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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(71)
プロジェクトマネージャ 吉田兼好

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/12/4

■幾世代もの日本人から愛される名コラム

わが座右の「徒然草」
江坂彰(著)
PHP文庫
2008年10月
ISBN-10:456967111X
ISBN-13:978-4569671116
560円(税込み)

 「よき細工は、少し鈍き刀を使ふといふ。妙観が刀はいたく立たず」(『新訂 徒然草』、岩波文庫、第229段)。

 高校時代、古典の授業で習った『徒然草』のこの短文に引かれた。名工は切れ味のよくない刀を使うという事実の裏にいったい何をいわんとしているのか。先生に質問すると「理解するにはきみは若すぎる」と笑って返された。『徒然草』はいつかじっくり味わってやろうと思い、もう四半世紀近くがたつ。

 本書は、『徒然草』全244段の中から著者お気に入りの段を取り上げ、軽快な解説を交えて紹介する内容。著者が大手広告代理店勤務時代に役員寸前で左遷され、その後経済評論家として独立する間の支えになったのが本書だという。著者は吉田兼好を「心のカウンセラー」と称している。

 『徒然草』は鎌倉時代末期の1330年ごろに書かれたとされている(定説はない)。以来約700年にわたり読み継がれているその内容は、現代においても古びることなく、物事の核心を突いている。第189段などはプロジェクトマネージャの嘆きのようだ。

 「今日はその事をなさんと思へど、あらぬ急ぎ先づ出で来て紛れ暮し、待つ人は障りありて、頼めぬ人は来たり、頼みたる方の事は違ひて、思ひ寄らぬ道ばかりは叶ひぬ。煩はしかりつる事はことなくて、易かるべき事はいと心苦し。日々に過ぎ行くさま、予て思ひつるには似ず。一年の中もかくの如し。一生の間もしかなり」(同、第189段)

 「仕事がうまくいかない」「急いで成長せねば」といった仕事の悩みや、生きがい探しなど人生の悩みを抱えている方、そして冒頭の一文の真意を知りたい方に、ぜひお勧めしたい。(鯖)

本を読む前に
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