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豆蔵の萩本氏が語る理想のエンジニア像

真の技術を理解しエンジニアとして勝ち残れ!

下玉利尚明
2003/6/13

 多くのエンジニアがスキルアップやキャリアアップを考えるときに最も頭を悩ますのは、「いま、何をすべきか」ということではないだろうか。日々の仕事にも追われ、ただでさえ少ない「時間」を有効に活用してスキルアップやキャリアアップを実現するには、スキルを効率的に身に付けることが「最も重要なこと」のように思える。「貪欲に、ひたすら貪欲に最新技術を追求せよ」。そんな、言葉が聞こえてきそうだ。しかし、新しい技術を追求することのみに全力を注いでいたのでは、次々に生まれてくる最新技術に翻弄されないのだろうか?

 それではいったい、エンジニアはいま何をすべきか。そして、どんな自分戦略を持つべきなのだろうか。豆蔵の取締役 萩本順三氏とアットマーク・アイティの藤村厚夫が技術に焦点を当て、そこから自分戦略の在り方を語る。

  ソフトウェア業界は急速に発展?
それはそのように見えるだけ!

 特に若いエンジニアはいま、自分の「軸」を作ることが難しい時代になっている。情報の渦に巻き込まれ「学ぶべきものは何か」に悩み、さらには「学び方」にまでも悩む。また、たとえ1つのスキルに習熟しコンピテンシーを確立したと思っても、1つに特化するのではなく「ジェネラリストになれ」という声が耳に入ってしまう。エンジニアを取り巻く状況は、まさにカオスの世界だ。

豆蔵 取締役
萩本順三
実は某大学の経済学部出身。大学卒業後、ある会社の経理として勤める。その後、手に職を付けたいと思い27歳でソフトウェア業界に飛び込み、エンジニアに転身。アセンブラによるデバッガの開発を行う中、ソフトウェアの構造化に興味を持つ。その後、オブジェクト指向に出合い、今後のソフトウェア開発の主流になるだろうと考え、オブジェクト指向言語を独学で学び始める。それでも疑いを持っていたが、いつの間にかオブジェクト指向の虜となり、現在に至る。

藤村 多くのエンジニアが漠然とした不安を抱く背景には、ソフトウェア業界、IT業界の変化の大きさ、速さがある。エンジニアが身に付けるべきスキルにも「ブーム」があり、多くのエンジニアがその流れに翻弄されてしまっているように見える。自分を維持できるだけのよりどころを確立するには、どうすべきなのか。萩本さん、いまの若い世代のITエンジニアたちを、そして、ソフトウェア業界やIT業界をどのようにとらえているのか、それを聞かせください。

萩本氏 いまのエンジニアは焦っているように見える。例えば、エンジニアの現場を離れて営業的な仕事に回されたりするのを、とても嫌がるような傾向がある。たった1年間でもエンジニアの第一線を離れると、もう「IT業界の技術の進歩に追い付けない」と、戦々恐々としている。

 ソフトウェア業界は、急速に発展していると見られがちだが、実はそうではない。5年前と比べ、本質的に何も変わっていないと思う。まだまだソフトウェア業界は底が浅く、発展しているように見えても、技術革新もそれほど起こっていない。急速に進歩しているように見え、感じるのは、技術の「本質が見えていない」からだ。

 エンジニアを取り巻く環境は、確かに混とんとしている。その中で多くのエンジニアは、技術進歩のスピードに取り残されないように、そのスピードに何とか付いていけるように、必死に最新技術を追い求め続けている。

  ソフトウェアの歴史を学び
技術の本質的な流れを見抜け

 萩本氏はそんな中にあり、別の角度からIT業界を見据えている。ソフトウェア業界は、多くの人が考えているほどに「発展していないし、技術革新も起きていない」(萩本氏)。萩本氏は、具体的な例を取り上げて、その主張の正しさを裏付ける。

萩本氏 ここ数年の間に注目された技術、例えばJava、J2EE、Webサービスなどは、過去の技術の焼き直しでしかない。つまり、過去にあった技術をアレンジしたものだ。

