Engineer Life
第1回 読者調査結果発表
〜ITエンジニアのスキルアップ/キャリアアップ実態&意識〜
小柴豊
アットマーク・アイティ マーケティングサービス担当
2001/9/7
2001年5月22日、@ITは個別の技術情報に加え、“ITエンジニアのスキルアップ/キャリアアップを応援する”フォーラム「Engineer Life」を立ち上げた。さて実際のエンジニア諸氏は、自分のスキルやキャリアについて日ごろどのような意識を持って行動しているのだろうか? Engineer Lifeフォーラムが実施した第1回の読者アンケートから、その状況を紹介しよう。
拡大するITスキルアップ分野
まずは読者のスキルアップ・ニーズから見てみよう。13のIT関連項目を示し、現在スキルアップを望んでいる分野を選んでもらった結果が図1だ。インフラ系(ネットワーク構築・管理、セキュリティ、データベース)、プラットフォーム系(Windows 2000、Linux)、開発系(Java、XML)などといった広い範囲で読者の自己啓発意欲が高いことが分かる。
図1 スキルアップを希望するIT分野(複数回答 N=145) |
スキルアップ分野についての読者コメントからは、
“サーバサイドJavaとXMLをマスターしておくことはこれからこの業界で生きていくにあたって必須であるし、同時にそれらのインフラとなるネットワークの知識とサーバの管理・運用も最低限はできる必要がある。そして好むと好まざるとにかかわらず、マイクロソフトの次の一手も知らないでは済まされないだろう。少なくともC#が面白い言語であることは確かです。”
“ひと昔前に比べると「コンピュータ関係のスキル」が指す範囲(分野)が広大になっており、一点集中の勉強はしやすいが、広く浅い知識を修得するのは困難になっている気がする。”
などといった声を聞くことができた。インターネット時代のITエンジニアにとって、学ぶべきスキル領域は日々拡大しているようだ。
スキルアップ方法:eラーニングへの期待高まる
では、エンジニアはどのようにして多様なスキルを身に付けているのだろうか? 知識や技能の習得について、現在までに体験した方法/今後希望する方法を聞いた結果が図2である。体験済みの方法ではほぼ全員が「書籍や雑誌・Webサイト閲覧による自習」を挙げており、自学自習が基本となっているようだ。一方、今後希望する方法では、「eラーニング(Webベースの通信教育)」を希望する人が5割に上った。スキルアップの阻害要因として“勉強する時間が取れない”ことを挙げる読者が多い中、空き時間を利用して自学自習を超えるスキルアップ効果を提供できるならば、eラーニング市場が拡大する可能性は高そうだ。
図2 ITスキルアップ方法(複数回答 N=145) |
取りたい資格は、ネットワーク、データベースとセキュリティ
スキルアップ目的の1つとして、キャリアアップ・転職の武器にもなるのが“資格の取得”だろう。ではEngineer Life読者のIT関連資格取得状況/取得意向を見てみよう(図3)。まず読者が現在取得している資格では「基本情報技術者(第2種情報処理技術者)」(かっこ内は平成13年度制度改定前の名称。以下同じ)が最も多く、「ソフトウェア開発技術者(第1種情報処理技術者)」「初級システムアドミニストレータ」と続いている。またベンダー資格では「マイクロソフト認定資格」「オラクルマスター」の2つが突出している。
一方、今後取得を目指す資格では、「テクニカルエンジニア:ネットワーク」の人気の高さが際立っているほか、「同:データベース」や新設の「情報セキュリティアドミニストレータ」など、インフラ系技術資格の取得意向が高い。またベンダー系では前記2社に加えてサン・マイクロシステムズやシスコシステムズの認定資格が、そのほかでは「ITコーディネータ」への注目度も高まっている。
図3 IT関連資格取得状況/取得意向(複数回答 N=145) |
転職に望むもの:給与+スキルアップ・面白い仕事
さて後半では視点を変えて、キャリアアップ/転職についての実態や意識について見ていこう。まず今回の回答者の中で“過去に転職経験のある人”“現在転職を考えている人”を対象に、それぞれ「転職した理由」と「今後転職先を選ぶ際に重視したい点」を尋ねた結果が図4だ。過去の転職理由では、「給与・賃金」「仕事の面白さ」「スキルアップできるかどうか」および「経営者のビジョン」の4点がほぼ同ポイントで並んでいる。また今後転職で重視したい点では、「給与・賃金」「スキルアップ」「仕事の面白さ」の3点が他をリードした。
図4 転職理由/今後転職で重視する点(3つまでの複数回答) |
スキルアップについては“ノウハウは実際の業務を行わないと身に付かない”というコメントも見受けられた。逆にエンジニアを採用する企業が、人材不足の中でIT関連の優秀なエンジニアを雇用するためには、「この会社に入れば実務でこういうスキルを習得できる」というプレゼンテーションも重要になるだろう。
キャリアアップ方法:Web活用意向が向上
最後にエンジニアが転職する際に利用した/今後利用したい方法を見てみよう。転職経験者が過去に利用した方法では「転職情報誌」の利用率が最も高く、以下「知人・友人の紹介」「転職支援Webサイト」と続いている(図5)。一方今後利用したい方法を見ると、「転職支援Webサイト」を挙げる人が6割に達している。先述のeラーニングへの希望と併せて考えると、エンジニアのスキルアップ/キャリアアップ過程において、Webの活用が今後ますます進みそうだ。
図5 転職方法(3つまでの複数回答) |
調査概要
調査概要 | |
調査方法
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Engineer LifeサイトからリンクしたWebアンケート |
調査期間
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2001年7月20日〜8月13日 |
有効回答数
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145件 |
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