建設の歴史が記述される。登場人物はトーマス・エジソンとサミュエル・インサル。

 「エジソンは当初、発電所は単にガス製造工場の魅力的な代替施設に過ぎないと考えていた。すなわち、発電所は比較的小さな都市型プラントで、近隣の事業所および家庭での照明の需要を満たすためのものと考えていたのだ」(『クラウド化する世界』、p.34)

 エジソンが固執したのは、直流電流を生産する小規模発電所だった。これらの小規模発電所をクライアント企業のために建設することで、電力供給によるライセンス事業と部品供給事業を展開した。エジソンの会社はこのビジネスモデルで大成功を収めたのだが、「電力の生産を統合して巨大な発電プラントを建設し、電力を分かち合うための全国規模の送電線網を造ることは考えつかなかった」(同、p.35)。

 エジソンの会社にサミュエル・インサルという青年がいた。彼は、巨大な中央発電所を建設し、広範囲に電力を供給するシステムを構想した。「サミュエル・インサルのおかげで、私設発電所の時代は終わった。中央発電所(ユーティリティ)が勝利したのである」(同、p.52)

 本書では、電力供給システムの歴史と情報処理技術の進歩の状況を重ね合わせて論じている。電力が公共化されたのと同じように、現代では、情報処理が公共化されつつある。「いつでもやりたい作業に応じて、ユーティリティによって提供されるコンポーネントや局所的に提供されるコンポーネントをさまざまに組み合わせることができるのだ」(同、p.135)。

 事例として、GoogleやAmazon.com、salesforce.comのおなじみのサービスが紹介される。彼らの事業の軸足はインターネットである。このインフラストラクチャは、「我々がこれまで経験してきたいかなる商業的、社会的インフラとも異なっている」(同、p.214)。今後、企業は、情報処理関連資産の管理をほとんど放棄するだろう。所有することさえやめてしまうかもしれない。国家の商業インフラストラクチャの多くが世界中に散在し、外国の管理下に置かれる可能性がある。本書は、そんな危惧を指摘する。もちろん、各国政府がこれらの事態を静観しているわけではない。未曽有の事態に対するさまざまな規制を検討し、手を打ってはいる。とはいえ、この混乱が一朝一夕に収束する可能性は低い。(鮪)

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