 J2EEは過去の分散トランザクション技術や分散オブジェクト技術の総合体であるし、ある意味Javaも、以前に開発され、面白味のない「枯れた技術」になっていたものを、ビジネスにフォーカスしてシンプルにアレンジしたことで脚光を浴びた。

 確かに新しい技術の追求は必要だ。が、新しい技術ばかりを追求するのではなく、ソフトウェアの技術の歴史を認識してほしい。ソフトウェア業界では、過去の技術から新しい技術が生み出される可能性が極めて高い。過去の技術がなぜ必要とされ、それらがどのように発展して現在の技術として生まれ変わったのか? これが理解できないと、その技術を応用するうえでの問題点も分からないことになる。

 歴史をたどれば、何が本質的な技術なのかが分かる。本質的なものを見抜く目を養えれば、さまざまな情報に振り回されることもなくなるはずだ。新しい技術に出合っても、「ああ、これは過去のあの技術とこの技術を焼き直して融合させたものだな」と理解できるようになる。

アットマーク・アイティ
代表取締役 藤村厚夫


アスキーで『netPC』『アスキーNT』編集長を歴任。その後、ロータスに転じ、マーケティング本部本部長に就任する。萩本氏と同様に経済学部出身。営業や経理を経て編集職に。IT分野に身を投じたのも30代半ば。いま、技術力、製品力の時代の次にくるIT成長期をリードするのは、コンテンツ力、そしてサービス力だと断じるのは、このねじ曲がった経歴にあるのかも、と思う。

藤村 なるほど。つい新しい技術ばかりに目を向けてしまうけど、あえて過去に目を向ける……。過去の技術、その歴史から新しいものを見ることのできる視点を持てれば、確かにいまの技術、さらにはITの世界までの見え方が違ってくる。若いエンジニアには、どんどん生み出される「新しい技術」という見え方かもしれませんが、逆に「不変、連続の部分こそ本質的」という視点が欠けているのかもしれません。新技術よりも、むしろ「過去の技術から学べ」という、アンチテーゼともいえる指摘は非常に興味深いですね。そうすると、汎用機の時代から綿々と継続する技術への正当な敬意も生まれるかもしれない。

萩本氏 Webサービスは、CORBAの分散トランザクション技術、分散オブジェクト技術をインターネット上でも利用できるようにシンプルにし、アレンジしたもので、余分なものが取り去られた。つまり、Webサービスを「分散オブジェクト技術が発展した現在の姿」とすると、本質的な部分が見えてくる。

 それを1つの視点とすると、Webサービスにどんな課題があり、何が問題かも分かってくる。逆にいえば、本質が見えないうちは、何が問題なのかも分からない。例えば、Webサービスで何かのシステムを構築しようとしたときに行き詰まる場合があるだろう。その際、本質に目を向けないまま、表層的に技術だけを追求して問題を解決しようとしてもできない。技術を追求していくだけでは限界があるからだ。

 「ソフトウェア技術の歴史を学び、本質を見抜く目を養うべき」という萩本氏の指摘は多くのエンジニアの参考になるのではないか。萩本氏は、「技術にはブレイクする時期、そしてブームになる時期、衰退する時期が必ずあり、それを繰り返しながら発展していく」という。

萩本氏 「本当に素晴らしい技術は、いったん衰退しても名を変え、形を微妙に変えて再登場する。そして過去に指摘されたことと同じ問題が、最先端の技術として利用される際にも浮上する。その流れを理解できれば、最先端技術をしっかりととらえられるはず。技術を表層的に追いかけるのではなく、根底の部分、本質的な部分にまで踏み込んだ理解が重要である」

 確かにIT業界には、「Webサービスが分からなければエンジニアではない」というように、ある特定の技術のみがクローズアップされ、「ブーム」となる傾向がある。それ故に多くのエンジニアたちは、「どんなスキルを習得すべきか」に右往左往し、“新”技術に翻弄され、将来の自分のビジョンを確立できずにいる。そんな現状にあって、萩本氏の技術のとらえ方は独特であり、多くの示唆に富んでいる。「萩本流の技術論」とでもいうべきか。この技術論の根幹をなす、「本質を見抜く目」を養うことは自分戦略の立案にも多いに役立ちそうだ。

