企業の持続的成長を支えるうえで、重要な役割を果たしているのがITである。特に、企業の業務を支えているのは、ソフトウェア産業の企業が提供する製品やサービスである。営業・販売や材料の発注といった基幹業務から、人事や会計といった本社系の業務に至るまで、業務とITは密着に関係している。
そこで、ソフトウェア業界で活躍している企業の歴史的経緯を見てみよう。ソフトウェア業界で活躍している企業は、その出自により大きく「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」「ソフトウェアベンダ」の4つに分けることができる。
(1)メーカー系
汎用コンピュータが出始めたころ、実際にコンピュータに仕事をさせていたのは、コンピュータメーカーの人たちであった。コンピュータ上で動くソフトウェアを開発し、オペレーションも行っていた。メーカーは、ソフトウェアに関する専門性を高める目的で、子会社を設立した。富士通システムソリューションズや日立情報システムズ、日立ソフトウェアエンジニアリング、三菱電機情報ネットワークなどが該当する。ここで挙げた企業以外にもメーカー系のグループ企業があるので、自分の専門領域に近い事業をしている企業かどうかを確認してエントリーしよう。
(2)ユーザー系
企業にコンピュータを導入する際、それを利用する企業側(ユーザー企業)にもIT部門が存在する。このIT部門が母体となって子会社として誕生したのがユーザー系のソフトウェア企業である。
金融機関のIT子会社がユーザー系の代表的な企業である。銀行でいえば、みずほ情報総研や日本総合研究所、証券会社なら野村総合研究所(NRI)、保険でいえばニッセイ情報テクノロジーなどである。金融機関以外では、鉄鋼系の新日鉄ソリューションズや、商社系の伊藤忠テクノソリューションズ、元公共系のNTTデータなどSIを得意としている企業が代表的だ。
(3)独立系
コンピュータの利用が進むにつれ、ソフトウェア開発者が不足することが明らかになってきた。その動きをとらえ、いまでいうベンチャーとしてソフトウェア開発専業の企業を立ち上げ成長させた企業が独立系である。CSKや富士ソフトが代表的な企業といえるだろう。これら独立系は、自社の成長に応じてソフトウェア開発だけでなく、SIまで事業を拡大させ、M&Aの手法も使いながら成長を続けてきた。
(4)ソフトウェアベンダ
ソフトウェアベンダは、まさにベンチャーからのスタートである。自分の得意領域でパッケージソフトを制作し、その製品がヒットすることで成長を遂げてきた。代表的なところでは、PCのOSで席捲したマイクロソフトやセキュリティ分野のトレンドマイクロ、ERPのSAPなど外資系の企業が多い。日本企業でも、「勘定奉行」で有名なオービックやグループウェアのサイボウズ、忘れてはいけないのが「一太郎」のジャストシステムなどが代表格といえるだろう。ゲーム業界ではスクウェア・エニックスや光栄(現:コーエー)などがあるが、ここでは対象から外しておくことにする。
これまで見てきた企業群をあらためて整理しソフトウェア業界マップを作成したので、ぜひ就職活動の参考にしてほしい(図3)。
図3 ソフトウェア業界マップ |
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