@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(92)
「自分なりのやり方」を見つけるために
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2009/3/14
■自分と向き合うための鏡
超凡思考 岩瀬大輔、伊藤真(著) 幻冬舎 2009年2月 ISBN-10:4344016238 ISBN-13:978-4344016231 1575円(税込み) |
インターネット専業の生命保険会社として話題を集めた「ライフネット生命保険」の副社長 岩瀬大輔氏と、その恩師である資格試験予備校「伊藤塾」塾長 伊藤真氏の共著。全4章構成で、「いかにして目標を設定し、時間を上手く使い、世の中に溢れる情報を自分のものにし、他者に伝えていくか」(『超凡思考』、p.4)、すなわち「目標設定」「時間術」「情報整理」「伝える力」について、両者の具体的なノウハウを紹介している。第1章と第3章を岩瀬氏が、第2章と第4章を伊藤氏が担当している。
本書には両者のノウハウやテクニックが盛り込まれているが、岩瀬氏はちまたにあふれる「勉強法」「仕事術」を読んだだけで自分のやり方を劇的に変えることはできない、と語る。本書は、自分で考え、自分なりのやり方を見つけ出し、自分で行動するための「材料」を提供しているにすぎない。
逆説的だが、本書は両者の「やり方」を具体的かつ平易に記述することで、結果として両者の考え方や、そのやり方に至った経緯をあぶり出す。従って、本書の「やり方」を表面的にコピーしようとする読み方は本書の意図に反する(岩瀬氏によれば、そもそも完全にコピーすることは不可能である)。
目次を読めば、本書のエッセンスが感じ取れるだろう。いくつかピックアップする。
- 他人と比較しない。小さな勝利をペースメーカーに、達成感を覚える
- 諦めなければ大丈夫。目標を設定したら、すぐやる。その場で始める
- 任せられるところは任せる。自分にしかできないことにすべての力を注ぐ
- 手の内は明かす。人に語れる情報に価値はない。勝負は別でする
- 思いを素直に言葉にすると、味方が増える
- 何を伝えたいのか。強い意識があってこそ、技術が生きる
- 欲張らない。10のうち2伝われば十分
「今日読んで明日役立つ」的な素晴らしいやり方を求めるのならば、本書は向いていない。自分と向き合った結果、これらの「やり方」を見いだし実践する2人の姿は、読む者に「自分はどうだろうか」と問い掛ける鏡となる。(鯖)
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