萩本氏  過去に学び本質を見抜く目を持つことは、その視点を基軸としてさまざまな「視点を持つ」ことにもつながる。「技術の本質を見抜く目を養う」ことと「さまざまな視点を持つ」ことは、エンジニアとしてどう生きていくべきかを決断する際にも、非常に重要なファクターとなる。すでにあった技術がJavaとして復活したのは、ビジネスにフォーカスしたから。つまり、まったく別の視点を持って、別の活用方法を見いだしたことでメジャーなプログラム言語になった。

 この事例に学ぶことは多い。あの技術、この技術と貪欲に学ぶことも否定しないが、この技術は、どんなことに活用できるのかと客観的に見ることが、より重要だろう。客観的に見るには、より多くの視点を持たなくてはならない。技術だけを見つめるのではなく、外側から技術を見抜けるような視点を持つべきだ。そうした視点を持てれば、ある問題で行き詰まった際に、「あの人ならどう考えるか、どう解決しようとするか」というように問題解決のシミュレーションもできるようになる。

  志が高く真剣に考える
もう1人の自分を持つ

 それでは、萩本氏はそうした視点を持てるようになったのだろうか。聞くとその手法もユニークだ。

萩本氏 もう1人の自分を持つんですよ。しかもものすごく志が高く、世界全体や社会全体のことを真剣に考える「自分」をね。私自身、ソフトウェアの開発が思ったとおりにできないと、極端に落ち込む。もう1人の自分というのは、そんなときに「そう落ち込むなよ。お前が目指しているのは、そんなちっぽけなことじゃないだろう。ソフトウェアで世界平和を実現するといった大きな夢があるじゃないか」と励ましてくれたり(笑)、あるいは、「その技術が理解できないなら、周辺の技術から攻めてみろ!」とアドバイスをしてくれたりする。要するに視点を切り替える訓練をしているのだと思う。

 専門書などで学習するときにも、もう1人の自分が常に「ここに書かれていることは真実か」と問い続けている。書籍の内容を100%正しいと信じて、文字どおり「勉強」しようとする人と、常に疑問を投げ掛けながら書籍にぶつかり、問い掛ける人とでは、理解の度合いが違ってくると思う。同じように、技術を100%信じて、その追求ばかりに注力していたのでは、深くはなるが3年もすれば、同じスキルレベルの数多くのエンジニアのうちの1人にすぎなくなってしまう。なぜ、この技術でなければいけないのか、ほかの技術とはどこが違うのか、過去からの技術の継承はどうなっていたのか、などと疑問を持ちながら取り組むことが重要である。

藤村 もう1人の自分、さまざまな視点を持つことは、「萩本流の自分戦略」といえるでしょうね。自分戦略の立案に悩む多くのエンジニアにとって、技術の歴史を学び本質的な技術の継承を理解しろ、さまざまな視点を持て、というアドバイスは極めて有効かもしれない。豆蔵の若いエンジニアにも、さまざまな視点を持たせるために、そのようなアドバイスをしているのですか?

萩本氏 私の場合は、クライアントに出向き、直接話を聞くといった営業的な仕事の経験が多くの視点を持つことに非常に役立った。だから、いまでも自動車ディーラーやマーケティング会社など、異業種の方と会って話をするようにしている。もっというと、IT業界に足を踏み入れるまでの仕事の経験(もともと経理担当だった)が、さまざまな視点を持つのに大きく役立っている。どんな業種・業界であれ、スペシャリストと呼ばれる人たちは、自分を高めるための哲学、共通した哲学を持っている。そこを共有し、自分の糧としたかった。

 まったく別の業種・業界から得る刺激はIT業界の中だけでは、ましてや会社の中にいるだけでは決して体験できない。ソフトウェア業界は急速に進歩しているように見えて、劇的な変化は起こっていない。だからこそ、豆蔵の若いエンジニアには、就業の意味も込めて、営業的な仕事などさまざまな経験をしてほしいとは考えている。ただ、現場を離れると技術の進歩に付いていけないと思ってしまうようで……(笑)。


  もう1つ重要なことは
情熱を持ち続けること

藤村 多くのITエンジニアは、自分の強みを語ろうとすると、非常に狭い分野での“強み”に向かって、自分の可能性を限定してしまう傾きがある。一方で、@ITの読者調査などを見ても、自分なりに技術を極めたいと思っても、ポジションや年齢が上がるにつれ「マネジメントをやれ」といわれて悩むエンジニアも多いようだ。

 そんなとき、おっしゃるようにさまざまな視点を持つために、会社から求められたようにマネジメントをやってみるべきなのか。それともエンジニアとして、技術を極めてみるということにこだわるのもいいだろうか。

萩本氏 マネジメントとひとくくりにいっても、技術をマネジメントするのか、人間をマネジメントするのかで仕事の内容はまったく異なる。自分が培ってきたスキルを継承し発展させられるかどうかが問題でしょう。確かに私自身は、まったく別の業種・業界から学んだことは多い。

 しかし現実的に考えれば、エンジニア全員が同じようにやればいいとは思っていない。それこそ、私の意見を100%信じるのではなく、別の視点を持ち、疑問を投げ掛け、理解することが重要なのだ。プロジェクトマネージャや営業的な仕事など、エンジニアとしての方向性が変わる場合には、自分がこれまで培ってきたスキルを継承できるものかどうかで判断すべきだろう。もし、継承・発展できるものであれば、そういった職種に移ることは、例えば、「ある技術がどう利用され、それによってクライアントにどんなメリットがもたらされるか」といった視点、技術を広く見られる視点を持つのに役立つと思う。

 萩本氏によれば、スキルを継承できるのであれば、プロジェクトマネージャや営業的な仕事に移ることは、広い視野、さまざまな視点を持つのに有効だという。そしてさまざまな視点を持つことが、「エンジニアとしての情熱を持続させることにもなる」という。確かに、もう1人の自分を持つ、さまざまな視点を持つということは、目の前の事象だけにとらわれず、大きな広がりを持つ別の世界を見ることにつながる。

 たとえ1つの技術を追求する場合でも、視点を変えることでさまざまなアプローチが可能となり、それによって見え方も異なり、さらに「追求したい」という思いも深まっていくかもしれない。「私は決して優秀なエンジニアではなかった。ただ、『もう1人の自分を持つ』ことで『情熱を持続させる』という自分戦略を持っていた。どんな人でも、3年、5年と情熱を持続させ、集中して取り組めば、その道でやっていけるようにはなる。私をその見本にしてほしい(笑)。ソフトウェア業界で勝ち残るには、情熱を持続させることが何よりも重要だ」(萩本氏


  自分戦略は持つが、線路は敷かない
戦略があれば難局を乗り超えられる

 萩本氏の自分戦略とは、「もう1人の自分を持つこと」と「情熱を持続させること」だ。萩本氏いわく、「決して優秀ではなかったITエンジニア」が、この自分戦略で現在の位置を得たのだといえる。そして、この自分戦略には、もう1つ独特の思想が流れている。それは、決して自分の将来に向けての線路を「敷かない」ということだ。

萩本氏 私は自分戦略は持っていた。しかし、線路は敷かなかった。3年先、5年先の自分をどうするかを決めなかった。むしろ、決めたくても自分の将来を想像できなかったというべきかもしれない。

 ただ、ソフトウェア業界の将来として、ソフトウェアを視覚的に分かりやすく見せる手法としてオブジェクト指向がメジャーになるということは明確に予測していた。その意味では想像どおりではあった。そういった世界がくることは分かっていて、その世界で自分がどう身を置くべきか、生きていくべきかは分かっていたが、そこで「何になるのか」は想像できなかった。

 ましてや現在はオープンソースの流れなどもあって、ソフトウェア業界が将来どう動いていくのか予測することが困難になっている。そんな状況で、将来の自分に向かって線路を敷くことはできない。むしろ、多くのエンジニアが不安になるのは、最初に線路を敷いてしまい、その路線から外れてしまうことに不安を感じているのではないだろうか。

藤村 多くのエンジニアが漠然とした不安を抱いているのは、まさに現在も将来も見通しにくいからでしょう。そんなITエンジニアたちに「将来に向かっての線路を敷くな」とは、逆説的なアドバイスですね。確かに、線路を敷いてしまうからこそ、その路線から外れてしまうことに大きな不安や抵抗を感じる、ともいえる。あまりにも厳密に線路を引いていては、「プロジェクトマネージャになれ」「営業的な仕事をしろ」といわれたとき、その線路から外れたことのインパクトが大きくて不安になるだろう。

萩本氏 重要なのは線路を敷くことではなく、ソフトウェア業界の中で自分の身の置き方を正しく理解することだと思う。状況は変わるし、もしかしたら激変するかもしれない。予測困難な将来に向かって線路を敷くのではなく、さまざまな困難にぶつかる可能性が大きいソフトウェア業界で生き抜く自分戦略を持つことが大切。私にとっては、それが「さまざまな視点を持ち」、そして「情熱を持続させる」ことだった。

藤村 確かにそうした自分戦略があれば、変化の激しいIT業界の荒波を越えていけるかもしれない。目標を定めて、その路線に沿ってまい進するだけではなく、押し寄せる大波を、その時々でどう柔軟に対処し乗り越えていくかもとても重要。その手法として、視点を変え、情熱を持続させることがある……。まさに戦うための「戦略」ですね(笑)。

 戦略は持つが、決して線路は敷かない……。この萩本氏の言葉に込められた意味は思いのほか大きいように感じられた。エンジニアに限らず、多くの人は将来に漠然とした不安を感じ、その状況下でもなんとか自分の目標を定めて、それを実現しようと努力しているだろう。しかし、思い返してみると「決断できる自分をつくろう」の中で、「起-動線」の特徴の1つに「目標を何度も設定し直すことができること」があった。

 個人が自分戦略を持つときに、明確な目標を定めて線路を敷き、歩んでいくというスタイルももちろんあるだろう。ただ、それとは別に、あえて目標を定めても線路を敷かず、もしくは目標を何度も設定し直せるだけの柔軟性を持ち、厳密な線路を引かずに、どのような荒波をも乗り越えていけるだけの「戦略」を身に付け、臨機応変に対処していくというスタイルもありそうだ。

 萩本氏はいまもなお、情熱を持って自分の道を歩み続けている。「あるソフトウェア技術に対して、実装や設計、設計のコンセプト、フィロソフィまで、つまりは、技術の歴史までを踏まえながら下から上まですべてを分かりやすく説明できる人はアーキテクトと呼ばれる。あるソフトウェア技術について、それによってもたらされる感動や将来の姿などをメタファーとして説明できるようになれば超一流だ。

萩本氏 それは、もちろん私が目指しているところでもある。私がエンジニアを目指したときは、ただ、『SEとして食べていけるようになりたかった』だけだった。アーキテクトを目指したわけでもなく、ましてやいまのように経営者になることも想像すらできなかった。自分を振り返ってみると、目標を定めて努力したというよりも、変化の激しいソフトウェア業界の中で、本質を見る、さまざまな視点を持つことを試み、それによってその時々の自分の位置を確認し、難局を乗り越える戦略を駆使してきたのではないかと感じる」

 自分戦略という言葉を聞いたとき、多くの人はまず、目標を定め、次にそれを実現するための道筋を決め、スケジュールに沿ってマイルストーンをクリアしていくスタイルを思い浮かべるだろう。しかし、道筋=線路を敷くことは自分戦略の本質ではないのかもしれない。自分戦略とは、まさに自分なりの戦略を持つことなのかもしれない。

 最後に、萩本氏の夢についてご紹介したい。「手ぶらで世界中を旅できる自分になりたい。ソフトウェア技術で、世界中のどこにいってもその土地の社会、人々に貢献でき、だからこそ受け入れてもらえる。そんな自分になりたい」。この夢がご本人のものか、あるいは、「もう1人の自分」が語る夢かまでは聞かなかったため定かではない。ただ、広がりを持つ世界を見据えるからこそ、常に情熱を持って進むことができるのであろう。

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